第24話⑥入れ替え戦
そこから各自が自分のするべきことを全うする全員ラグビーを続けた。
ペナルティキックとトライ、コンバージョンキックを決めて気が付けば、
13対14と一点差まで迫っていた。
そこで前半終了となった。
ロッカールームで髙橋はレフリーの目から見た、Black Raptorのプレイの危険な点と対策を話した。
「みんな!怪我をしないでくれ!
誰一人怪我をしないで試合を終えてくれ!」
最後は祈りに近い叫び声だった。
次に若色は川本の言葉を話した。
「川本さんは必ず帰ってくる!
その時のためにたBlack Raptorの暴言、ラフプレイに惑わされないでくれ。
相手はうまく仕掛けてくる。俺たちが反応したらレフリーは俺たちに指導せざるを得ない。
帰ってくる川本さんの居場所ないくらい、俺たちで攻めてやろう」
おう!と口々に選手たちは答えた。
吉川が前に立ち話し始めた。
「みんな、、、観客席を見たか?」
吉川の話の意味が分からず黙る選手たちを見ながら続けた。
「昨年は見られなかった光景がないか?
会社からの大応援団、地元からの大応援団、クライアントの大応援団、、、観客席は満席に近いぞ。
この一年、仕事もラグビーもファンを味方に付け増やすこともみんなは精一杯やってきたな。
だから付いてきてくれたんだよ。
少し肩の力を抜け。視野が狭くなっているぞ。
敵はBlack Raptorじゃない。自分たちだ。
苦しいときに一歩前へ踏み出し、
腹が立つときに冷静になり、
自分と仲間を信じて、応援に来てくれている人たちのために楽しんで試合をしようぜ!
今までと変わらない。
俺たちのラグビーを観客に見せつけてやれ!」
吉川の気合いのこもった叫び声が響き渡り、
グランドへの道へ顔つきが変わったブルーウイングスの選手たちが並んだ。