エルフのエルクさんと・・・
ゲートを出た先には暗い場所らしいが、ユリさんは迷い無く白く光るボタンを押し証明を付け、グリーンに光るボタンを次に押すと。
「暫く待ってね喜一ちゃん」
「・・・呼び鈴的なボタン何ですね・・・」
「そうよ、まあ私とエルクさんしか知らないけどね」
美人の悪戯顔でユリさんは言う、普通にしてればモテる黒髪ロングの美女だけど、お茶目を超えた悪戯好きな部分が在るので、母はユリさんが彼氏出来ない理由と前に言ってた。
まあユリさんは普通に旦那に尽くす系だが、悪戯心に火が付くと困ったちゃんに成るらしい、もう少し立ち振舞いが大人しく成ればとかも、言ってた気がする。
まあ今は普通に美人さんだけどね、少し僕の今の状況を楽しんでは居るけど・・・
暫くするとあんこを口に付けた、金髪碧眼でタレ目だが顔は整ってるが、何か残念女性独特の何かを感じる、そうシャルさんみたいに無駄にお金を後先考えずにたまに使い、自分の首を自分で締めるそんな雰囲気を感じる、そんな色々残念な美人エルフさんが現れた。
「エルクさん速いわね」
「・・・め・・・珍しいわね・・・ユリちゃんが、この時間に・・・この子はまさか・・・噂の喜一ちゃん」
息を切らせながら、僕を見てそうエルフのエルクさんは言うと。
「フゥー・・・上坂ちゃんから聞いてるわよ、お菓子作りの腕は良いのに何故か、あんこのお菓子を作らない能力の無駄遣いて」
「・・・今度上坂さんに会ったら、殴りますね・・・」
僕は僕の食べたいお菓子だけにしか、作る気はないし文句を言われる覚えはないし、エルフの為に僕の腕はある訳ではない。
「良いわよ、どうせ妹の絵里ちゃんに毎日殴られてるから大丈夫よ」
何だか知らないが、あの無駄イケメンエルフは妹に毎日殴れてるらしい、顔は変形してないからボディーブローだろうか?
「名乗るの遅れましたが、一応・・・神坂 喜一です始めましてエルクさん」
「私はエルフが作った穀物とかを売ってる、会社の社長をしてるエルクよ・・・そうね、クーちゃんて呼んでね喜一ちゃん」
一応握手は交わすが、年上のエルフにクーちゃんは何か抵抗感が、エルクさんのままで対応しよう。
「僕はお任せしますよエルクさん」
「・・・ユリちゃん、喜一ちゃんがクーちゃんて呼んでくれない・・・」
「普通に当たり前よ、エルクさん」
「うぅー・・・」
このエルフさん名前呼び程度で、ガチ泣きしてる・・・イヤ何かユリさんが、呆れた顔してるし何時もなのかな?
「それよりも要らない異界のガラクタを、喜一ちゃんが持って行っの良いかしら?」
「ぐっすん・・・そんな事て、ジョージが居ないから鑑定のスキル無いし、あんこのお菓子を造る機械探したいし・・・」
ジョージさんから預かった、紹介状を思い出して万能空間から取り出して、エルクさんに渡す。
「街に着く前にジョージさんが書いた、何か紹介状です」
「え!? ジョージに会ったの?」
「ハイ、アーティファクトで蒸留した酒を飲みにと、今は何処かの宿屋に居るはずですよ」
紹介状をエルクさんは受け取り、封を切り中身を見て僕を見ると。
「あんこのお菓子を造る機械在るか、鑑定してくれたらガラクタ全部あげるわよ」
「ガラクタて普通に言ってるね、エルクさん・・・」
「良いのよ、使い方分からないし使えなければガラクタよ」
ハッキリと言うエルフらしいが、あんこ菓子意外興味が無いみたいだ・・・
「じゃあ探しましょう」
「本とかも要らないみたいだから、持ってて良いわよ喜一ちゃん、私も前に何冊か貰ったし」
どうやら異界の書物もエルクさん的にガラクタらしい、ユリさんは面白い漫画本の、女性向けを何冊か貰ったらしい。
エルクさんが扉を開けたので、その後を追い向かうと何故か扉の先に鉄の船が目の前に在る、船を迂回した先には大きなシャッター扉が遥か向こうに見える。
旅装一式が置かれてたり、不思議な青いガラスの様なキューブや変な鉄のカプセルに、刀や剣が置かれてる。
他にはシステムキッチンが在り、スキルを使えるか試しながら調べると、火や雷のエーテル魔石て物をエネルギーに、コンロやオーブンが使えるらしいが、形は決まってないらしく投入するタイプらしいが、確かに物を見てお金に換算して鑑定した上に値段や、名前は出るが使い方は知識として流れて来るが、理解出来る範囲で取説みたいな感じだ。
魔石て物の代用にモンスタードロップした、コアクリスタルも代用で使えるか後で試そう、まあそのエーテル魔石てのは倉庫の端に山積みに成ってるけどね。
他にもそのエーテル魔石で稼働する、ステンレスの冷凍庫に冷蔵庫のコンテナや、水力発電一式や何かのエネルギー発電の機械の試作品の、未完成品や電気の湯沸し器や洋菓子作りに使える、調理器具や何故か一つだけガスのキッチン一式も有ったので、暫くはガスキッチンを使おう。
「饅頭製造機や羊羹製造機とか無いかしら?」
「そんなのは無いよね、喜一ちゃん」
「・・・洋菓子の調理器具位ですね、何か量産用のパン生地とかの機械在りますが、饅頭とかに使えるけどカスタードクリームとか、そんな甘い匂いが付いてるからね・・・
たぶんあんこにカスタードとかの、匂い混ざるかもよ・・・しかも、職人仕様らしく分量とか職人の技術ありきな仕様」
楽して作れる機械ではないと知り、エルクさんは絶望の顔で床にヘタるがまだある。
「自動で造るのも在るけど」
エルクさんが一瞬でパッと笑顔に成るが・・・
「電気式らしいから、電気出力が合わないと壊れるだろうね」
絶望の顔でエルクさんは言う。
「・・・絶望しかない・・・」
「職人を雇えば良いのに、一部部品は交換して・・・」
だがエルクさんは聞いてないみたいだ、ユリさんは調理器具を見ながら一部ちゃっかり、使えるのを持って行くらしい。
パンの作り方の本とか異界のクッキング本、ユリさんに案内され更に金や宝石以外のインゴットを貰い、一応聞いたら宝石や金も要らないらしいので貰い、不思議な猫の目の宝石は価値が不明で値段が付かないらしい。
さくにゃーはぬいぐるみの様に、肩から何故か落ちずに器用に寝たままだ、何時頃から寝てるかは不明だけど・・・
何か猫ちぐららしきのも有ったので、さくにゃーの寝床に貰って行く。
次にキューブを鑑定すると、万能空間とは違う収納アイテムらしいので、電源スイッチらしきキューブの面に在る電源らしきボタンを押すと・・・
キューブは空中を浮遊し、青く美しい光を放ち女性の声らしき音声が流れる
「──・・・認証不能──・・・前持ち主の確認不能───・・・新たなマスター登録を、開始致します・・・」
光がキューブから放たれ、僕の全身を光でスキャンしたみたいだ。
「認証完了・・・此より異空間キューブは、神坂 喜一の所有に成りました・・・全機能を開放します・・・」
「何か凄そうなのね」
「私の時は反応しなかったのに・・・」
エルクさんが何故か近くで拗ねて居た、キューブは中身の提示をしたが何か異界のモンスター素材や肉、モンスターを解体する機械が搭載されてるらしいが、モンスターを解体する機能はこの世界には要らないかな・・・
あと黄龍の肉てのあるが、食べれるらしいがどうやって食うんだろう?
しかも起動を始めてから、自動回収が始まり船やら色々回収してるが、まあ良いか・・・
「倉庫がスッキリして来てるわよ、エルクさん」
「何か凄い物ね・・・私の時は、動かなかったのに!」
エルクさんは怨めしくキューブを睨む、まあ睨んでも意味はないが・・・
何か畳とかも入ってるのだけど、あとカプセルはダンジョンハウスと夜営ハウスて、便利な宿泊機能のアイテムらしいが何故からし、キューブの機能にも異空間ハウスて言う宿泊空間が入ってるらしい。
あと温泉探査や武器や防具やモンスター素材に、薬草やハーブや回復薬等用途により細かく区分されてる。
ついでに万能空間のを出すと、それも出してる端から回収し区分に仕分けされ、書物も整理され更に分類ジャンルも区分され、なかなか楽に探せる様に成ったが。
キューブは本の解読を始めたらしいが、解析が難しいのはやはりキューブも後回しにするらしい。
「空中を喜一ちゃん見てるけど、何も無いよね?」
「持ち主以外見えない仕様かしら?」
そんな話し声がするが、万能空間から出すのに忙しい。
ベッドや布団は中古は要らないので、エルクさんに処分は任せ新品を貰い、何故か入ってた酒蒸し饅頭をエルクさんに渡した。
「酒蒸し饅頭ね、私大好物なのよね、何処で手に入れたの?」
聞かれたので答えた。
「向こうで旅の途中で、酒蒸し饅頭のスライム倒したから・・・」
「・・・私が居た時そんなモンスター、居なかったわよ・・・しかも、私達が去った後の日本人が作ったらしいから、私達が居る時に来なさいよて言いたいわよ」
理不尽なエルフだなと思った、酒蒸し饅頭を奪いやけ食いするエルクさん、なんだかなぁ~
さて今酒蒸し饅頭のスライムは、エルクさんが居た時代に居なかったらしいが、では何故今は居るのだろうか?
「酒蒸し饅頭はそっちも貰うわね」
そう言いもう一つ在った酒蒸し饅頭の他の封を切り、エルクさんを横目に僕は万能空間から全て出して、キューブの異空間倉庫に全部移し終えた。
異界の魔法は空間魔法も有り、何かにいつか使えるかも知れないが、現状このキューブの性能に勝る機能や魔法は無さそうだ。
「じゃあ用事済んだし、寝る場所作らないとな・・・」
「私は家に帰らないと・・・」
「また来てねぇ~」
手を振るエルクさんに頭を下げ、さっき来たゲートの扉を開き戻ると。
「喜一ちゃん頑張ってね」
「寝床間に合わなければ、今日手に入れたアイテムを使いますよ」
「じゃあおやすみ」
「はい、ユリさん」
ユリさんはもう一つのゲートの扉を開き、帰って行った。
「腹減ったな・・・レーションでも食べよ」
屋敷の外はもう暗く夜に成ってた、キューブの宿泊機能に指タッチすると、猫のシルエットのドアが目の前に現れた。
ドアノブを引くタイプらしく、トリガーらしき場所を引き扉を開けると、普通の玄関が扉の先には在った。
「何か友達の家て感じだな・・・構造が、実家は古いスライドドアだしな・・・」
ブーツを脱ぎフローリングの廊下を見る、玄関近くにトイレが在るので見たら、僕らの文明と同じらしくシャワートイレだった。
男女共用なのか同じ場所に、トイレが3ヶ所個室が在るがトイレペーパーは、何故か大量に近くの物置に積まれて居た。
トイレは自動掃除機能付きらしく、使用後に自動で除菌や掃除をしてくれるらしい。
右はトイレだったが左側の方は、二階への階段と『湯』と書かれた暖簾が有り、廊下は更に奥まで在るらしい。
風呂は後にして、玄関から伸びた廊下を進み突き当たりの扉の先は、マッサージチェアーとかある部屋が在り、さくにゃーは肩から降りて、頭を? 傾げてる気がする・・・モコモコなので分からないが、そんな感じだ。
突き当たりの右の先に台所が在った、数人座れる椅子とテーブルに奥には、畳部屋が在るしその更に奥には襖が在る。
台所スペースには、冷蔵庫やガステーブルらしき物やまな板やシンクは新品みたいだ。
冷蔵庫の中身は何故か缶に入った七味と、柚子七味にプラスチックの容器に入ったソースと醤油とケチャップだけが有った。
「・・・調味料少なくない?」
「にゅ~!」
お腹が空いたらしく、さくにゃーが足に体当たりして来るので、キューブから試行錯誤で煮干しを取り出し、さくにゃー用の皿に入れ置くと、一瞬で煮干しがまた消えた・・・
「にゅ~!」
まだ足りないらしいので、更に袋から出して入れるとまた一瞬で消える不思議。
取り出すにも取り出し為のタッチが必要らしい、まあ取り出す物のアイコンにタッチするだけだが、知らなければ苦戦するに決まってる。
ステンレスの冷蔵庫や冷凍庫の中身は、モンスターや魚や牛の肉が入ってたが、基本大丈夫らしいが今日は夕食を作る気力が無いので、カレーレーションの水注ぎ口に水を入れ、化学反応で温めて湯気が収まり少し経ってから開き。
スプーンでカレー飯を食べる、やっぱり手軽だな・・・カレーは・・・
パウチを濯ぎゴミ箱に捨てると、パウチが一瞬にして消えた・・・
パウチは原子分解されたかの様に消えた、まあもうゴミは無いから確かめられないが。
隣の部屋で食休みをしてから寝る場所を探し、廊下にさくにゃーが使えそうな猫自動トイレを、キューブから出して置くと直ぐに入ったさくにゃー。
トイレを我慢してたのだろうか?
寝れそうな部屋が沢山在るが、畳の部屋に決め部屋着に着替えて、風呂に向かうとさくにゃーも来たが、何故かトイレから今出て来た様な・・・
アレは寝床で無いよさくにゃー・・・
暖簾を潜り『男』と書かれた暖簾をまた潜り、脱衣場らしきスライド扉を開き服を脱いだら、いざ・・・お風呂へと突撃したが・・・
「何だ・・・コレ・・・」
広がる露天風呂の数々、お風呂好きには堪らない光景だった・・・
「にゅ~・・・」
何故かさくにゃーはもう小さな湯船に入って居た、浅くなさそうだがどうして沈まないで居られるのだろうか?
それより身体を洗い迷いながら近くの風呂に入る、匂いも温泉独特だが入った途端に身体の疲れが抜ける様な、そんな錯覚の様な感じと共に身体が軽く成り、旅の疲れが一気に癒されてる様に感じた。
さくにゃーも温泉でご機嫌らしく、まだプカプカ浮いて居た。
暫くしたら上がり脱衣場に戻り、寝巻きに着替えるとふと目に止まる自動販売機、試しに浮遊してるキューブから銅貨を出して、二枚コイン口に入れるとボタンが光ったので、猫用牛乳パックと高原イチゴミルクを押すと出て来た。
パックにストローを刺し、さくにゃーと湯上がりの一時を味わい、マッサージチェアーで更に凝りを解してから部屋に行き、布団に入り泥の様に眠った・・・
翌朝は朝食後からミッションスタート、屋敷に入り最初のミッションスタート、先ずは台所から始めガステーブルと、システムキッチンを設置してテーブルや椅子の位置を決め、キューブのアイコンを押し設置して行く。
異界の建築魔法を使い増築し、一部壁をぶち破りステンレスの冷蔵庫と冷凍庫を設置。
皿やカップ等の棚を設置する、広かった台所とダイニングスペースは、まだ余裕だがお菓子はココで作る気はない。
何故かこの屋敷にはキッチンスペースが二つ在る、まあ屋敷にしては聞いてた貴族の間取りとは違うけどね。
大食堂も在るが煌びやかな感じは無かった、所有してるアルバトスの転移拠点だし仕方ない。
暫くするとユリさんが合理し、応接室の飾りやら見栄えやらをしてくれ、椅子やテーブルを在る物で何とかしたがカーテンとかは、ユリさんが急遽連れて来た妖精にドーナツで頼み高い場所は何とか成った。
ユリさんに温泉の源泉のゲートで行き、土砂で潰れた温泉を引くパイプを諦め、キューブで新たな源泉を探し良い源泉のお湯を、パイプを新たに繋げて引いた。
「土砂崩れで使えなかったのね、たまに見に来ないとダメね」
「・・・今まで見に来て無かったんですね」
「テヘェ」
ユリさんのお茶目ポーズを無視し、屋敷に帰る。
「喜一ちゃん置いてかないでよぉ~!」
「にゅ~!」
一応客間を一部屋をユリさんに任せ、二階の広い部屋に紅茶やジュースやお菓子を食べるスペースに、木枠で段差を作り畳を引きのんびりスペースと、さくにゃーの寝たり自動トイレスを置き、後は自分の寝る場所を作り昼過ぎには作業が終わり、さくにゃーと部屋を見渡す。
「にゅにゅ~!」
さくにゃーが嬉しそうに飛び降り、たぶん走ってるがモフモフ過ぎて走ってる様に見えん、謎の生き物だし・・・鑑定しても・・・・・無意味だしな。
昼ご飯にユリさんが、味噌煮込み鍋焼うどんを作ってくれたが、何故か本人はそうめんを食べてる・・・解せん・・・
お菓子を作る気力無くその日は、午後はだらだらとしさくにゃーと昼寝をして過ごした。
ユリさんはいつの間にか帰ったらしい、さくにゃーとゆったりとその日は過ごした。