第24話③入れ替え戦
田村が蹴ったボールはきれいな高い放物線を描き敵陣深くまで飛んだ。
確実にボールをキャッチしたBlack Raptorは長短のパスを織り交ぜながら、ブルーウイングスを翻弄した。
開始早々にセットプレーのラインアウトからモールを有効に使われた。
モールに多数の人を集めた、ブルーウイングスがモールに人を集めた瞬間に、Black Raptorはそこから一気に横に広く展開しトライを奪った。
コンバージョンキックも成功し、
0対7と先制を許した。
その後もBlack Raptorのディフェンス中、ブルーウイングス田﨑が孤立したところで反則を誘った。そこから速攻で攻撃を仕掛けて、ブルーウイングスディフェンスが思い切って前に出れない状況を作り、トライを取った。
コンバージョンキックも成功し、
0対14と点差を広げられた。
Black Raptorがグランド内をコントロールする、ブルーウイングスにとっては嫌な状況が続いていた。
Black Raptorキャプテンは長く日本代表にも選ばれていた選手で雰囲気をコントロールするためにレフリーの重要性をよく分かっていた。
よくレフリーと話をしていた。
あるプレイではブルーウイングスのペナルティから速攻を仕掛けた。
レフリーがそのプレイは認めなかったが、その際もレフリーに対して笑顔で深く頭を下げて、話をした上で背中を軽くたたいてからプレイに戻った。
レフリーも人である。
赤の他人なら躊躇なく言える強い言葉も、
知り合いにはなかなか言えないようになっていた。意識的か無意識かは不明だが、レフリーも味方に付けていった。
ジリジリとブルーウイングスは追い込まれていく焦りを感じた。