ようやっとチュートリアル-2
さて、ステータス確認の次は職業決定だ。
「切り替え怖いわ」
「お前には言われたくない……」
切り替えは大事だろう。やりたいことが山積みなので。
さっさと確認して外に出たい、という気持ちもある。という訳で、早速選択可能な職種の一覧を見る。
戦闘職種:剣士・戦士・盗賊・狩人・魔師・道化
生産職種:鍛冶師・木工師・裁縫師・人形師・錬金術師・作家
戦闘生産共に六種類、恐らく初期種だろう。何となく名前からどんな職種かがわかるし、一つ一つの詳細を確認したが大体イメージ通りだった。
珍しいのは人形師だろうか。これは迷宮人形に関係する職種らしい。
で、少し悩んだ結果。
戦闘職種:狩人
生産職種:人形師
に決定。
因みにスピードは剣士/裁縫師にしたらしい。
「こういうゲームで戦闘職と生産職を別々に選ぶって珍しいね」
「取るだけ取ってどっちかだけ、っていう人も多そうだけど」
「スピードは?裁縫やるの?」
「現実で少し心得があるから取った」
「へー」
「けど、ゲームでやるかはわかんない」
まあこのゲームの生産がどういうシステムなのかまだわからないからな。
俺が人形師を選んだのは、ややこしい事になっている俺のコアは、自分でなんとかしないといけないと考えたからなのだが、それだってどうしたらいいのかは現状不明である。
まあ分からないことは後回しだ。職業決定の次は、スキル設定である。職業を選択した事で、〈スキル〉タブに設定可能スキルの一覧が表示された。
「スキル周りのシステムはちょっと複雑だな」
まず、スキルスロットが初期で六つ。これは戦闘職生産職両方の合計で、習得可能スキルの中から自由に選べる。設定したスキルは使い続けることで習熟度が上がり、一定値に達するとレベルが上がる。レベルを上げていくと進化する。
スキルの入れ替えは自由で、控えに戻しても習熟度は下がらないが、使えなくなる。
習得可能スキルは、職業レベルを上げる他、様々な方法で増やすことが出来る……と。
「まだ?」
「相変わらず早いな、もう少し待ってくれ」
入れ替えペナルティも無いので取り敢えず勘で選択。お姫様が待ちきれなくなってるんでな。
〈スキル〉
・技能:弓
・技能:解体
・パワーショット
・制限解除
・罠知識
・迷宮人形知識
こんなところか。後は実際に試してみるしかない。
とまれ、これでようやく設定関連が終わった訳だ。
「じゃあ出るか。――外に」
一瞬のロードを挟んで、次の瞬間には外にいた。雲一つない青空の下、石畳を少し歩けば、街の中心地になっている広場に出た。
既に攻略を始めているのだろうプレイヤーの姿の他に、人の姿もチラチラ見える。誰もが忙しそうに駆けているので、何かあったのかもしれない。
広場には噴水があったので、それを目印にスピードと合流。街を散策することに。歩きながら、気になっていたことを確認する。
「そういえばスピードのイベント報酬はなんだったんだ?俺のは称号ってか、この身体っぽいけど」
「シンプルに経験値だった、取ったスキルのレベルが二つ上がった」
「二レベアップはデカイな」
もしかしたら象の目破壊ボーナスとかも入ってるのかもしれないが、初期三レベは相当なスタートダッシュだ。これはこの後の戦闘で期待できるな、と言おうとして、元から頼りになりまくりだったことを思い出す。
そうこうしている内に、っぽい雰囲気の建物が見えてきた。
「ここか」
「冒険者ギルドみたい、って直感的にわかるの、結構すごいよね」
「剣と盾のエムブレムが描かれた旗出してるしな……入ろう」
追い出された。
「なんだよ、『冒険者登録』って……」
「噴水を挟んで奥か手前か。見事に二択を外したわけだ」
「冷静に言うなァ……」
愚痴を零していてもしょうがない、俺たちは来た道を戻って、案内された迷宮人形管理館へ向かった。
で。
「意外とあっさり登録できた」
「今朝の異変で、何故か迷宮人形の大半の記録が初期化してしまって、此方としてもてんてこ舞いなんですよ」
「へぇ」
「という訳で、今日何度目か分からない説明をします」
疲労で目が死んでいる。
説明によると、この施設には、名前の通り迷宮人形の諸々に関係する設備がある。
スキル熟練度のセーブポイントや、職種を転職させる装置、、復活ポイント等。
迷宮探索中、EN総量がゼロになったり、人形そのものを破壊されると、ロストとなってしまう。ロストすると、探索中得たアイテムを失うだけでなく、熟練度等の経験も無かったことになってしまう。
リスポンには馬鹿に出来ない額のクレジットが掛かるので、無理をしないで帰ってきてください、と注意され、半透明の球体を渡される。
「此方は初回限定でお配りしている《帰還玉》です。二つ目以降は買うように。使用する際は砕いてください」
「砕く」
「はい。……以上で説明は終わりです。なにか質問は?」
「取り敢えず大丈夫かな、ありがとう」
少しコアのことを聞こうか迷ったが、後でいいだろう。別口で登録していたスピードも終わったようなので、ギルドにリベンジだ。
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