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ではいいたくなるまでさせていただきましょうか

 これだけの人数をどうしようかという話になり、ここで俺の作ったこの空飛ぶ道具が役に立った。

 大人数だが、何故かリズさんは何処からともなく長い縄を持ってきたので、たまたま持っていた丈夫な布の端に縄を縛りつけて板を置く。

 そのロープは布が四角形なので、その端から伸びた縄を一つに結びつけて、そこに羽のアイテムを付け、俺が触れる。

 

 必然的に、俺が中心部に乗らないと全員が載せられないのでしかたがない。

 変な空飛ぶ乗り物に乗っているような気がしつつ、この魔法のアイテムは大丈夫だろうかと思ったが、無事リズさんの家まで全員を運べた。

 リズさんの家は町外れと接しているので、それほど人の多くない場所……というか誰一人会わない場所だった。


 運がいいと思いつつ俺達はリズさんの広い屋敷に連れてくる。

 そして怪盗バンバラヤンはといえば、


「どうしましょうか。これから尋問ですか? ちょっとくらいならお手伝いしますが」

 

 ミルルが怖いことを言っていた。

 というかR18でもお見せできないような表現はやめて欲しいが、知り合いみたいなので大丈夫かなと俺が思っていると、


「まずは縄ですかね。うふふ」


 その縄をどうするつもりなのか、リズさんは笑っているだけで何も言わない。

 そしてその気絶した怪盗バンバラヤンを椅子に座らせる。

 変なマントはジャマだったので取り除き、仮面を外す。


 中からイケメンが現れた。

 それはモテるよなと思っていると、ミルルが、


「意外に綺麗な顔をしていますね」

「……これは素敵なお兄ちゃんなのです」


 シルフが見とれるように言っていた。

 俺の時との反応の違いに切なさを感じるが、いいんんだ。

 世の中顔だけじゃないし、男は中身だし。


 心の中で涙しながら更に様子を見る俺。

 そして、まずは椅子の背と体の上半身をぐるぐる巻にするように縄で縛る。

 次に足を椅子の足と一緒に、それぞれ縄で縛る。

 最後に腕を後ろの方にひとまとめに縛っていく。


 その間怪盗バンバラヤンは気絶したままだ。

 こういうのって魔法で逃げられるんじゃないかなと俺が思いつつ様子を見ているとそこで、


「さてと、後は魔法無力化の陣を下に敷いて、たっぷりとお話を聞きましょうか。でも、魔石を探しているのも含めて多分……」


 リズさんがチラリと俺を見た。

 俺はさっと顔を背けるが、リズさんは、


「嫌な現実ほど、近づいてくるものですよ」

「うう……やっぱりそうなのかな。と言うかサーシャまた眠っているのか……返事がない。また眠っているみたいだ」


 俺が深々と嘆息する。

 そこで、怪盗バンバラヤンが目を覚ましたのだった。







 目を覚ました彼は、暫くぼんやりしていたがすぐにはっとした表情になり、


「な、何でこんなことに」

「うーん、悪さをしているから?」


 リズさんのその答えに、その怪盗バンバラヤンは、


「悪さではありません! 私達には崇高な目的があるのです!」

「その目的を話してもらえるかしら」


 そのリズの言葉に、今度はその怪盗バンバラヤンが俺やミルルやシルフを見渡して、


「……部外者と話しが出来る内容ではありませんので」


 言葉を選ぶようにいう怪盗バンバラヤン。

 それはそうだろうなと俺は思う。

 だって一国の姫がそんな状態になっていると知れば、何があるかわからないのだから放せないだろう。

 利用されるかもしれないし莫大な身代金を要求されるかもしれないし、いずれにせよ危険だ。


 そう考えながら俺はサーシャを思い出して、ふと気づいた。

 現在俺は幽霊のサーシャに便利に手伝ってもらっているが、それって姫様~と慕っている彼らが見たならどうなるんだろう。

 ……いやいや、サーシャも一人になるのが嫌だと自発的だし、魔石を狙う変な輩がいるのだから連れ歩くのは当然だ。


 しかも最近窃盗団を倒してサーシャの“魔法の精霊ステッキ”のミィも回収した。

 これだけ貢献している俺が、酷いことになるはずがない……話を聞いてもらえればだが。

 いざとなったら女神様に手助け願おうと俺は思っているとそこでリズさんが笑った。


「ここで言えないなんて、私を騙せると思っているのかしら」

「い、いえ、内容が内容なので……」


 焦る怪盗バンバラヤンだが、そこでリズさんが猫じゃらしのようなものを取り出す。

 そしてミルルとシルフにも渡し、


「ではいいたくなるまでさせていただきましょうか」


 そう言って、怪盗バンバラヤンをくすぐり始める。


「く、くはははひゃは、や、やっめっ」

「言いたくなりましたか?」

「ひああっくははひゃ」

「まだ言いたくないみたいです。困りますね」


 リズさんと一緒にミルルとシルフも嬉々としてくすぐっている。

 笑っているが、絶対に怪盗バンバラヤンは口にしない。

 この忠誠心というか誠実さは凄いなと俺が思っているとそこでリズさんがくすぐるのを止め、


「まあ、おし置きはこのくらいでいいかしら」

「せーはー、うぎゃ……そうしていただけると助かります」

「それで、貴方が知りたいのはサーシャ姫が魔石に乗り移ったという話かしら?」


 それを言った瞬間怪盗バンバラヤンはリズさんを凝視する。

 そして問い詰めるように、


「! ご存知なのですか! というかもしやどこかでサーシャ姫に?」


 ガタガタと椅子を揺らしながリズに近づく彼だがそこでリズさんが俺の方を指さして、


「あの子が知っているわ」

「そうなのですか! サーシャ姫が何処にいるのかご存知ですか!」


 その詰め寄るような雰囲気に圧倒されて俺はつい何も言えなくなってしまう。

 やはりどう彼に言えば穏便に済むかと俺は考えてしまうからだ。

 そのままたまたま偶然借りた部屋にサーシャがいて、それで記憶を失っていた彼女を女神様から聞いてサーシャ姫だと知り……。


 そうなると女神様と関係があるなんてどういうことだと疑われる可能性が高い。

 もっと早くに言い訳を考えておくんだった、俺は今更ながら焦る。

 そこでリズさんが楽しそうにクスクスと笑った。

 俺は嫌な予感がした。そこで、


「幽霊になったサーシャ姫は、現在そこにいるタイキさんが飼っていますよ?」


 リズさんが告げるのを聞きながら俺は、もう少し違う言い方にして下さいと心の中で悲鳴を上げ、そして怪盗バンバラヤンが俯き、


「今、“飼う”と言ったか?」


 そう空気が読める俺に、暗黒の怒りの気配を纏いながら凍える声で告げたのだった。


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