物見遊山の旅・・・
蒸気機関車に揺られながら遠く小さく成る、プルミエールの街の城壁を見ながらチョコクッキーを食べる、プルミエールでは結局観光や買い物すら出来なかったが、何故か東方暁の人間を目の敵にしてるらしき、大司教だかのおかげで変装して旅をする羽目に成った。
聖王国も何やらキナ臭いらしく、この頃は聖王国から逃げて来た民衆が増えつつ在るらしい。
その内大司教に対し、不満の在る民衆がクーデターを起こすのではとの噂があり、それに比例するかの様に神官を雇う金額要求が増してるらしい。
魔法技術国も元々大司教と仲が悪いが、この動きに更に警戒を強めて国境警備や、軍の緊急招集が始まったらしいとグラストさんは、朝届いてた魔法技術国の王様からの手紙を読んで言って居た。
暫くは手紙のやり取りは出来ない程、警戒を強くして公務しないと成らないから、当分文通は出来ないすまないと書かれてたらしい。
景色は穏やかだけどこの大陸は、激動の時代に入るのかそれとも平和に、旅が出来るかは分からないが、未来は未来に任せて先ずは金細工を見て回ろう。
北回りの蒸気機関車は長いベレスト山脈沿いを進み、鉱山の街の一つドストレアに少し停車し、グラストさんからもう要らなくなったアルケミストの本を読み、いつの間にか発車してた蒸気機関車は、中型の運搬船が通れる運河を二つ渡り切り替えポイントで検問に合い、怪しげな赤いローブと白いローブの数に対人武装ベスト姿の、迷彩服を着た軍人らしき人が連れて行った。
僕が乗る車輌にも来て何かの装置を使い、一人居たらしく普通に締め上げて連れて行った。
二分後に再び動き出し当初降りる予定の、鉱山の街ベレストで降りる。
蒸気機関車は巨大なホースらしき物で、給水補給をして居て駅は鉱山の街にしては、黒く高級感溢れるガラス張りの様な造りの、駅タワーの様な造り。
改札を出て中を散策すると、ジビエ鉄板レストランやパスタレストラン、何処にでもある定食屋が在るが興味は沸かない。
鉱山街の発展の歴史ミュージアムは、魔法映像と言う技術で当時を再現した映像が流れる。
採掘されるのはオリハルコンと、少しランクが低いミスリルと鉛や銅。
古い鉱山にはモンスターが居るらしく、冒険者の狩場として開放してるらしい。
この大陸のモンスターとの戦闘経験もしないとだが、使えるとしたら精霊石のオーラブレードと、あのクロスクレイモアの二択だ。
どのみち魔法で倒せば良いが、この大陸で怪しまれずに魔法をチョイスするのは大変だ、シナップス師匠の集めた情報によれば、他の大陸から来た冒険者が失踪する事件が増えてるらしく、特に港町から出た冒険者の失踪が多いらしい。
この怪奇事件で、他の大陸から来た旅人が少ない原因とか、色々調査されてるが足取りが掴めず、迷宮入りらしい。
まあ僕は船より飛行魔法を使う派だし、船上で味わえない経験も出来るが、嵐の船だけは地獄で船酔いフィーバーするから苦手。
最初に旅でのあの嵐は今も、トラウマ船酔いだ・・・
何日体調が回復しなかったか、本当に地獄の嵐の船酔いだった。
駅をあらかた見回り、鉱山から来たらしき鉱石を運搬する特別蒸気機関車が、重い鋼鉄製の積載貨物を引いて製鉄所に向かうみたいだ、駅を出て街を見て回ると武器屋を発見して入る。
「いらっしゃい・・・冒険者か?」
気だるげに言う中年・・・いやビール太りのオッサンは、二日酔いらしく気持ち悪そうだ。
「少し店の物を見物しますね」
「勝手にしな・・・イタタタ・・・」
殴打系武器が多いが、鉱山の街独特か先が鋭いつるはしの様なウォー・ハンマーや、これも鋭い先のピックハンマーに鋼鉄製のモーニングスター、武器用ダイヤモンド炭素強化された、ヘビー・フレールは凶悪な硬化され過ぎた武器だ。
アレで殴られたら、一撃で死ぬかも知れない。
ピンと来る武器は無かったので、店を去る。
「また売れなかったか・・・」
ラインナップが独特過ぎます、オッサン。
近くの露店で果物を見て、銀貨一枚払ってリンゴを一つ買い匂いを確める、酸味が強そうな匂いなのでアップルパイに向くリンゴの様だ。
追加で銀貨を五枚払い、リンゴを更に買いポケットからマイ袋を出して中に入れ見回る、クリスタルローズと言う不思議な錬成素材を、グリフォン銀貨五枚で一つ買った。
このクリスタルローズは、雪原でたまたま手に入った品らしいが売れないから、グリフォン銀貨五枚らしい。
なかなか綺麗な薔薇の形をしたクリスタル、花弁まで薔薇の様な形をしてるが、どんな素材なんだろうか?
他にはアーモンドやマカダミアナッツ、ブルーアーモンドにフルムーンマカダミアナッツ、クルミやフルティークルミを味見しながら買ったが、なかなか質の良いナッツでチョコや小腹空いた時や、砕いてアーモンドチョコドーナツにしても良いかも知れない。
「色々バリエーションが広がる、珍しいナッツはかなり甘味が違うな・・・」
ブルーアーモンドは爽やかな味がするし、フルムーンマカダミアナッツは満月の様な色だが、なかなかクセに成る感触と甘味のナッツ、少し塩味を入れるとまた違う味を楽しめそう。
駅に戻り首都には行かずに、金細工の街サドに向かう。
少し高めの席を買い、リクライニング席でサドまで優雅に読書をした、途中ナラと言う駅を見たが東方暁の聖都菊花に似た、静けさの中に歴史が在る街の様だった。
暫くし目的の駅サドに着いた、もう夕方近いので宿屋を探し温泉ホテルを発見し、今日はこのホテルで一泊する。
ホテルの中は金細工と漆工芸に、色々な技法の金と漆器の細工技法をふんだんに使われたホテル、一応入る前に変装を解き中に入って居る。
「いらっしゃい・・・此は珍しいお客人だ、ようこそトキの湯へ・・・記帳を御願いします」
名前を書き荷物を無いのを疑われたが、前払いでも構わないですよと言ったら、一泊金貨10枚らしいので懐から財布を出して払ったら、開いた口が塞がらないで居るスタッフさん。
長年の居るらしきお爺ちゃんスタッフさん、普通に動じずに部屋に案内してくれた。
「若いのが失礼な態度をしてすまない」
「僕もうっかり手ぶらだったので、疑われても仕方ありませんよ」
「色々すまないねお客さん」
「温泉は何処ですか?」
「案内板が廊下に在るから、それを見て行けば良いが、お勧めは東館て書かれた露天風呂・・・月を見ながらの温泉は、なかなか風流じゃよ、夕食は部屋に有る呼び鈴ボタンを押せば数分で運んで来る、ゆっくりして行きなされ・・・旅の若者さん」
なかなか渋いチョイス、着替えてから部屋の鍵を閉め浴衣でルンルン気分で行く、客を見ないが気にせずに行く。
東館の脱衣場に入り貴重品は万能空間に入れ、札鍵を外し腕に札鍵を付け身体を洗い、温泉に浸かる・・・
「他の大陸に来て最初の温泉・・・生き返る~」
凝った身体を温泉で解し、何故か貸し切り状態の露天風呂を満喫する。
「駅近くのホテルなのに、何故人が居ないのだろうか?」
炭酸泉にも入り温泉を満喫し、身体を拭き新しい下着に着替えて帯を結び、近くのマッサージチェアで更に身体を解してから、部屋に戻る。
鍵を開け中に入ると気配がしたが、隣の部屋からだったが何故部屋から気配がしたと、錯覚したのだろうか?
異世界人の日本人は東方暁と同じ文化と聞く、この国を建国したのはその日本人だから、宿の部屋もイグサ香る畳なのは普通だが、まさか緑茶が他の大陸で飲めるとは思わなかった。
さっきの案内してくれた、スタッフさんが言った通りボタンを押して数分で温かな鍋料理が来た。
モンスターボアボアて肉のぼたん鍋に、朴葉味噌のステーキに川魚の塩焼き・・・定番だな・・・
山菜の天ぷらに何故か蟹の刺し身・・・
「ご飯はアケノササニシキで御座います」
「有難う御座います」
「いいえ、キナ臭く成って観光客が減ってる時に、数百年ぶりに東方暁のお客さんが来ましたし、これも何かの縁です、後はゆっくりお過ごして下さいまし・・・」
女性スタッフはそれだけ良い、他のスタッフと一礼し去って行った。
ご飯は輸入した米ではなく、現地で育ったお米だがもしかしたら、情報を正解には他国に出して無いかも知れない、ぼたん鍋は味噌の味がなかなか美味く、朴葉味噌の味噌とはまた違う種類で、味噌の幸せ成分が旅の疲れを癒してくれる。
焼き魚は普通だったが、蟹はなかなかプリプリで唸る程美味かったと言おう。
運びやすい様に纏め、食器を下げて貰った。
デザートに水まんじゅうは予想外、腹が落ち着いてからゆっくり頂いた。
次は朴葉味噌ステーキだけ頼もう、いくら食べても飽きない気がする。
鍵をし布団を敷いて、ふかふかの布団で泥のように眠った。
翌朝目が覚めると支度をし、他の温泉に朝風呂に向かった。
まだ霧が濃く朝日は見えないが、温泉に浸かり身体と頭がスッキリと目覚め始める。
朝食は納豆と味噌汁に卵焼きを頼んだ、味のりもオプションに有ったので頼み、今から朝食が楽しみで成らない。
部屋に戻りボタンを押し、数分でまた来たのでゆっくり味わって食べる朝食、幸せだぁ~
食べ終わり食後のお茶を、心静かに飲んでると隣の部屋が騒がしい。
「秋刀魚の塩焼きを頼んだ!」
「朝食に秋刀魚は在りませんお客様・・・」
「じゃあ、鯨肉の竜田揚げなら?」
「・・・そもそも当ホテルは、鯨肉を提供しておりません・・・お客様」
「・・・川魚の塩焼きだけ?」
「魚料理は塩焼きと煮物で御座います・・・」
「じゃあ塩焼きで・・・グッスン・・・」
大変だな・・・ホテルのスタッフも・・・まあ、最初の冒険に出る前にフライ・ドライブの熟練度を上げる時に、鯨を倒した気がするが・・・まあ、貴重な肉だし聞かなかった事にした。
食べ終わり支度をし、ブルーの戦闘服を着て前払いしてるので、手続きだけしてホテルを去る。
街に足を向ければ漆喰と防火性高い木造建築の、店が連なりあぶらとり紙や暁紙に似たカラフルな折り紙の紙、竹細工のと漆工芸の照明ライトスタンド、金細工の漆漆器や長寿箸など見て、母の土産に買う、まだお金に余裕は有るが何時かはまだ大量に在る宝石も売ろう。
あとこっちでもブルーアーモンドとか買えたので、母の土産に再び買い漆工芸の仕事を見学したり、金と銀を使った髪飾りを見学したり、金と銀を使った細工仕事を時間を忘れ見てた、金槌の使い方の力加減や技法や角度等、熟練された腕は凄いとしか感想が出ない。
昼も忘れ色々な店に入り、色々な工夫を見ながら技術の底の無い職人技を、色々見回り茶屋でみたらし団子を昼ご飯の代わりに、三時のおやつを食べる。
甘味が空きっ腹に染みる・・・
「なかなか味わえない経験だな・・・」
「団子が?」
何か朝聞いた様な声が近くからした、声の主を見ると銀色の長い髪に白いリボン、蒼く澄んだ猫の様な瞳に幼き顔をし小柄で華奢な体格たけど、背中には大剣を背負い両サイドに長剣とショートソード、腰にも何かの剣を装備してる様だ。
服装は水色のファンシーワンピースドレス、白い手袋をし華奢な体型とは裏腹な光景だ。
「金と銀細工の職人技の技が、素晴らしくってね」
「・・・なんだ、食べ物じゃあ無いんだ・・・」
食べ物の話をした覚えは無いが、良く見ると大剣ではなくバスタードソードみたいだった・・・まあ、大剣と変わらないか、隣の席に座ると団子や饅頭を結構頼んでた、そして呟きながら言う。
「秋刀魚、何処かで食べれないかな?」
「旬以外は秋刀魚、普通には無いよ」
「知ってる・・・でも食べたい!」
秋刀魚病らしい、禁断症状のこの少女は可哀想だが手持ちには無い。
「噂の東方暁なら食べれるかな?」
「無理!」
「何で?」
なぜと言われたら、まだ旬では・・・アレ?何時の季節出発したけ?
「今の季節て・・・」
「確か夏だった様な・・・」
「夏は鰻だな・・・」
「ウナギ?」
「黄金の鰻・・・それでか、あのエルフのオヤジが鰻出した訳だ、季節感覚が麻痺してるな」
「?」
鰻について話すと話に食い付いた。
「そのウナギ食べたい、ふわふわし美味しいて魚」
「アレは魚だろうか?」
「早く・・・早く・・・」
「国に戻らないと無理、この大陸に居るか・・・」
「居るぜ、初代国王様が好物だったウナギ」
店の親父が言うが・・・
「この辺りには店は無いぜ」
「そんなぁ~」
「他の街なら在ると?」
「さあな、高級な食い物だから庶民の俺は知らねえな!」
「地元近くなら、鰻屋が沢山・・・確か此処に来る前に、湖在ったが・・・」
「大半は王に献上するウナギさ、庶民が食う程漁師が捕まえてるかね?」
まあ他国の事は分からないが、ウナギを教えた手前では後には引けない。
「仕方ない、奥の手を出すか」
「奥の手?」
「僕の手?」
オヤジ、そんなボケは要らない。
万能空間から本を取り出すと、周りが興味津々に集まる。
「えぇーと、コレコレ・・・」
一応陰陽道の術だが、他にも召喚魔法が有り一時的に魔法を付与して、検索する魔法が在り陰陽道と魔法が合わさった検索召喚魔法は、特に便利で紙を食べさせて検索させると契約が終了と共に、地図が舞い降りて来るが検索範囲は呼び出せた鳥次第。
「サモン・・・バード」
空から鷹が降り隣に降り立つ。
「「「おおぉー!!」」」
「珍しい見せ物だぜ」
魔法なんだが・・・専用の紙を食べさせて
「鰻屋若しくはウナギを探索を頼む」
「お任せを主」
「「「鷹が喋った!!」」」
「これ欲しい・・・」
「契約が切れると、また普通の鷹に戻るけど」
「「「何だ・・・」」」
「欲しい・・・」
鷹は飛び上がり一時的に発現する検索能力で、検索をする。
長くて15分で帰って来る、洞窟やダンジョンでは特に貴重な魔法だ。
「帰って来ないな・・・」
「見せ物もう終わりか?」
「ヤベ・・・早く帰らないと、親方に締め上げられる!」
「俺もだ、半殺しにされる前に帰らないと!」
野次馬は散り散りに去って行った、数分後空から紙が降りて来た。
「・・・簡易地図には無い場所だな、場所は北の方だね・・・・・」
「今直ぐ行く!」
眼を輝かせ言う銀髪少女。
「お代は払ってくれよ」
「駄賃は要らないオヤジ、ウナギが私を呼んでる」
少女はグリフォン銀貨二枚を払い言うと、店のオヤジは。
「・・・嬢ちゃん・・・」
「何?」
店のオヤジが積み重なった、山に成った皿を指差し言う。
「グリフォン銀貨あと一枚足りない」
「そんな・・・バカなぁ~!!」
「僕はグリフォン銀貨二枚ですよね」
「毎度!兄ちゃん」
少女も慌ててグリフォン銀貨を出し、オヤジに渡すと。
「待って! 置いてかないで・・・えぇ~と、何とかさん」
まだ名前を名乗って無かったが、危うくズッコケる所だったが、店のオヤジはズッコケて居た・・・哀れ茶屋のオヤジと、山に成ってた皿が雪崩れてズッコケて倒れてたオヤジを、皿が埋める・・・哀れなり・・・
「僕は喜一だ」
そして少女は名を告げる。
「私はチェルシー、チェルて呼んでね・・・あとこれから宜しくねキイチ」
「イチでも構わんよ」
「・・・じゃあキーくん」
「何故に女子は皆、僕をキー君て言うかな・・・」
「キから始まるしイチより言い易い」
酷いな・・・まあ良いか・・・諦めよ・・・
「じゃあキー兄さん」
「沢山鰻を食わせてやるぜ」
「何か性格変わり過ぎ・・・」
こうして人生初めての旅人同士の旅の仲間は、このチェルシーことチェルさんとの食べ物と冒険の、旅の幕開けだった。
この先には、色々な出会いが待ち受けて居た。
「駅に急ぐキー兄さん」
「チェルさんは何歳何だ?」
「18・・・だよ」
幼い顔で年下と思ってたら、同い年かよ!
「同い年なんだが・・・」
「じゃあ急ぐよキーくん」
「結局そっちに戻るんだね・・・」
チェルさんとウナギの旅はこうして始まった。
「気付けてなぁ~」
「蒸気機関車は待ってくれない!」
「行き先僕しか知らないだろ? チェルさん」
急かせるチェルさんの背中を追いかけて、何であんなに旅行鞄に武器持ってるのに足が早いのだろうか?
「早く、早く・・・」
「急かすなよチェルさん」
駅に向かい改札に行きクレメンス方面の切符を買う、だがチェルさんは財布の中身を見て固まる、銅貨しか無いからだ。
ごぞごそとスカートの中にてを入れ、何故かスカートの中から巾着袋の様な財布を出し、中からは金貨が一枚出て来た・・・何かの塵と共に・・・。
「ホテルで大半使ったの忘れてた・・・」
「なんて計画性無い金使い方・・・」
なけなしの金貨でクレメンスの切符を買い、お釣りを手にし普通車輌で相席で座りながらウナギを求め北に向かうのだった。




