第七話
続きが早く書けてしまったので、投稿します
「今回も予定通りに孤児を捕まえることに成功しました。そして今は、実験台の上にいます。技術自体は完成しておりますので、あとは実践データを集めてみないと何とも言えない状態となっています。」
男が報告書を見ながら、報告をしている。男の周りには、年老いた男性が数十人も座っている。部屋は空調が効いてるため涼しいにも関わらず、男の額からは汗が流れていた。
「誰かに見られていたら、会社の存続に大きくかかわる。誰にも見られていないだろうな?」
「それが……一人だけ、誘拐する瞬間を見られました。すぐ近くに『炎帝』の反応を感知いたしましたので、その人間を回収することなく撤退をいたしました。」
男は怒られることが分かっているのか、ばつが悪そうに報告を続けていく。正面にいる男性の顔がみるみるうちに鬼の形相に変わっていく。
「馬鹿者! こちらは、無断で行っているのだぞ。もし誰かに見られたら、連れて帰るか銃殺をしろと言っておいたはずだぞ。」
「申し訳ございません」
「まぁお爺様、そこまで怒っても仕方ありません。大事なのは誰に見られて、どこの病院のいるかです。人物と病院さえ分かれば、口封じのために殺すのは簡単ですからね。」
会議中にも関わらず、一人の若い青年が入ってくる。青年は学生服を身にまといながら、ゆっくりと会議室の社長席の隣の席へと座る。
「はい。今回の捕獲対象の緋色雪菜の近くにいた存在の名前は、涼風和人。現在いる病院は、他社が経営を行っている日暮病院です。」
青年がその名前を聞いた瞬間、一瞬驚きを隠せなかった。そしてすぐに大笑いをし始めた。笑い声は会議室の部屋全体に響き、何度も反響した。
「すまない。まさか本当に僕の忠告を守るとは、驚いてね。っていうことは、『炎帝』も傍にいるわけか……。これは、下手に手を出さない方がいいと思うよ。下手に手を出してうちの社員が拘束でもされて、取り調べで事実を話したりしたら面倒なことになる。けどあの実践には、ちょうどいいかもしれない。お爺様は、どうお考えになりますか?」
青年は、社長席の方を見て話しかける。お爺様と呼ばれた、歳老いた男性は頭を悩ませる。
「どっちらにしろ捕獲をしている瞬間を見られたのだ。どうするにしても、何かしらの対処は、しなくてはならないだろう。その男には、利用価値がある。あの女を引っ張りだすのには、絶好の餌だ。殺さずに生け捕りが望ましいだろうな。」
「それなら、あれを使って『炎帝』の足止めをして、その間にうちの者が生け捕りをする。そんなシンプルな作戦で行こうか。反論は、無いよね?」
青年の目がぎらぎらとした獲物を狩る野獣のような目に変わる。すると誰も反対をしないのか、全員が黙り込んでいる。
「それじゃあ、計画通りによろしくね。今日は、これで解散だね。」
それで会議が終わって、みんなが会議室から出ていく。青年も会議室から出ようとしたとき、報告をしていた男性に止められる。
「少しよろしいでしょうか?」
「どうしたの?」
「ご学友を巻き込んで本当によろしかったのですか?」
「学友なんて所詮は、遊びだよ。僕にとって大事なのは、この会社の存続と拡大だ。会社の利益のためなら、友達だろうと切り捨てるよ。君の働きには、期待しているよ。」
そしてそのまま青年は、会議室を出て行った。
さーいよいよ本格的に最後の勝負に向かって進んでますね
今回の話数で全てのピースが揃ったので、あとはそれを結んでいくだけです。全ての伏線だけは、回収しただけで、まだ話は残ってるんですけど……
最後まで盛り上げていこうと思ってますので、楽しんでくれると嬉しいです。(書いてる本人が一番、楽しんでそうですけど)