第18話 ハルの優しい取り調べ
ハルはミツルを追おうとした天使を引き止める。
「なにするの、ぼくいそいでるんだよ?」
必死に追うのを止めようとしないので仕方無くロープで縛って動きを止める。
こんな事がバレたらタダでは済まないが、そんな事よりも俺にはミツルが大事だ。
まあ、どうにでもなるだろう。
「まあ落ち着けって。すぐ終わるからな」
「な、なにをするの?」
「久しぶりだな。お前、前にミツルの所に来た個体だろ?」
間違い無い。
ピンクの髪に白いの双翼、俺がミツルと出会った日にミツルと一緒にいたあいつだ。
あの後教会の決まりとミツルをこちら側に巻き込まない為にミツルから天使の記憶を消し、教会と無関係であるミツルの記憶をこの天使から消した後、教会へ戻り願いを一つ託され天へと帰した。
しかし、こいつはさっきミツルの事を呼んでいた。
後から記憶が戻る事は無くも無いが、もしそうなのであればミツルに危険が及ぶかもしれない、それは防がなければならない。
なので確認する。
「どうしてミツルを知っている?」
「え、ぼくここにくるのははじめてだし、きみにあうのもはじめてだよ?」
天使の回答にハルは一つの矛盾を見つける。
「そうか。じゃあ最後の質問だ、いつからミツルを知っている?」
「いつから。ぼくはミツルにつくられたから、うまれたときからしってるよ?」
「なるほど、じゃあ人違いだな。俺らのミツルは天使なんて造れ無えからな。神じゃあるまいし」
ハルは縛ったロープを解く。
「え?」
「ほら、わかったさっさとお前のミツルってのを探してこい。そして二度と俺らのミツルに近付くな。約束だぞ?」
ハルは小指を立てて天使に向ける。
天使は一度した約束は何があっても守る習性だ。
そうすれば、ミツルの安全も保証されるだろう。
「でも、このせかいのミツルにあえって、ぼくのミツルにいわれたよ?」
「へぇ、そりゃ大変だな。ミツルなんてありふれた名前の奴なんて、この世界に一体何人いるんだろうな。因みにうちのミツルは名前じゃ無えぞ」
「じゃあぼくは、どうしてここにいるんだろう。いままでこんなことなかったけど?」
すると突如、巨大な力がミツルのいる遠くの浜辺に降り立つのを感じる。
「んー、何だ?」
「あーあ、キースがきたからもうぼくかえらなきゃ」
天使は天からの光に包まれる。
「じぁあねー、またあおうねー」
そして天へと去って行く。
「……こりゃ、あいつらだけで大丈夫か?」