梔子
私の全ては諦観だった
いくら息を吐こうが誰にも届かない
誰にも相手をされない
打ち捨てられたぼろ布のような生き方をして、過ごしていく
いつしかそれが、当たり前だと思うようになった
それが、始まり
生まれた時なんて知らない
親なんて知らない
ただ、私は生まれ落ちて
ただ、死を待っているだけ
頭に鈍い痛みが走る
寝起きは、痛い
殴られて起こされるから
「今日はこれを取ってくるんだ」
見せられた薬草は特徴もよくわからない
でも、もう一度見せてなんて仕草をすれば殴られる
大の大人に背の小さな子供である私が敵うはずもない
だから私はよくわからない草を探しに行く
真っ赤な蕾がそこかしこに存在する野山
そこには人を襲う獣が出るという
なのに私はそんな凶暴な獣は見たことがなかった
結局取ってこられたのは小脇に抱えられるほどしかない、それっぽい草花
怒鳴られ、殴られる
また、痛い
あのまま山の中で死んだ方がシアワセなのだろう
それでも私には利用価値があるらしい
ずっと、危険なところから帰ってくる不思議な子供で、口答えもしない
だから、なんとか生かされている
他の誰も、皆と違う私を薄気味わるがって話さない
最低限の、生きのびられるだけの食料を
残飯を投げられる日々
そんな価値のない、毎日
それが当然で、それが日常
眠っているほうが、幸せだ
あくる朝、初めて殴られずに起こされた
村長が私を引き取るらしい
でもやっぱりどうでもいい
私はどうでもいい私の人生を、諦観している