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約束の手紙
ある朝、ポストを覗くと請求書や、DMに、一通の封筒が混じっていた。手紙が届くのは久々だ。「様」付きの宛名に擽ったさを感じる。差出人の名前はない。一体誰だろう、と首を傾げながら家に入り、DMや請求書をテーブルに放り、封筒に鋏を入れた。「あなたがこの手紙を見る時、私はこの世にいないかもしれません」一行目から不穏な書き出しにぎょっとしつつ、読みすすめる。「もしあなたが私のお葬式に出たあとならば、この手紙のことは忘れてください。そうでなければ、あの約束を果たすために、あの岬にてあなたを待っています。」私はこの手紙の主と、その意図に思い至り、段々と顔が赤くなるのを感じながら、台所に立ち尽くした。