探索!畜産チーム
畜産チームは、畜産科の実咲と菜月だ。
はじめに村長の言っていた餌の位置を確認した。その後、2人は馬小屋へ行くと、馬を連れ出し、放牧場で放牧した。
「村長さん放牧場はきれいにしててくれたみたいだね!」
「そんちょー、ナイス!」
放牧場の草は、15cm程の長さに整えられている。菜月も嬉しそうだ。
「ねね!菜月!隣にも、なんか建物があるよ。行ってみよう。」
「うん。」
「わー。鶏小屋だ。
立派だねー!やっぱ、卵は最初に欲しいよね〜。マキバ物語のゲームでも最初は鶏からだし!」
菜月は美咲の後から入ると鶏小屋を見回した。小屋には小さな出入り口があり、鶏も放牧できる作りになっているようだ。
「……いいね。」
「まずは、鶏の放牧地の整備だね。
あらら、あそこは穴空いてる。補修も必要かな。夕方までに忘れちゃいそうだから、菜月も覚えといて!」
「了解。」
「あ、馬小屋の掃除は明日でOK?」
「うん!明日でOK!」
菜月は馬の事になると口数は多いが、その他のことはだいたい一言である。
「菜月!牧草、作れるところあるかな。」
「…探してみよう。」
動物小屋の周辺をうろうろしていると、いかにもな建物を見つけた。
「これ、サイロじゃん!」
「おお…」
「って事は、あそこは採草地だったのかな?」
サイロの奥には、広大な土地があった。
牧草だったであろう植物が茶色くなって残っている。
「これ、2人じゃ無理じゃね。」
「………。うん。」
「紫穂エモンなら、なんとかできるかな。」
「……怒られるよ。」
「えへへ。」
「あっ!だいぶん時間経ったみたいだね。」
空を見上げると、日差しがだいぶん低いところまで来ていた。
「スプちゃんとオーちゃん、部屋に返してあげないと!」
「うん。行こうか!」
2人は、放牧場へと向かった。
放牧場に着くと、2頭の馬が菜月に近づいてきた。
「スプちゃんもオーちゃんもお利口さんだね〜。」
菜月はそう言うと、2頭の頭をこれでもかと撫で回す。実咲はにこやかにその様子を見守っている。
無口頭絡にロープをつけると、放牧地の柵を開けた。
「菜月?この子達は、性別どっちかな?」
「ああ。スプリングがメスで、オータムがオスだよ。」
「えっ?なんで知ってるの?」
「さっき、おトイレしてるとこ確認した。」
「あんな遠目からよく見えたね。」
辺りには、リズミカルな馬の蹄の音が響いていた。馬小屋へ戻ると、馬房に馬をいれた。それから、無口を外し、2人はそれぞれの餌箱に牧草を入れた。
2頭は、あっという間に半分ぐらいの量を食べてしまった。それをみると、菜月がを濃厚飼料を餌箱に入れた。
2頭は満足するだけ食べると、ゆっくりと馬房の奥に行き、敷料の籾殻の匂いを嗅いでいる。2人はそんな馬の様子をしばらく眺めていた。
「げっ?!もう日暮れじゃん!
急いで戻らないと。」
外を見ると薄暗くなっていた。2人は、馬小屋の戸締りをすると家へと戻った。
用語説明
無口頭絡(無口)…馬・牛などの頭部に取り付ける、馬具、畜産用具の一種。いくつかの輪で構成されており、頭部、耳の後ろに通して装着する。
濃厚飼料…とうもろこしや大豆、麦やふすま(小麦の副産物)、ぬかなどを粉末状にしたり圧ぺん加工(蒸気をかけて潰して外殻を割ること)したりしたもの。主にタンパク質や炭水化物を多く含む飼料(餌)。
馬房…馬を1頭ずつ入れる仕切りのある部屋。