疑問
視点:霊夢
「さすがに、疲れてきたわ」
邪神教のアジトに出発してかなりの時間が経っている。
流石の霊夢も消耗している。
霊夢が消耗しているということは勿論他のメンバーも消耗していると言うことだ。
「大丈夫か、霊夢」
「大丈夫よ、魔梨沙」
「リクに約束しているもの」
実際、霊夢の消耗は他と比べれば薄い。
だが、それは逆に無理に繋がってしまう。
「もう、休憩にしましょうか」
後少しでアジト。
最後の休憩だ。
霊夢は、なるべく戦闘を避け、穏便に行こうと計画していた。
無論、道中もである。
「霊夢さん!」
「何よ妖夢」
刀使いの少女ー妖夢が霊夢に声を掛ける。
「またあの人が!」
妖夢に先導されるまま霊夢がたどり着いた場所、それはもはや地獄と言える場所だった。
「ふっ、雑魚が」
地にひれ伏す妖怪達と一人の太刀を構えた男。
「何をやっているの……?」
「ああ?巫女さんじゃねえか。俺は妖怪どもを駆除しているだけだぜ」
「その妖怪達は、何か悪事を働いたの……?」
霊夢の疑問に返されるのは、冷たい男の言葉。
「あ?妖怪は全員悪だろ?殺していいじゃねえかよ」
「妖怪は全員悪とは限らないのよ!」
「ふん、そんな考えが通じると思ってんのか?」
「私はこの討伐班全てのリーダー、私の命令は貴方が討伐班に入っている限り絶対よ」
「くそ……覚えてろ」
残酷な男が去ったあと、その場は静寂に閉ざされた。
「行ったわね」
「ええ、行きましたね」
「あいつは要注意人物に入れておく必要があるわね」
「そうですね……まあ、休憩を続けましょう」
再び休憩地に戻ってくると、一人の女性が待っていた。
「霊夢様、これを」
女性が渡してきたのは水。
「ありがとう、何かあるの?」
「はい、報告です」
「どうやら、幻想郷全体でこのような本が出回っているようです」
女性が一冊の本を手渡す。
霊夢はパラパラとページをめくり、一行読む。
「邪神は周囲の混沌物質を吸収し浄化すると同時にその力を自らの物とする………って、何これ?」
「紅魔館で聞いたのと全く違うんだけど」
「はい、その本には邪神教に関する事が書かれておりますが、紅魔館の本とは全く違う内容です」
「しかも、この近辺の村では、邪神教はかなりの好評価を受けています」
「まさか、紅魔館の本がデタラメだって言うの?」
「信じがたい事ですが紅魔館に存在する本と同様の表記の本は別の場所には存在しませんでした」
「これは後で問い詰める必要があるわね。でも裏付けが取れないわ」
「裏付けならあるんだぜ」
「魔梨沙、本当?」
「紅魔館の禁書庫にこれと同じ本が有ったんだぜ、しかもかなり奥に」
「それさえあれば……!」
「まあ、後にしましょう。休憩終わり、直ぐに突入するわ」
そして邪神教アジト襲撃が始まった。