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World END  作者: 星野明紀
プロローグ
3/3

3


「ッー!?!?」




「あぁっ!!やっと起きた!

きわッ大丈夫かっ?!」


「…あっ…。兄ちゃん…?」



目の前には、心配そうな顔で今にも

泣きそうな兄と木で玄関の白い屋上が見えた。



「全く!何でこんな所で倒れてたんだ??

お兄ちゃんッ心配で心臓止まるかと思ったぞッ!!

しかも雨に濡れて来るなんて!!

っ…け、けしからんっ…!!実に破廉恥だッッ!」



ーー あ…。あれ…夢だったんだ…。



「ってあれっ?!

私、倒れてたの?!なんで?!」



「 コッチが聞きたい!!

帰って来たら倒れてるし、何度呼んでも起きないし

揺すってもダメだったからッ…ッ! にぃちゃ…ッにッ…兄ちゃんはなぁああーッ!」



「あっ!ごめんごめんっ!兄さんごめん!」



「ううっ…!!に…ッズズッ!にぃちゃ…ッほんとっ…ッ!!お前にもしもの事があったらってっ…!」


「はいはーい。

もう大丈夫だから泣かないでよ!

兄さん、心配してくれてありがとう。」



抱き付いたまま泣いて

剥がれない兄の背中を撫でながら

毎度の出来事に呆れていた。




ーー はぁ…。面倒くさい…。



我が兄ながら 心底面倒い。


こんなのがあの 地獄の番人

だなんて考えられない。



その異名とは かけ離れた情けない長男。

白羽 凪 は、国家公安員をしており

23歳という年齢にして、その実力はトップ幹部の中でも群を抜いていとても優秀な刑事。



が。 自我も認める相当の妹溺愛。


顔も頭も良く。背が高く型位もいいが…

つねに妹優先なので

モテるのに 直ぐ別れてしまう困った兄。




「じゃあ私、お風呂入って来るから

兄さんも着替えて来なよ。」



「ッ…そっ…そうだな。早く入って来なさい

その間に兄ちゃんが夕飯作ってくるからな」



復活した凪は、ピンクのオーラを振り撒きながら

スキップでキッチンへと向かった。



その後ろ姿を呆れながら見送った後

入浴所へ向かい少し乾いて

湿った制服を脱ぎ冷えた躯を温めた。





ーー それにしても…。



あの夢は何だったのだろうか…。



確かにあの光景は非現実的で

夢でよかったと本気で思ってるけど…。



あんなにも現実と近い感覚がしたのは始めてだった…。痛みも、物体に触れた感触だってあった。



それに…。 知らぬ間に自分が

倒れた事にも全く気づかなかった…。



あの夢は一体……?


あの不思議な少年は 何者だったの…??




「まぁ…。夢だったんだから気にしなくていいやッ!!あぁー!今日の勝負は負けたけど!!明日こそ勝つッッ!」




結局、その疑問は模索せず放置し

もう頭の中には違う話題で一杯だった。



数時間すると あの夢も薄れて

あの少年の言葉もすっかり消えていた。








ーーー もし…。 ーー



この時…少しでも。

あの異様な夢の違和感に気づいていたら…


姫和は今でも平和で幸せな

日常を過ごしていたかもしれない…。



今思えば…全てはこの日。



この夢を見た瞬間から

もう手遅れだったのかもしれない…。




だが、その事に気付く事でさえ…。




今は… まだ誰も知らない…。









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