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第27話 黒と白、魔女と巫女

 浜辺で倒れている少女に大量の水が降り注ぐと、その拍子に少女は起き上がる。

「——ぶあっちー‼︎ 熱い熱い熱い‼︎」

 水では無く熱湯のようだ。

 少女が熱さに悶えていると、夏の太陽煌めく空から白と緋色の巫女装束を着た別の少女が降り立つ。

「やっと起きたわね。全く、世話が焼けるんだから」

「熱ちー。サクヤ手前! あたしを殺す気かー⁉︎」

 黒い魔女の様な格好をした白いマフラーの少女はずぶ濡れで湯気が漂っている。

「大袈裟ねえ。あんたの場合、直ぐに冷えるのだから丁度いいんじゃないのかしら?」

 サクヤの言う通り、黒衣装の少女から漂う蒸気はすぐに消え、濡れた衣服は夏の日差しで少しずつ乾いてゆく。

「良くねえよ、あちいよ。もう直ったけどさっきまで滅っ茶ヒリヒリしたからな!」

「そう、それは悪い事をしたわね。謝るわ、私も悪ふざけが過ぎたみたいだし、次からは気をつけてあげるわね」

「上から目線が気に食わねえが、……まあいいや。そんな事より、さっさとミツルにさっきの借りを返してやんねえとな」

 黒衣装の少女はミツルがいると思われる海の家に向かい走り出す。

「あなたに出来るかしらね」

 サクヤも飛んで少女を追う。

「走り難いな……」

 そう思い、少女は次第に歩き出す。


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