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時代劇の悪役姫になりました。~処刑は嫌なので、正義の味方をはじめます~  作者: 九條葉月


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井戸


「ほぅ、これが井戸ですか」


「うむ。井戸であるな」


 名古屋見物をしていたら何の変哲もない井戸を紹介された。何が起こっているのか私にも分からん。


「名古屋中に張り巡らされた上水道によって、常に新しい水が町民に供給され続けておる」


「へー。なるほど。綺麗な水が使えるなら新生児の死亡率も下がりそうですね」


「……うむ。その通り」


「下水道もあるんですか?」


「大神君が整備された下水道が今も現役だ」


「おー。下水があれば疫病も流行りにくいですね」


「……うむ」


 江戸の町の上水道は聞いたことがあるけど、下水はなかったはず。こんなところも史実とは違うのかぁ。というか優秀すぎません織田信長? 明智のみっちゃんは反省するように。


「姫でありながらそれだけの『目』を持っているとは……中々やるではないか」


 目?

 もしや私のマジカル☆アイをご存じで? なんか知らないけど透視能力? っぽいのがあるんだよね。


 ふと気になったので瞳に魔力を流してみる。と、


 ・名前 津田元春(織田信春)。

 ・年齢 17歳。

 ・職業 次代征夷大将軍。


「おん?」


「……おん?」


「いえ失礼。なんでもありません」


 なんか見えたな? 春様の頭上に浮かんでいたな? なんだあれ『スペック』ってやつか? じゃあこれは『鑑定眼』ってやつ? 詳しくは知らないけど、異世界転生ものの定番なんでしょう?


 なんじゃこりゃーっと慌てつつ、なんとか落ち着きを取り戻すために視線を漂わせる。なんだか世界に色々な解説というか説明文が追加されて――


「――おん?」


「おん?」


 春様が首をかしげるけど、とりあえず無視。そのまま視線を外さず井戸の側へと移動する。


 さっきは瞳に魔力を通していなかったから何も()えなかった。


 でも、今は視える。


「――大腸菌?」


「だいちょうきん?」


「いえ、なんと言いますか……。この水、飲まない方がいいです。病気になります」


「病気に?」


「はい。重篤な場合は死に至るかも」


「死……。しかし、だな」


「――信じられませんか?」


「…………」


 まぁ、信じられないのはしょうがない。唐突すぎるものね。


 でも、放っておく訳にもいかないしなぁ。どうしたものかな? ……あ、そういえば書庫の本に『浄化(ライニ)』という魔法が乗っていたはず。その名の通り浄化する魔法なので、水も綺麗になるんじゃないのかな?


 あとは町民が井戸を使わないようにしなきゃだけど……う~ん、楓お姉さんと蔵人さんに封鎖してもらう? いやでも忍者に目立つことをさせるのもなぁ。しかも上水道で繋がっているならこの辺一帯の水が駄目なはずだし……。


 と、私が悩んでいると。


「――信じよう」


 春様が頷いた。


「へ? 信じるんですか?」


「うむ。和はわしの正体を見抜いたからな。その『目』が危険と判断したのなら、是非もない」


「…………」


 いや正体を見抜いたのは『目』の力じゃなくて前世知識なんですよ。という説明をする前にもう春様は動いてしまった。


「――南町奉行所に使いを走らせろ。緊急事態だ。毒が混ぜられた可能性があるのでこの辺一帯の井戸を封鎖せよ。それと、城に人を派遣して陰陽師を連れてこい。『鑑定』ができる者だ」


「「御意!」」


 今まで隠れていた忍者さんたちが一瞬だけ姿を見せ、春様に頭を下げてから――消えた。おー、すっげぇ。リアル忍者、かっけぇ……。





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