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第34話 銀と闇が繋がる

「おーい」

 挨拶の前に、僕はダークとヴェルデの元へ向かう。

「おや、ミツル様。我々に何か御用ですか?」

 僕に気付いたダークがこちらを向く。

「いや、ナツキが楽しんでいるみたいだから近くでちょっと観てみようかなって思って」

 嘘では無いが、それは挨拶のついでだ。

「そうですか。でしたら隣へどうぞ」

「うん」

 僕はダークの隣に座り込む。

「よいしょっと」

 それから僕は、当初の目的を忘れナツキとチヒロの部下のゴールドの戦いを観戦する。

「あ!」

 しかしここで、スイカ割りの前にゴールドとシルバーに挨拶をするという当初の目的を思い出す。

「……」

 しかし面倒になり放っておく事にする。

 スイカ割りは、ハルとトーマにやらせれば充分だろう。

 挨拶なら、どうせあっちから来るだろう。

「やあ、ミツル様」

「うわぁ⁉︎」

 突然目の前に現れた黒髪の白人男性の姿に驚く。

「びっくりした⁉︎」

 だが、やはりあちらから来たのでこちらから行く必要が無くなりとてと助か?。

「何者だ、貴様⁉︎」

 ダークが僕の前に立ち青年に銃を突き付ける。

「チヒロの部下、でわかるかい?」

「……そうか」

 それを聞いてダークは銃をしまう。

「俺はナツキの部下のダーク。あっちはレアンだ」

「俺はシルバーであっちでナツキ様に遊ばれているのがゴールドだ。一応そう呼ばれている」

 ダークが差し出した手にシルバーも手を伸ばし二人は握手をする。

「二人共、そこにいたら見えない」

「おっと、これは失礼致しました」

「すみません、直ぐに退きますね」

 二人は僕の両脇、ダークは右隣に、シルバーは左隣に立つ。

「……」

 さっきナツキに遊ばれていると言われていたが、それはどういう事だろう。

 改めて戦っている二人を見る。

「……」

 ゴールドはナツキの攻撃を回避防御するのに全力な様子。

 攻めはと言うと、直属では無くとも上司を怪我させない為か何処か遠慮がちだ。

 ナツキの動きはと言うと、遠慮も無く全力で無駄な動きは無いが、何か違和感を覚える。

 自分の事なので全力なのは直に伝わる。

 ちなみにハルが全力でスイカ割りを楽しんでいるのもチヒロが社長としての責務に全力な事も伝わる。

 もちろんトーマも……。

「……あれ?」

 トーマの事は何も感じない。

 まるで存在しないかの様に。

「あ、そっか」

 そういえばトーマにはまだ触れていなかった。

「すっかり忘れていたな……」

 僕の中から出て行った彼等とは現実で触れ合う事で現在見ている光景や意識などを意識すれば感じ取る事が出来る。

 中にいる頃は……、話すと長くなりそうなのでこの辺にしておく。

「とにかく、また後回しにして忘れるのは御免だから今の内にやっておこう」

 僕は立ち上がる。

 序でにスイカ割りでもして来ようかな。

「どうされました、ミツル様?」

「お手洗い以外でしたら私が行きましょうか?」

 こっちは早く行きたいのに二人に呼び止められる。

「いや、ここは私が行きましょう。何でしたらお手洗いまで抱えて行っても構いません!」

「いいや、だったらここは俺が。俺でしたら一瞬でお手洗いまで一瞬で瞬間移動テレポート出来ますよ!」

 二人の意地の張り合いはまだ続く。

「ちょっと待ってトイレ行くなんて俺一言も言ってないよ⁉︎」

 僕はただトーマに触りに行くだけなのに、彼等の間で僕に対する点数稼ぎでもあるのだろうか。

 そう言えば、トーマの肉体は女子だったな。

 だとしたら触る場所を考えないと変態扱いされてしまう。

 いや、トーマの身体は僕の身体なのだから気にする事は無いか。

 なら折角の機会なので色々と、……これ以上は言葉にはしないでおこう。

「大丈夫ひとりで行けるから。あ、そうだ。あっちでスイカ割りしてんだけど、二人もどう?」

 咄嗟の判断で二人を誘う。

 結果的にはこれで三人一緒に行けるだろう。

「スイカ割り?」

「スイカ割り……ですか?」

 どうやら二人共スイカ割りを知らない様だ。

 やはり、日本にしか無いのだろうか。

「えっと、スイカ割りって言うのは、一人が目隠しして棒をデコに付けてぐるぐる回って目を回して周りの人が前とか右とか左とかスイカに向けて誘導してスイカを割るゲームだよ。夏の海の定番……かな。海でやった事無いけど」

 スイカ割りと言えば、幼稚園の頃林間学校みたいな事で一回やった気がするという曖昧な記憶しか無い。

 幼稚園だから学校では無いのだろうが、だったら何と言うのだろうか。

 いや、そんな事は今どうでも良い。

 僕は早くトーマに触りたい、いや触らなければならないのだ。

「まあ、とにかくあんな感じだよ」

 百聞は一見に如かず、と僕はここからでは見えないが実際にスイカ割りをしているであろうハル達を指す。

「成程、興味深いですね」

「へぇ、人間は本当に愉快な事考えますね。息子達や死んだあいつらにも教えてやりたいですね」

 どうやら二人共興味を持った様だ。

 それよりも、シルバーが何気無く言った事が気になる。

「息子って、シルバーの子供?」

 息子と言う言葉は何も自分の子供にだけ使われる訳では無いだろう。

 例えば僕は姉の一人にこら息子やおい息子などと呼ばれたまに俺はあんたの息子じゃ無えと返したりする。

 怖い姉なのであまり返したりしないが別にそう返した所で怒られる事は無かった。

 返した事は人生で一度しか記憶に無い。

 姉とは言ったがどちらかと言うと兄に近い。

 言い過ぎた。僕にとっては姉だが周りから見たら兄に近い存在だろう。

 見た目はもちろん、性格も多分そうだ。

 原付で走る姉を父は暴走族と言ってたり未成年なのに、僕の口からは言えないので察してくれ。

 たまに一緒に遊んだり、僕の髪を散髪したり、原付に乗せてくれたり、昼ごはんを作ってくれたり、ゲームに割り込んで来たりする。

 僕の髪型は姉の好みで襟足が長く横は刈り上げで、……想像しないでくれ、僕は普通の髪型だ。

 僕の髪を染めたり眉を剃った事もあったが今ではすっかり元の黒髪に戻っており、以来もう二度と髪を染めないと決めた。

 授業中退屈な時は廊下に火を付けたねずみ花火を投げれば良いなどと言われた事もあるがそんなとんでも無い事は僕には出来ない。

 学校で思い出したが授業参観の日に来れない親の代わりに来た事がある。

 この様に良い所もあるがちょっとやんちゃな様だ。

 それに対し僕は控え目でちょっと真面目でおくびょうな様だ。

 僕はテレビゲームが好きだがそれは小さい頃姉ちゃん達がやっているのを見た影響だろう。

 この姉は当時一番ゲームをやり込んでいた。

 始めたばかりの僕がよくわからずデータを消してしまって怒られた事が何度かある。

 今では誰もやらなくなったのでみんなでやってたゲームは事実上僕の物になった。

 ゲームは新しい物がどんどん出るのでこの昔のゲームは仕舞ってある事が多いがたまに出して遊ぶ事がある。

 まだまだ話は終わらないが、この辺にしておこう。

 そもそも何の話だっけ?

「はい。私に息子が二人と娘が一人……いや息子が五人……でも無いな……。息子が三匹と二人で娘が一人ですね。あと孫が二匹、どちらも一人目の子供です」

 そうだ息子だ。

 他に息子と呼ばれるものは、……義理の息子や婿養子などだろうか。

 他にもあるだろうが今は思い浮かばない。

 それよりも、孫がいるって事はシルバーはおじいちゃんという事になるだろう。

 しかし二匹と言っており、息子も三匹と二人と言っている。

 恐らくペットの動物を息子同然に可愛がっているのだろう。

 そうか、自分の子供同然に可愛がる者もいるのだからペットも息子と呼ばれる事もある。

 なので彼の孫とはペットの一番上のお兄さんの子供という事にだろう。

 ペット想い良い飼い主だ。

「へぇ。何歳?」

「人間の様に歳はありませんが、息子と娘は皆ソーより少し下で、孫の二匹も既に成年に達していますね」

「みんなそおって何?」

「あ、ソーと言うのはゴールドの、あいつの事です」

 シルバーはナツキといる彼の方を指す。

「へー。ソーなんだ」

 まるでアイスみたいで美味しそうや名前でその上爽やかに感じる。

 考えていたらアイスを食べたくなって来しまうがその感情は一瞬で消える事になる。

 ナツキにボコボコにされてうずくまっているゴールドの姿を見る事によって……。 

「うわぁ⁉︎ 大丈夫かなゴールド……?」

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