第23話②最終戦後夜
髙橋の後はバックスコーチの吉川が前に立った。
「最終戦お疲れ様でした。
今シーズンは5勝1敗ということでシーズンの一旦の区切りです。
このシーズンは選手、スタッフ、ファンのみんなともに戦えたこと、感謝します。本当にありがとうございました。
途中合流した私ですが、皆さんがいなければ、ここにはいませんでした。また誰一人かけてもここまでの結果は出せなかったです。すべての皆さんに感謝します。ありがとうございました。
さて、ただ私たちにはもう1試合戦うことになりました。
次の試合も厳しい戦いが予想されます。
その中で今の皆さんで勝てますか?
矢印を自分に向けて反省することは大切です。しかし今の下を向いている皆さんのままでは、厳しい戦いの中で心を試合に繋ぎ止めることはできません。
次の試合は心技体そろわないと通用しないでしょう。試合までは残り僅かですが、短期間で心技体すべてにおいて、強い選手になってほしいと思います。
心が折れそうな時、繋ぎ止めるのは
何度も、何度でも自分、仲間を信じること。
それでも苦しい時はファンの方の応援があります。
今一度顔を上げて最終戦に向けて進みましょう」
選手たちは立ち上がって、声をあげた。
「このまま入れ替え戦メンバーを発表する
1プロップ 川島
2フッカー 川本亮平」
川本の名前が呼ばれたとき、
選手たちが一瞬静まり返った。
「えっ?川本さん」
田﨑が思わず声をあげた。
メンバー発表が終わったタイミングでミーティングルームの扉が開いた、そこにはジャージ姿の川本が立っていた。
「川本さんもう大丈夫ですか」
「ああ。もう大丈夫だ。
心配かけたな。
5年前より今の方が調子が良いよ」
盛り上がるみんなを見回し、吉川が声をあげた。
「これで全員揃った。
言葉通り全員ラグビーで入れ替え戦は勝つぞ!」
吉川の声に応えるように選手の間から雄叫びが上がった。