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東方亜幻空  作者: とも
リク編1
1/14

幻想郷へ

知らない天井だ。

いや、正確には空、と言うべきだ。

僕はこれまで布団で寝ていた筈だ。

なのにどうして空を見上げているのだろう。

僕は今地面に横たわっているようだ。

触れてみる。

___これは、土だ。

少し砂利が混じっている。

しかも周りに木が大量に生えている。

つまり、ここは森の中なのだ。

何故こんな所に居るか見当もつかない。

一種の記憶障害だろうかと思い自分の記憶を掘り起こす。

昨日寝るときは寝間着で寝たのだが、今はジャケットにコートを着ている。

このコートを、僕は知らない。

だが、僕はこのコートを画面越しでなら見たことがある。

腰には剣。

流石に寝るときに剣は持たない。

いや、まず一般人は剣なんて持ってないだろう。

そして、これも見覚えがある。

コートと、剣。

どちらも、僕がプレイしているMMORPG「ソードマジック」の物だ。

恐らく、この体も僕のアバター、「リク」だろう。

もし、ここで人と出会ったらそう名乗れば良いだろう。

ありきたりな話だが、現に起きているのだから信じるしかない。

改めて考えてみると、持ち物は今着ている服と剣だけしかない。

これだけでは一日も生活出来ない。

改めて注意深く周りを見渡す。

すると、少し遠くに石の階段が見える。

そこまで行くのに時間は掛からないので、早速行ってみる。

そこには、終わりが見えない程長い階段があった。

傍の看板には「この先博霊神社」と書き記されている。

博霊神社、と言う言葉にしばし僕は驚愕した。

博霊神社とは、東方projectと言うゲームの建造物であるからだ。

僕はそこまで東方について知っていないのであまり詳しくは説明できないが、確か博霊神社には博霊霊夢と言う巫女の少女が住んでいた筈だ。

そこまで行けば少しは状況が良くなるだろうと僕は階段を登り始める。


暫くして階段を登り終えた時には太陽の位置からして昼だった。

ここ、幻想郷でも地球の法則が通用するかは分からないが。

苦心して登り終えたそこにあったのは案の定神社。

それと、境内を掃除する巫女服の少女。

あれが霊夢だろう、と思った矢先、いつの間に気付いたのか僕は霊夢に肩を掴まれていた。

「この神社に人が来るなんて久し振りね」

「えっと、君は霊夢?」

「そうだけど……」

内心ほっとする。

ここは幻想郷で間違いない。

「それと、私の事は霊夢って呼んで」

「分かった」

「で、こんなとこに何の用?」

僕は一連の流れを説明する。

勿論ゲーム世界なんて言っても分からないだろうから少しぼかして言ったのだが。

「へえ、あなた異界人なのね」

「異界人……?」

「異界人ってのは、ここ幻想郷とは違う場所から来た人間の事を言うのよ。不可抗力だから紫に許可は取らなくても滞在出来るわ。普通に世界越えてきた場合は違うけど」

「そう言えば、あなたって名前何?」

「リクだ」

「リク、ね。いい名前じゃない」

「そう言えば、リクって行く宛無いのよね……どう、ここで暮らさない?」

「暮らしたいのは山々だが、良いのか?」

「僕は霊夢みたいに強くないから、妖怪退治でも稼げないよ」

「金ならアイツから貰ったから大丈夫よ。強さなら今から強くなれば良いしね」

「他のとこも大量に異界人を抱えてるらしいからね、しかもここだと誰も居ないから話し相手が欲しいのよ」

「魔理沙も殆ど来ないし、アイツはもう1ヶ月ほど会ってないし」

魔理沙、確か魔法使いだったか。

霊夢とは仲が良さそうだし襲われる危険は無い、か……

それに"アイツ"とは誰のことだろうか。

恐らく幻想郷本来の住民ではなく、異界人だろうが。

「まあ、分かった。話に乗らせて貰うよ」

と話した刹那、背後から声がした。

「そこのお前、邪神教のスパイかぜ」

後ろを振り返ると、黄色い髪の少女が立っている。

「邪神教……?」

「魔理沙、誤解よ」

「リクは私が保護した異界人よ」

「霊夢が異界人を保護するなんて、あり得ないんだぜ」

「あり得るわよ、現にここにいるじゃない」

そこまで会話が進んだ所で、僕は背後に気配を感じ、振り返る。

そこには、銀髪の美少女がいた。

恐らく、霊夢の言う"アイツ"とはこの少女の事だろう。

霊夢が元々の東方における一般的なイメージと酷似していたのに対して、この少女は誰とも似ていすらない。

やはり、幻想郷の正史とはこの世界は違うのだろうか。

「……気付かれちゃったか」

その少女に気付いた霊夢が、突如その少女に鋭い拳の乱打を浴びせた。

「危ないじゃないか、霊夢」

無傷……?

あの拳の乱打を浴びて、無傷な筈は……

そこまで思考して、ようやく僕はその少女が纏う異様なオーラに気付いた。

人が持つものとしては不自然なオーラ。

これは、ある意味神かそれに準じているものの物だろう。

すると、あの少女は神……?

「何言ってるのよ、ルカ。1ヶ月も姿見せないでどこほっつき歩いてたのよ」

「すると、この前の話の続きだね」

「流石、いつも私の心を読んでくる」

「じゃあ、やるわよ」

「まあ、良いけど」

その言葉が霊夢によって放たれた瞬間、霊夢は弾幕を飛ばし始める。

あの形は、恐らく「夢想封印」だ。

霊夢が最初からあれを使うとは、どのような相手なのか。

「アイツは、創造神と名乗っているんだぜ」

声が漏れ出ていたらしく、魔理沙が僕の質問に返答する。

「もっとも、それを証明する物はこの三年、何も無いけどな」

それにしても創造神、か。

どれぐらい強いか興味がある。

霊夢の弾幕が薄くなった所から、ルカが詠唱を開始した。

何の詠唱だろうか。

創成(generate)(chain)透明(invisible)物質(object)……」

唱えられるその魔法の様なもの。

それに僕が驚愕している間にも、詠唱は続く。

世界(world)具現(existence)

ルカが詠唱を終了すると同時に、霊夢が透明な鎖で縛られ、勝負は決した。


そう、これがこの世界での最初の日であったのだ。








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