序章 世界の歴史
初めまして白鐘夕朔と言います。
この話数では、世界観のみを書いています。主人公が本格的に出てくるのは、次の話数からになります。
つたない文章ですけど、読んでくれると嬉しいです。
世界は、闇に覆われていた。
各国は、自分の国の国益のみを求めて戦争を繰り返していた。
百年前まで各地では、戦争のために食料が作れなかったり、戦争に駆り出されて戦死をするなど日常茶飯事ような状態となっていた。
ちょうど百年前に人類は、オーバーテクノロジーとも言える物を見つけてしまう。それが戦争を引き金になりえると考えた人類は、それを全世界すべての国に平等に分け与えたのである。
オーバーテクノロジーは、世界の全てを破壊できるほどの力を持っていた。それゆええに危険視されてしまう。そして、それを使う国が現れれば、その国を周りの国がその攻撃を仕掛けた国を亡ぼすそんな仕組みが自然と成り立っていた。
そうなるとすべての国は、戦争をしかけることが出来なくなってしまった。水面上ではあるが、和平協定が結ばれたのである。
そして戦争の時代に終止符が打たれたのだ。
すべての国たちは、そのオーバーテクノロジーの研究をすぐに始めて行った。そして、そのオーバーテクノロジーに付けられた名が『精霊石』である。精霊石の特徴は、他の石と違い青く光っているのが特徴的だった。まるで精霊が宿っているようだと誰かが言ったことからそんな名前がついてしまった。
だが精霊石は、青く光るひし形の力を秘めた石だと初めは思われていた。だが、人体に直接つなげることで、精霊石は力を結合した人に人間を超えた怪物のような力を渡すことが分かった。
だが力を持っているのは、精霊石だけではない。宝石と呼ばれる類にも大砲と同じ、いやそれ以上の力が眠っていることが分かった。
もちろんのことながら、その研究は日本でも行われていた。むしろ日本がどの国よりも発展をしていた。精霊石を見つけた七十年後には、すぐにそれと同じ原理を持っている石の複製を成功していたのだ。そして日本国内には、そのデータを盗もうと各国のスパイが送り込まれてしまい混乱した状態となってしまう。
そして、スパイたちが来てから二十年が経過したがまだそれは落ち着きを示していなかった……。
◇ ◇ ◇
スパイで混沌する日本でもただ一人だけ自分の信念を貫こうとしていた人物がいる。それは、第一皇女である翠子殿下である。
翠子は、精霊石を見つけた瞬間からずっと同じ言葉を口にするようになった。
「精霊石を保持するのは、我が国ではなく全ての国に与えられた権利なのです。その権利を簡単に振るうことは、決して許されない。いくら研究し複製をしても何も変わらないのです。むしろ、複製に成功することは、またあのような地獄の始まりだと思いなさい。私たちが必要なのは、他国と平等に交渉のできる権利だけです。それ以上の研究や複製は、絶対に許されない。」
複製することは、禁断の禁忌だと言い放ったのだ。
国民は、戦争が起こらないことを第一に考え殿下の言葉に従った。だがそれは、あくまで”国民”だけだった。
国民に当てはまるかもしれないが、明らかに立場が違う大きな存在がそれを良しとはしなかった。そいつらは、どんな手段を用いてでも殺してくるだろう。
翠子は、自分の意志を発表した次の日には自分の身を護るためにある一人の女性に精霊石を渡した。
翠子は、自分自身でも気付いていたのである。
私自身が捕まって殺されれば、この国いや、あいつらは確実に戦争を起こすだろう。それは、確実に近隣諸国だけでなく世界の全てを巻き込んでいく。
翠子は、静かにそして固い決意を決めた。
ここまで読んでくれてありがとうございました。
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