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二手に分かれて散策中

明日はお休みします

 二つに分かれると言われて、俺はどうしようかと思った。

 

「もしもさっきの人が本物だったら、別れ手人数が減った方が危険じゃないのか?」

「さっきの人が一般人だったら、眠っていた方が危険じゃないかな」


 鈴に反論されて、俺は言葉に詰まった。

 確かに、普通の人だったら眠った瞬間に倒れて、下手をすると怪我を……。

 もう諦めるしかないのかもしれない。


 この世界のお化けは、ただのエネルギーの塊で、何となくケケケケという声が聞こえてきている様な気がするが、倒せる相手だから。


「そうだよな、この世界の幽霊は魔法で倒せる相手なんだよな。よし、だったらごく普通の魔物と同じだ!」

「……うん、そうだね」

「鈴、何でそんな微妙な反応なんだ」

「うん、タイキが幽霊を克服できたのは良かったと思う。それで、二手に分かれる?」

「そうだな。他の皆もそれでいいか?」


 聞くと全員が頷いたので、どうやって分けようかといった話になる。

 そこで俺のスマホが、ポケットの中で揺れた。

 すぐににゅっと女神様が現れて、


「この私がその選定役を任されてあげましょう」

「……面白い方向に分けそうな気がする」

「タイキ、私に逆らって許されるとでも思っているのかしら」

「……何か良い方法でもあるのですか?」

「くじ引き」

「……」

「一番、公正でしょう?」

「でもいじれますよね? 女神様なら」

「あら、いじって欲しいの? でもどうせ弄るならこっちの方が良いかしら……あら?」


 そこで抱きしめて胸を顔面に埋もれさせようとしてきた女神様を俺はよけた。

 確かに何時もは良い様にされてしまっていて、頭の上に巨大な重量を感じる羽目になったのだが、今日の俺は一味違う!

 という所で俺の眼前に女神様の胸が。


「むぐっ」

「私から逃げようなんて、百年早いわね、タイキ」

「むぐぐ」

「何時もより強く抱きしめているわ。これでタイキは逃げられないわね。さて、くじ引きは……これでいいかしら」


 そういうと同時に俺の背面から光を感じた。

 だが俺は柔らかい物体に顔を埋めさせられている最中で何も見えない。

 するとそんな俺を無視して女神様は、


「皆で好きな四角を選んでね。色が全部違うでしょう? タイキは残り物には福があるからそれでいいわね」


 何故か俺は勝手に選択権を奪われてしまった。

 女神様は横暴すぎる。

 そう俺が思っている内に、ミルル達はどれにするかを決めたらしい。


 そしてようやく俺が話してもらえたところで女神様に、


「今日はタイキは、鈴とミルルと組んでね」


 そう言われてしまったのだった。








 腰につけたサーシャのボックスシルフに渡す。


「いざとなったら攻撃アイテムを使ったり防御のアイテムもあったな、それと、異常な眠気などの攻撃を受けた場合や解毒剤……」

「わ、私だってそういったものは全部覚えています!」


 サーシャが涙目で俺に訴えかけた。

 それでもやはり心配にはなりはしたが、後の事はお任せする。

 サーシャ達にはこの屋敷は4階建てなので、1、2階を担当してもらう事にした。


 なので俺達は、3、4階を散策する事に。

 結局あの謎の冒険者が何処に行ったのかは分からないがとりあえずは広いといっても住宅街の一角にある屋敷なので中の広さはたかがしれている。

 なのですぐに行って帰ってくればいい。


「そうだ、そうしよう」

「タイキ……まだ階段を一段も上がっていないじゃない」


 鈴にそう指摘されて上へと続く古びた階段を俺は見上げた。

 人の踏まない端の方は埃をかぶっている木製の階段。

 一段一段に手すりの付近に彫刻が施されていたり、切り取られた薄い石の板が張り付けられていたりと凝った作りをしているが、その周辺を城い物が飛んでいるのもいいが、


「踏んだ瞬間に崩れ落ちそうに見えるが、大丈夫だろうか」

「危険そうだから更に上に登るか降りるかすればいいのよ、行こう行こう」


 そう言って鈴は登って行ってしまう。

 相変わらず大胆だなと思いながら俺は、


「……試しにあの魔道具でも背負って行くか」


 というわけで、ミルルがお先にと登っていくのを見ながらこの前作った空飛ぶ装置を使う。

 軽くはばたかせながら一つづつ階段を上がっていく。

 体重をかけるごとにきしむ音がする辺り、早く帰りたい衝動に俺はかられる。

 

 けれどそういうわけにもいかないので登っていき、ようやく3階までやってきた。

 その廊下を見て俺は、


「結構ここには人がきているのか? 廊下の中心部にはほこりが積もっていないようだが」

「“幽霊のしずく”目当てといった方達くらいでしょうか、ここを訪れるのは」


 ミルルがそういってから少し考えて、


「でも“幽霊のしずく”は貴重で珍しいものですが、そこまで使う物だったでしょうか」

「……少し調べてみるか」


 以前、サーシャが零したそれを使ってアイテムは作ってみたが、他にも確かゲーム内では作れたものがあったはずだ。

 ゲームに似たこの世界でもおそらくは同様だと思う。

 だからスマホを取り出して検索をかけていった俺だが、そこでみるるが覗きこんで来て、


「それは女神様がよく出てくる道具ですよね」

「ああ、といっても俺達の世界では、ありふれた道具だけれどな」

「ありふれた道具ですか? そんなによく女神様が沢山の方々の前に?」

「違う違う、スマホは、他の人と連絡を取ったり、後は昔の電子化された書物を調べたり辺りしい無料で見れる論文を見れたり、個人が書いた絵なんかを見たりといった、情報が沢山ある場所に繋ぐ事の出来る装置なんだ」

「……それは、異世界の魔道書の様なもの、という事でしょうか?」

「そう言われるとそうだな。沢山の“科学”の知識も詰まっていると同時に、この世界の道具を作るのに必要な材料がのっているかもしれないわけだし」

「そういえばこの世界はタイキのいる世界の、ゲームに似ているのでしたか」

「そうなんだよな。何で似ているんだろうなっと……見つけた」


 そこで俺は、先ほどの幽霊関係の材料が必要なアイテムについての検索結果がある。

 全部で10件だ。

 だが戦闘に使うアイテムだったり特殊な使い方だったり、後は宝石にもなるらしい。


 けれどその宝石は呪われた性質を持つので、価値はあまりない事になっている。

 それらを一通り見て俺は、


「よっぽど特殊な使い方をしないと必要ないだろうな」

「そうなってくるとギルドの方が調べに来たりたまに冒険者が来たり、そして肝試しにまれに人が来たりする程度だとすると……こんなに埃がないくらいに人が踏みしめた跡が残るものなのでしょうか」

「つまり結構な頻度で人がここを歩いているという事か」

「その人達は何が目的なのでしょうか」


 見るるがそう呟くのを聞きながら俺は嫌な予感を覚える。

 けれど、そこで鈴が、


「でもいつまでも考えてばかりでは進まないから、3階の人部屋ずつ見てこうよ。もしかしたらそこにさっき入っていった冒険者さんもいるかもしれないし」


 そう鈴が提案してくるので俺は、


「……嫌だけれど一つづつ見ていくか」


 こうして俺達は三階の部屋の扉を一つづつ開き始めたのだった。


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