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第33話 みんなでやろうスイカ割り

 レイがまだ何か言っているが、気にせずに僕は目を開けて顔を上げる。

「ふぅ。あいつらと話してたら嫌な事忘れてすっきりしたよ」

 僕は座ったまま後ろに手を付く体勢になる。

「……」

 すると、満腹による眠気に襲われてそのまま横になってしまう。

「おーい、ミツルー」

 昼寝をしようとしたらハルに呼ばれ僕は体を起こす。

「……ん? 何だ?」

 僕はトロンとしたまぶたをこすりながらハルの方を見る。

「どうした?」

「これからスイカ割りやんだけど、ミツルもどうだ?」

「ん……。スイカ割りね……。やろっかな」

少し考え、楽しそうだから参加する事にする。


 ハルに連れられ皆の所に戻る。

「よし、準備オッケー」

 クロウが砂浜の上に敷かれたビニールシートに真ん丸なスイカを一つ配置する。

「みんなやるの?」

 トーマ、サクヤ、ジェシカ、クロウ、そして僕を連れて来たハルと僕の六人が集まっている。

「別にこんな子供じみた遊び興味無えけどよ、やるって言うんだから仕方無く参加してやるよ」

 トーマは先程までの暑そうな格好とは違い水着姿だ。

 眼鏡を外して代わりにゴーグルをしている。

 マフラーはそのままだ。

「何言ってんのよ、真っ先に喜んでたくせに」

「うるせえサクヤ、手前はどうなんだよ⁉︎」

「私は好きよ、スイカもスイカ割りも。あんたも素直になったらどう?」

「るせえ! 別に大して興味無えよ!」

「そう言えば、アメリカではスイカ割りってするの?」

 二人の間に入るのが面倒な僕はアメリカから来たジェシカとクロウに話しかける。

「いえ、しませんね」

「そうなんだ」

「だからとっても楽しみにしてたんですよ。今日の為にウォーターメロン沢山買って来ましたので、沢山割っちゃいましょう!」

 クロウの後ろには沢山のスイカが入った段ボールがある。

「わあ、スイカがこんなに。いち、に、さん、し、ご。あっちのと合わせて六個もあるよ」

 流石に全部は食べないだろうな。

 いや、一人一玉食えばいけるか。

「よーし、最初は誰がやる?」

 ハルが自身の背丈の肩程の長さの棒で遊びながら聞いてくる。

「そう言えば、ナツキ達は?」

「あっちにいるぜ」 

 棒を砂に刺し逆立ちしているハルの指す方向にダークとヴェルデの二人が立っており、二人の視線の先には次々に殴り掛かっているナツキとそれを全て受け止めている金髪の男性、その後ろには黒髪の青年が宙に浮かんでいる。

「あれって……」

「さっき突然現れたんだよ、言葉通り何も無い所からな。あれもミツルの知り合いか?」

 棒から降りたハルは肩に担ぐ。

「多分そうだな、来るって言ってたし。でもまさか、ナツキ相手に渡り合ってるなんて思った以上にすげえな。多分ゴールドの方かな」

「ゴールドって、チヒロの部下だっけか?」

「うん」

「おい、お前らしねえのかよスイカ割り?」

「トーマが呼んでるな。ハル、先やっといていいよ。俺はちょっと挨拶して来るから」

「りょーかい。おーい、ミツルが先にやってろだって」

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