【予測2】最悪のシナリオ ラノベ市場7割減
「ラノベ市場半減」なんてまだまだ優しいものでここで止まるわけじゃないのです。2009年比のラノベ市場半減が150億円。2016年比のラノベ市場半減が142億円。もう分かりますよね。所詮「8億円差」など誤差の範囲です。ではここが底で徐々に回復する……。それなら私は何も言いません。しかし現実は恐らくはそうはならないでしょう。
1:ラノベ市場額が100億円~90億円をうろつきやっと底を突いた
おそらくこれが今一番考えられる最悪のシナリオでしょう。「最悪」と言ってる事からも分かる通り「そうなってほしくない」から書いてます。しかし現実は大いにあり得ます。萌えや異世界転生に夢見た読者が80-50問題で夢を見るどころではなくなった。社会人として過すべき人生を非正規もしくは非正規に近い人生で過ごしてしまった。この膨大な団塊ジュニア世代をターゲットにして後の世代の読者を切り捨ててしまったことによって市場半減では済まなくなったということです。というのも2018年以降始まったラノベ市場の下落の底が一向に見えないのです。
この症状は当たればの話ですが早くて2030年頃、遅くても2035年頃になります。
2:ラノベ分量のヘビーノベル化
どういうことか? 既存のヒット作を終わらせられない。終わらせると余計にラノベ市場が下落する。でもこうするとますます新規顧客が離れていくという悪循環です。20巻、30巻、スピンオフ作品まで入れると40巻を超えるシリーズとなり「一見さんお断り」になるのです。つまり青少年層をますます締め出すのです。もう2035年ともなると我が国は超・超高齢化社会です。その頃のラノベ主要読者層はもう60歳つまり還暦を超えてるはずです。30歳~40歳頃から第一巻目を読んだラノベシリーズを20年読み続けたお客しか居ないという意味です。普通なら「ここで新しい作品を作ってみない?」と編集者様なら言うしだらだらと続けると明らかに売れ筋は悪くなるのですが新規顧客層を獲るという経営努力を怠った結果そうなるのです。なお似たようなタイトル、似たような作風のラノベを使い捨て続ける構造も続きます。新規読者層の獲得とは全く新しい作風、全く新しい商法による読者獲得であって数撃ちゃ当たるという意味じゃありません。
――私だったら『純文学化』しますがね
通常は30巻超の超大作ともなると『グインサーガ』のようにラノベという枠を超えて純文学ファンタジーというものに昇華するのですが今のラノベは『グインサーガ』のような「重さ」や「正統派」はないので軽いままだらだらと続きます。なので本評論参考文献のラノベ年表を見てください。新規作品の事項が2016年頃で止まってるでしょう? これが「ラノベの限界」なんです。
3:「ラノベ=ダサい」が定着化
若年層のラノベ読者層の獲得に失敗してしまった結果。今でこそ彼ら・彼女らは10代後半ですけどさらにそこから10年経つと彼ら・彼女らは20代後半になるわけですよね。先頭は30代になります。「Z世代」がもう30代の時代ですよ。その時どうなるか。若い大人からですらラノベという存在を馬鹿にされてしまうのです。もちろんラノベ発の深夜アニメも同様です。だっていまだにラノベ読者層って「円盤売上が~」とか言ってるのですからね。この動画配信・サブスクの時代に。こうなると手遅れでニューファミリー層の親が「ラノベ=ダサい」と子供に伝えてしまいライトノベルというジャンルそのものの命運が尽きてしまうんです。特に3番目の項目は「そうならないでください」という意味でラノベをDISってるのではありません。ですがこのまま行くと10年後にそうなりますよと言ってるのです。
こうなるとライトノベルというジャンルは後期高齢者用文学となりもう後は滅びを待つだけです。「楽な方に行こう、楽な方に行こうとした商売の結果ラノベという文化は2009年がピークだった」という歴史を書くことになります。
4:出版市場総額は変わらないのに紙媒体の出版市場は7000億程度まで下落
1996年比で紙媒体出版市場は約3分2も市場が吹き飛んだということです。でも電子書籍の市場は相変わらず約9割が漫画。これもほぼ確実にそうなります。何かミラクルでも起きない限り。
そしてラノベももちろん例外ではなく電子漫画に駆逐されて行きます。というか原作よりも漫画版読んだ方がタイパ的にいいやってなってしまうんです。この調子だと純文学のコミカライズに大衆文学のコミカライズに専門書のコミカライズと節操のない状況になっていることでしょう。で、漫画というものを読んで本人は「分かったつもり」になるわけです。それはダイジェスト版なのにね。つまり紙媒体市場に限ると1兆円割れなんて地獄では済みませんよということです。
5:アニメ化拒否
視聴率が0.1%のアニメに何の意味があるのでしょう。おそらくですがもうこの頃になるとアニメ化も拒否されてラノベのマルチコンテンツ商法は完全に敗れ去ります。読者も作者も大切にしなかった「残当」という奴ですね。
さらに国連から日本アニメは「労働搾取」されていると勧告を受けました。となると儲からないアニメを作っている場合ではなく儲かる超大作アニメしか作れなくなることを意味します。なおこのまま日本のアニメーターに人権侵害をするとネットフリクスから締め出すなど各国の動きも活発です。
6:そもそも日本人の購買力がさらに落ち本が買えない世界に落ちる
いよいよ書店の経営難に歯止めがかからず書店が都市部でも消えます。するとECしか頼れなくなるのですが本と言うのは試し読みしてなんぼの世界ですので偶然の発見と言う出会いが無くなります。証拠にECが登場してもう約25年も経ちますが一向に出版市場は良くなってません。だからと言って電子は? そうですよね。電子は漫画以外ほとんど見向きもされませんよね。簡単な事です。無料投稿サイトで同じも作品が読めるからです。購買力の無い日本人は極力お金がかからない趣味を見つけるしかないのです。よってラノベという小説も書店ごと駆逐されて行くのです。お金がかかるから。ラノベ読んでる人の周りを見渡してください。「有料版電子書籍でラノベ読んでるんだー」って人居ます? たぶんほとんどいないぞ。よってラノベ本の最後は「オタク専門店」でひっそりとラノベ本が置かれるという未来なんですよ。生き残った普通の書店からからはラノベコーナーという棚ごと撤去される。ECからは見向きもされない。無料の電子書籍しか売れない。ラノベ読者がいるのはほぼここ「カクヨム」や「なろう」などの投稿サイトだけ。
つまり「ラノベの値段離れ」がラノベの最終進化形態なんだ
それが一般顧客を見放したラノベと言う存在の末路。この頃になると日本国は公立図書館で「読書権」という権利(厳密には日本国憲法に記載されている幸福追求権)を履行することになる。もう本が贅沢品と言う次元にまで落ちるんだ。シェアリングエコノミーとかっこいい事を言いながらね。でも「公立公共物」には優先順位があるんだ。自分の住んでる公立図書館の本を見てみ? ラノベ本はどれだけ置かれているだろうか。それが君が住んでいる市民の答えだ。公立図書館を作り、育だてるのは市民なんだ。市民が必要としない本は「ノー」なんだよ。だって、公立公共物なんだし。公立図書館は自分のためだけに本を置かせてはもらえない場所なんだ。公立ってそういう意味だ。自治体の財政には限りがあるんだ。その時ようやくラノベと言う存在が市民からどれだけの支持を得られているのかオタクという存在は嫌というほど身に染みる事だろう。それがラノベと言う存在に対する「市民」の答えだ。君は「パブリック」や「シビック」という言葉の本当の意味をその時に理解するんだね。そしてそれを「社会」と言うんだよ。もちろん累計1000万部突破!というラノベ本は公立図書館に高確率で置かせてもらえる。だって市民には大衆文化を知る権利があるからだ。でもそれ以外のラノベは? 自分の胸を当ててよく考えよう。
そんなのは嫌だという人は自分たちでラノベ専門図書館を作るしかない。図書館には私立図書館という《《公共》》図書館もあるんだよ。文化コミュニティーも「市民」の一部にして「社会」なんだ。ラノベという文化を守りたかったら自分たちで守りなさい。それが大人であり「市民」のあるべき姿だ。なお私立図書館と言えども公共物である以上図書館法では株式会社立や個人の設立を許していない。だから一般社団法人や一般財団法人格で私立図書館を作ってゆくゆくは公益社団法人や公益財団法人格を目指すんだ。文化を守るって行為はね、大変なんだよ。私企業や自分だけでは出来ない事なんだ。なお市民という言葉には会社連合体を含むんだ。つまり出版社同士でお金を出し合って一般社団法人や一般財団法人格でラノベの専門図書館を作る事だって可能だしその方がリストラするよりずっと健全なんだよ。これすらも出来ないとなるとラノベと言う文化はいよいよ完全に滅びに向かう。いいね? 警告したよ?
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何もかも失った時こそラノベ文化の再興が始まるのです。ここに気が付くのが遅ければ2009年比の市場額7割減でも済まないでしょう。9割減まで行くはず。




