彼女による“死”についての考察
「ひ、人の死とは、いいいいったいなにを持って死と言えると思う?」
「さぁね……俺は脳死が哺乳類における“死”だと思うが……よし」
「た、確かにそれが一般的な、い、医学的な死とてて定義されているとはわ、私も思う。だが、こここで考えを変えてみようか。に、肉体の死ではなくた、たま、魂の死についてだ」
「…………いけるか?……あぁ、だが魂なんて俺は信じちゃいないぞ」
「い、いやそういう根拠のない魂ではな、なくてだな、こう……し、ししし信念とかプライドとかの」
「揺らすな。今大事な作業中だ」
「た、例えば私ならば子供が産めなくなったりしたば、場合は女としてのプライド、つつまり魂が死ぬと同業ではないか?」
「……あとのデータの修復は……。まぁな、だがそれは“死”というふうに定義していいのか?というか子供ってあんた」
「いい!プライドや信念は命だ!その誇りがなくなる時、私は死ぬ!子供が産めなくなっても私は死ぬ!!」
「よし、あとは……ないな。バックアップとっとくか」
「そして信念を貫き通せない者は本当の意味で人生を生きてはいない!人間は魂に誇りを持たせてこそ輝き、生きる価値を見いだせるのだ!!……それなのに私は、私は」
「……あと15秒」
「私は……なんて事を……。私は私の誇りを、プライドを捨て、あげく殺してしまった!自らの誇りを曲げ、さらには殺してしまうなんて……もう、生きる価値も」
「ん」
「……ん?なに?」
「メモリーカード。壊れたデータを修復した」
「神様!!」
「もう、素人のくせにデータの改造なんかしようとするなよ?」
「うん!うん!やった!私の127時間が帰ってきた!さすが科技大生!愛してる!超愛してる!!」
「……なぁ、データ直したんだから少し言うこと聞いてくれないか?」
「うん!聞く!何でも聞く!!」
「……そろそろ晩飯作ってくれよ母さん。もう、8時だぞ」
パソコンがどうのとか、詳しくは知らないのでノータッチで。