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第9話 海に到着、そしてトラブル

 車での移動中は、特に何もなかったのでカット。


「ヤッホー‼︎」

 ゴーグルはそのままで水着に着替えたハルが海に向かって叫んでいる。

「海だー、バカヤロー、ヨウ女バンザーイ、小学生サイコー‼︎」

 それを見いる海パンにグラサンとTシャツ姿のクロウはパラソルを差したシートの日影で座って見ている。

「おーい、最後の二つは恥ずかしいからやめろー!」

 呼びかけにハルは振り返る。

「いーじゃねえか、まだそんなに人いねーし、誰も聞いちゃいねえよー?」

 周囲を見渡しても、まだ早いのでそこまで人は多く無いが、そろそろ増えて来ている。

「お⁉︎」

 すると、ハルは何かを発見する。

「おーいお嬢ちゃーん、お兄さんとあそぼーよー」

 そう言って、ハルは小学校中学年ほどの女の子の集団に向かう。

 そんなハルを眺めるクロウ。

「あいつ、本当に10歳児かよ。相変わらず無茶苦茶チャラいな」

 独り言を言っていると、後ろから足音が近付いて来る。

 恐らくジェシカだろう。

「リーダーは4月生まれで、今11歳でしょ?」

「そうだっけ、まあどっちにしろチャラい事は変わんねえけど」

 クロウが振り返ると、そこに水着姿のジェシカが立っている。

「ようジェシー、似合ってるぜその水着」

「うわっ⁉︎」

 いきなりハルがクロウの上に現れて押しつぶす。

「そんじゃーなー、わりいけど仔猫ちゃん達待たしてるからもう行くぜ、いいもんありがとよ!」

 去り際のどさくさに紛れて写真を数枚撮ると、一瞬で姿を消してしまう。

「痛って、てて……、あいつ、いつも俺を足場にしやがって……」

「……やられたわ」

「ん?」

 クロウが見上げると、ジェシカはカメラを持っていた。

「何だ、カメラを奪ったのにフィルムが抜かれてたか?」

「そうよ、今度こそ上手くいったと想ったのに。時間でも止めてるんじゃ無いかしら?」

「そう想える程、あいつの足元にも及ばないって事だろうな。ま、その気になればそれもやりそうで怖えけどよ。いいじゃねえか写真くらい、別に減るもんでもねえし、普段のあいつなら、水着取ってたも知れないんだぜ?」

「その時は、……何が効果的かしら。ひとまず反射的に攻撃するけど……?」

「そうだな、あいつの弱点何だろうな。吸血鬼の癖に日光も流水もニンニクや十字架だって効かねえし、生粋きっすいの変態だから醜態を晒しても無意味だし。あ、そうだ。あいつの集めてる妹グッズやエロゲーに落書きするってのはどうだ?」

 ジェシカを見ると、手に持ったカメラを握り潰し木っ端微塵だ。

「ふう……、そうね。落書きとまでは行かないけど、一つ没収しようかしら。それと、もし水着に手を出したら、取り敢えず首から下を砂に埋めるから覚悟しといてね……?」

「って、何で俺に言うんだよ。いいか、俺はあいつと違って、ナンパはするが痴漢はしねえぞ」

「あら、まだそんな事してたの。騙されるばかりで成功した事もない癖に?」

「うるせえほっとけ、俺ん中ではそれも成功に入んだよ!」

 そう言うとクロウは立ち上がる。

「今に見てろ。必ずナンパして見せるからな!」

「ちょっと待ちなさい」

 近くを通り過ぎる女性にクロウが声を掛けようとした時、ジェシカに呼び止められる。

「何だよ、今の娘どう見ても悪い娘じゃねえだろ⁉︎」

「そうじゃないわ、……ミツル様は何処なの?」

「へ……?」

 言われるまで気が付かなかったクロウは周りを見る。

「トイレじゃねえか、それかリーダーの女遊びに付き合ってるか」

「リーダーの所にはみあたらないわよ?」

 ジェシカは遠く離れた水辺で先程の女の子達とビーチバレーをしている。

「良く見えるなあんな遠くが」

「それと、お手洗いに行くなら一言言う筈よ。リーダーにだけ言ってる可能性もあるけど」

「大丈夫だって、もし迷子になったら呼び出しがあるだろ。……いや、無いか。ミツル様意地っ張りだからそんな事しねえな。でも何かあればリーダーが直ぐ駆けつけられるから問題ねえって?」

「……あれを見ても、そう言ってられるの?」

 ジェシカが指す先を見ると、海の水が不自然な黒色をしている。

「何だありゃ、どうなってやがる⁉︎」

「判らないの、悪魔の仕業よ⁉︎」

「ーー危ない⁉︎」

 危険を察知したクロウがジェシカに飛びついてその場を回避する。

 そして、さっきまでいた所に大きな穴が開く。

「間一髪だったな」

「……ありがとう」

「ああ、それよりもまず、人払いしねえとやばいぞ!」

 すると、アナウンスが鳴り始める。

『お越しのお客様、現在異常が発生しておりますので早急に避難して下さい。大変危険ですので、早急に避難して下さい。繰り返します……』

 アナウンスのおかげで避難は早く済んだ。

「おーい、お前ら!」

 すると、先程まで女の子達と遊んでいた筈なハルが車に積んでいたバッグを持ってこちらに向かって来る。

「あんたがやったのか、リーダー?」

「ああ、偶然知り合いがバイトしてたから頼んどいた」

「それよりも、ミツル様がいないのよ⁉︎」

「わかってる、俺は今からミツルの所に行くからここは任せたぞ!」

 そう言って、ハルは持ってるバッグをジェシカに投げ渡し”自分の影”に消える。

「つってもよ、この規模の悪魔相手に俺ら丸腰で大丈夫か?」

「武器ならあるわよ。貴方と違って何時でも気は抜かないからね」

 ジェシカはバッグの中からクロウの武器であるガントレット型のボウガンを取り出して投げ渡す。

「すまないねえ俺の分まで」

「私達は”一応”相棒よ」

「”一応”か。ちょっと傷つくなあ。あーあ、折角のオフが悪魔に邪魔されるなんてついてねえぜ」

「喋ってる暇があるならさっさと動きなさい」

「へいへい、それじゃあ行くぜ!」

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