ようやっとチュートリアル-1
再ログイン。霧江とは、もしヒューマンエリアだったら会おうか、と話して解散した。
だが取り敢えずは現状確認が第一だろう。エリア選択をしてすぐ飛ばされたこの場所を、俺はよく調べないままにログアウトしたので、現状何も分かっていない。
「どこかの部屋っぽいな」
ただ、ここがセーフティエリアである事はわかっている。事前に一人になることも警告されていたので、スピードが近くにいない事も疑問では無い。とはいえ一人は少し寂しい。
……。恐らく、ここはマイルーム兼セーフティエリアと考えて問題はないだろう。
「で、なんか電子端末が置いてある訳だが」
これみよがしに置いてある四角い端末を手に取り起動してみれば、ある意味とても見慣れた画面が表示された。
〈ステータス〉
【生き残った者】ボンド
コア:純正ENCLv.1
EN総量:400/400
MP:20/20
重量:許容内
種族:森人種
戦闘職種:選択してください
生産職種:選択してください
ステータス画面を見れば、ようやく始まった、という感動が湧く。が、感動もそこそこに、一旦別の画面へ。さっさとフレンド確認をしなければスピードを待たせてしまう。
彼女はあまりこういうのには拘らないタイプに見える、一緒に情報のすり合わせをする必要があるだろう。
このゲーム、情報系は全て一括でこの端末で管理するようだ。項目毎にタブが別れていて、〈ステータス〉の他にも、〈スキル〉や〈持ち物〉、〈図鑑〉に〈総合〉等がある。このタブはプレイに応じて増えていくようで、慣れるまで時間がかかりそうだ。
「と、ここでフレンド管理が出来るのか」
ポチポチ弄って見たが、どうやらフレンド関係は〈総合〉タブのようだ。早速開き、これまたイベント終了時に作成した簡易フレンド登録のコードを入力していく。
オープニングでわかったが、このゲームをソロプレイはキツイ。というか、そういう作り方をしていない。勿論頑張れば出来なくは無いんだろうが、運営は推奨していない。
それ故のケアなんだろうな、と思いつつ入力を終え、フレンド通話をかける。電話はワンコールもしないで繋がった。
「もしもし?」
「遅い。やっと来た」
「さっき言ったけど、一回ログアウト挟んだからな」
今更だが、このゲームは時間加速機能を使っていて、現実の三倍で進んでいる。俺がログアウトしていたのが大体三十分だから、その三倍、一時間半が経過しているわけだ。
で、わざわざ遅いと文句を言うということは。
「もしかしてログアウトしてない?」
「いつ連絡来るか分からないから」
いや、一応三十分くらいとは言ったけどな?
「あー……それはすまん。じゃあもうある程度部屋とかステータスとか見た?それとももう外に出てたり?」
「いや、ずっと走ってた」
「この狭い部屋を?」
「グルグル」
猫かよ。
いや獣人種:猫型だったわ。
閑話休題。
結局スピードもろくに確認していないという事で、ステータスを見ていくことに。
で、比較の為にステータスを教えて貰ったのだが。
〈ステータス〉
【過去を識る者】スピード
コア:量産型ENCLv.1
EN総量:700/700
重量:許容内
種族以下の表記はエルフかビーストか、しか変わらないのに対して、上のステータスはかなり違う。
「結構違うな」
「あ、タップで詳細確認できる」
「タップできるんかい」
一つずつ見ていこう。
プレイヤーネームの横が【称号】。一つしか設定出来ない代わりに、特別な効果を持つものもあるらしい。詳細は後回し。
次がコア。俺達迷宮人形の所謂心臓部で、これによってEN総量やEN回復速度が決まる。レベル表記があるという事はレベルアップするのだろうが、方法は不明。
で、次はEN総量なんだが、これが少しややこしい。というのも、これ一本で諸々のゲージを包括している様なのだ。説明にある、『攻撃を受けることで減少』、『スキルを使うと減少』はそれぞれ別ゲーで言うところのHP、スタミナの概念だろう。
最後の重量は、インベントリにどれだけ物を入れられるのか、をざっくり表したものだった。
「EN総量は常に気にしておかないとな」
「そうね」
「初期総量に差があるのは種族の差みたいだ」
「そっちは総量幾つなの?」
「……400」
「エルフってそんなに少ないの!?」
「いや、俺の場合は多分称号が関係してるっぽい」
という訳で後回しにしていた称号を確認。
【生き残った者】
全滅したはずの“第一次迷宮人形計画”の最後の生き残り。激戦によってコアの一部が破損しているが、その穴を埋めるように緑色の石が嵌め込まれている。
獲得条件:オープニングイベントを生還する。
称号効果:EN総量半減、MPの追加
ツッコミどころが多い。
まず、俺のコアはどうやら破損しているらしい。ステータスにそんな表記あったか?と確認したが、コアの横に(破損)と追加されていた。
EN総量半減はまだいい。いや良くないが、元々後衛プレイをするつもりだったのでそこまで問題では無い。
問題はMPだ。スピードのステータスにはそんな表記はなかった。という事は今俺は、全プレイヤーの中で唯一自前のMPバーを持っているプレイヤー……になるのか?
だがそれよりも。
「称号どう?こっちは普通のテンプレっぽい感じだけど」
「……」
「おーい」
「エリー……」
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