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ヒューマンエラーの可能性について

 この世界の遺跡は、ゲームのものに似ているが所々違うのだ。

 なのでそこが、別世界と繋がっている部分なのだろうかと俺が思っていると、そこで魔王ロリィが少し黙ってから、


「……遺跡関係はまだ話していいのか私は分からない。タイキを通して他の人間に伝わるのもあまり良くないだろうし、女神様が話さないのであればなにか理由があるのだろう」

「……ただ話すのを忘れているだけという可能性は?」


 往々にしてよくある、ヒューマンエラーの可能性について俺が言及すると魔王ロリィは沈黙した。

 静かな時が俺達の間に流れる。

 その間にも、マーヤがモキュモキュとケーキを食べて、新しいケーキをお代わりしていた。


 そこで深々とロリィが息を吐いて、


「女神様に限って、そのような事はないだろう」

「うーん、あの女神様ならそれくらいやりそうな気がするんだよな、何となく。痛っ」


 そこでスマホから女神様が現れて、怒ったような女神様に俺は殴られた。

 ぽかっと音の割には痛くない力で殴られた俺は、


「何をするんですか突然!」

「完璧な美女であるこの女神である私に対して、タイキがそういう事をいうからよ。そもそもこの豊満な肉体美の女性にここまで落ちないのも男としてどうかと思うわ。普通なら、褒め称える言葉が出たらそうですよねと鼻の下を伸ばして言うはずなのに……自信なくなっちゃうわ」


 そう女神様は愚痴りながら、胸をたゆんたゆん揺らす。

 ついそこに目が言ってしまいそうになる俺だが、だからといってこの女神様には弄ばれそうな気がするし、第一、


「何だか女性というよりは、違うようなものに感じるです」

「ふーん、どんな?」

「身近にいる“女性”のようなこう、昔からよく知っている幼馴染の鈴みたいな感じが」

「……ふーん。つまり、タイキは幼馴染の鈴には異性を感じないと」

「べ、別にそういうわけでは……」


 俺は慌てて言い訳した。

 何故ってそれは、この女神様の出てくるスマホは鈴も持っている。

 なのでこの女神様の機嫌を損ねた瞬間俺は、鈴に言いつけられるのだ。


 もしそうなったら俺は、どんな仕返しをされてしまうんだろう、と考えて否定しておいた。

 そんな俺を半眼で見ながら、


「その気遣いをもう少し私にもしてもらえないかしら。ロリィだって建前と本音を使い分けているし」

「め、女神様、私は別に……」

「大丈夫よ、その程度で怒ったりするほど私は狭量ではないわ。でもタイキがここまで釣れないと私も、自身がなくなってしまうわ。“女”として」


 悲しそうに女神様が言うので俺は、


「そ、そんな事はありません。女神様は綺麗ですよ」

「あらそう? でも、そんな短い言葉では私の傷ついた繊細な心は癒やされないわ」

「では、どうすれば……」

「そうね……あらこんな所に恋愛小説が!」


 女神様が取り出した小説は、表紙がキラキラして言うようにみえるものでした。

 これから俺は一体何をさせられてしまうのだろう、そう思っているとそこで女神様はその本をパラパラとめくり、俺に渡してきて、


「ここ、この台詞を言ってみて」

「……『僕の愛しい女神様、貴方がいないだけで私は生きていけない。貴方のその夕暮れを落とし込んだような、大粒の紅玉(ルビー)のような瞳も、月の光を落とし込んだような銀糸の髪も、私を魅了してやまないのです。ああ、愛おし私の……』そろそろ読むのを止めてもいいです? 良いですよね?」


 女神様と魔王ロリィが二人して笑いをこらえている。

 そんな俺は何でこんな恥ずかしい台詞を言わないといけないんだ、というかこの出てきた男の頭は大丈夫なのだろうか。

 そもそもこんな台詞を見て女性は本当に喜ぶのだろうか?


 確かに物語の中では、先ほどの続きを斜め読みすると私も愛しているわ展開になっている。

 だが俺が今の台詞を口にすれば、女神様も魔王ロリィも、顔を赤くしてお腹を抱えるくらい笑っている。

 俺が美形の男ではないからだろうかといった不安を覚えるが、そういえば以前何かで読んだが、恋愛をすると認識だか何かが低下するらしい。


 なるほどと俺は思いながらも、俺は二次元と三次元の違いが分かる男だったのでこの理想と現実の違いを納得した。

 そこでようやく笑いが収まったのか女神様が、


「でも遺跡の話はもう少し待ってね。多分そのほうがいいと思うの」

「ここまで勿体ぶられて大した話じゃなかったら怒りますよ? この前から、中二っぽい陰謀論かと想ったら、物凄くどうでもいい理由で危機に陥っている気がしてならないんです」

「現実なんてそんなものよ?」

「もう少し、もう少し俺にファンタジーを!」

「タイキ、貴方疲れているのよ」


 そう嘆息されてしまった俺。

 しかも女神様は、


「そんなにファンタジーに浸りたいなら、近くの遺跡に潜って気分転換してくるのもいいかもね。ここは魔王の城がある辺だから、あの町とは違う遺跡があるはずよ?」


 と女神様に言われてしまった。

 俺はそれも面白そうかなと思う。

 理由は、以前買った地図を思い出すとこの辺りの遺跡は、ゲーム内では来たことがないからだ。


 なのでロリィにそれほど危険でない遺跡について聞く。

 そこでロリィは目を瞬かせて、暫く俺を見て、次に女神様を見て、


「いいのですか? 遺跡は自分から好き好んでいくような場所ではないと思いますが」

「いいのよ。それにタイキは私の加護があって、この世界で一番強いもの」


 女神様が自慢げに言う。

 それにロリィはそれではと遺跡の場所を教えてくれた。

 とりあえず分析の結果はもう暫く掛かりそうだというので、遺跡に俺は遊びに行くことにしたのだが、そこで俺はふと疑問に思ったことを聞いてみた。


「そういえばロリィは異世界からこちらに来て、風邪のような変な症状になったんだよな?」

「うむ、あの時は辛かった。薬を研究するにしてもどういった副作用があるかなどの試験で、認可が下りるまで数年がかかっていたので、既存の薬ならば副作用や効果が分かっているから、どれが効くのか推定して、手当たりしだい使ったものだ。原料に関しては、この世界とあちらが似ていたので手に入れやすかったのも幸運だったが」

「でも俺も異世界から来たので、そんな風に変な病気にかかったりしないのですか?」


 それを聞くと女神様は笑って、


「ありえないわ。だってこの世界は貴方の元いた世界ではないし、タイキは特別だもの」

「……そうなのですか」


 安心といえば安心だけれど、変な話だなと俺は思って、ロリィにマーヤのことを頼んで女神様の道案内の元、その遺跡に向かったのだった。


すみません、複数で一次落ちしたのと風邪で、やる気をなくしていました。これからこちらや他の方も、進めていきます。よろしくお願いします。

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