第六話
明日も分の投稿を今日出しちゃいます。
楽しんで読んでくれると嬉しいです
俺が目を覚めると知らない光景が目に入ってきた。
「うっ……ここは?」
「和人、ようやく目覚めた?」
優姉が心配するように顔を覗き込んできた。俺は、何があったのか記憶を思い出していたのっか、目の色が変わった。
「優姉、雪菜を知らないか? 俺と一緒に帰ってる時に襲われたんだ!」
急に体を動かしたせいか、体に痛みが走った。まだ痺れが残っているようだ。体が思っているように動かない。
「和人、少し落ち着いて。雪菜ちゃんが狙われてたみたい。和人が倒れてた近くには、誰も倒れてなかったそうよ。そのかわり、散らばった食べ物が落ちてたみたい。警察に頼んで、今捜索してもらってる最中よ。とりあえず和人は、怪我を治すことに専念しておきなさい。学校も大事を取ってお休みすること。分かった?」
「分かった。」
言われた通りに俺は、おとなしくベットに横になった。
「私は、少しお医者さんと話をしてくるからね。それから後で、必要な物とかも持ってくるから。」
「うん。優姉、ありがとう。」
優姉の言われた通りにベットの中に戻った。だが目の前で雪菜がさらわれたことが頭から離れない。また大切な人を失うのかと思うと、体が全身が拒否反応を起こすかのように震え始める。
頼むから収まってくれ。俺にもっと力があったら、雪菜を守れたかもしれなのに……。
俺の目からは、涙が溢れ出していた。
「ごめん。雪菜、ごめん……俺にもっと力があれば……。ごめん」
気が付くと既に夜になっていた。体を起こすとまだ体に痺れが残っているのか、違和感がある。月明かりが射している方を見ると優姉が椅子で寝ていた。
きっと優姉のことだから、俺の事が心配で「今日だけ一緒にいさせてください。」とか言ったんだろうな。優姉が俺の事を心配してくれているように、俺も優姉の事を心配しているのだ。
優姉を起こすのは少し引けたが、こんな体勢で寝て体を痛められたら、そっちの方が困る。俺は、優しく揺すって優姉を起こしてみる。
「んん……あれ? 和人、起きてたんだ。」
「優姉、その体勢で寝るのしんどいだろ。明日も仕事なんだから、ちゃんと寝ないと……」
「大丈夫よ。一日ぐらいで倒れる私じゃないんだから。雪菜ちゃんの件は、私のほうでも捜してみるよ。」
「ごめんな、優姉。迷惑をかけて……俺にもっと力があれば、雪菜のことだって……」
最後まで言おうとすると軽く頭を叩かれた。
「自分をそんなに責めないの。責めても何も始まらないよ。後悔するのは、全てが終わってからでも遅くない。和人は、PDCAサイクルって知ってる?」
俺は、黙って首を横に振った。
「これは、私の友達から教えてもらったことなんだけどね……計画を立てて、実行、評価して、改善するそれの頭文字をとったものなんだって。まだ全てが終わってないんだよ。これから、どうするのか決めて、行動してからでも後悔するのは遅くないんだよ。泣いても良いけど、今は後悔したらダメ。分かった?」
「あ、ああ。」
「素直でよろしい。」
俺の頭を優姉が優しく撫でてくる。俺は、黙ってただ撫でられ続けた。それが何分続いたのかわからない。体感的には、凄く長く感じられた。気恥ずかしさと共に自分がまだ弱いことに気付かされた。
「話を戻すけど、確かにこの態勢で寝るのは少ししんどいかな。ってことで和人、私もそのベットに入れてー」
そういってベットの中に入ってくる。ベットは、二人用じゃないため、悲鳴のように軋む音を上げている。
「ほら和人、もう少しそっちにつめてくれないと私がはみ出しちゃうよ。」
優姉は楽しそうにベットの中に入ってくる。男の俺は、どうしても優姉のことを意識してしまって、落ち着かない。家族だから、まだマシ……だと思っても、やっぱり優姉は女性なわけで……こんなことを考えていたら、寝れないぞ。
俺は、迷わずに優姉の方に背を向けて目を瞑った。もちろん寝れるわけでもないが、それでも無理やりにでも意識を闇の中に落とそうと格闘をしてみる。
「和人、もう寝たの?」
返事をしたら、多分また話を始めるだろうな。夜も遅いことだし、優姉にもちゃんと寝て貰わないと明日だって仕事があるんだし……。
「世界で大事なたった一人の家族だから、私が何としてでも守るよ。弟を守るのは、姉の役目だから。安心してね。」
優姉が優しく俺の頭をポンと手を置いて来る。俺は、動揺を隠せなかった。
俺が優姉のたった一人の弟だって……。どういことだ。苗字が違うから、てっきり従姉だと思っていた。両親からも優姉を紹介してもらった時は、従姉だって……
「優姉……」
優姉は返事をすることなく、規則正しい寝息だけが聞こえて来た。
明日、朝起きたときにでも聞いてみるか。
「優姉、おやすみ。」
地味に今回の話は、自分としては気に入ってます。
これから本格的に物語が動き始めます
真実を知った和人と優姉との関係や雪菜の行方、まだまだ話は続きそうですね。