本拠地へ!!
朝になり、8人は聖堂から出てきた。
歓迎会は夜遅くまで続いたので、みんな眠そうである。
8人が聖堂の近くの広場まで歩いていくと、昨日、馬車を引いていた4頭の馬のうち2頭が残っていた。
2頭の馬は昨日より小さな馬車に繋がれていた。
「スプリング〜!!オータム!!」
菜月が馬に駆け寄った。
馬はブルブルと鼻を鳴らした。
「おっ来たか!」
村長が8人に気づいて、手を振った。
「みんな揃っているな?」
恵は人数を数えると頷いた。
全員が馬車に乗り、いざ出発。
1時間ほど移動すると、家が見えてきた。予想より大きな家だ。石の壁に屋根には瓦が載っており、しっかりとした作りのようだ。
「もともとは民宿だったんだ。
だから部屋も多いし、キッチンも広いぞ!
5年前に爺さんが都会の孫のところに行ってから空き家になっちまって。
近くには空きの畑もあるし、動物小屋もある。
ぴったりの物件だと思うがどうだ!」
「これ以上ないくらい完璧な家です!ありがとうございます!」
恵はお礼を言った。
「この辺はまだまだ空きの土地が多いから、必要なことがあればまた言ってくれ。」
「はい!」
石壁から続く鉄の門を開けると馬車を中に停めた。
「菜月と実咲だったか?
この2頭の馬は、お前ら使者様のもんだ。
こんなに遠かったら村まで足がいるからな。
世話はできるな?」
「「もちろん!!」」
実咲はぱぁと顔を輝かせた。菜月も普段は顔に出さないが、この時ばかりは、にこにこと嬉しそうに笑っている。
村長は馬を馬車から外すと、手綱を菜月と実咲に渡した。
「2人なら安心だな。
餌は1年分小屋に用意してあるから、あとで確認しておいてくれ。」
馬小屋に2人が馬を入れたのを確認すると次は家の中を案内し始めた。
両開きのドアを開けるとたくさんの机や椅子が並んでいた。
「民宿の爺さんが辞めてから、あまり手付かずなんだ。できる限り、掃除はしておいたんだが、邪魔なものがあったら処分してくれ。」
村長は、キッチンの方へ向かう。
「魔道具は使ったことがあるか?」
8人は首を横に振った。
「大丈夫、たいていの魔道具は加護をつけてなくても使えるように作ってある。」
村長はそういうと、黒い台の隅にあるスイッチを押した。台の上には円形に並んだ小さな火が出てきた。スイッチの横を指でスライドさせると火の大きさが変わった。
「火力調整もできるぞ!」
「うお!すごい!」
今度は紫穂が目を輝かせている。
「水も手をかざせば出てくる。
あとは見ればわかるし、
キッチンはこれくらいだな。」
階段の手前に大浴場があった。
「風呂はここだ。お湯もシャワーも出し方はキッチンの水と同じで手をかざすだけだ」
階段を登ると小部屋がいくつもある廊下に出た。
「各部屋にベッドと机がある。
場所は喧嘩しないように決めるんだぞ。」
村長の案内が終わると、馬車から荷物を下ろした。8人分あるので、結構な大荷物だ。
荷物を下ろし終わると、お昼が過ぎていた。
かすみと優衣でお昼ご飯の支度をし、村長と一緒にご飯を食べた。
「食材もある程度は、食糧庫に用意してあるから計画的に使えよ。
にしても、うまいなこの料理!
なんで名前だ?」
「ナポリタンです!」
かすみはニコッと笑う。
「ウチのカミさんと子供にも食べさせてやりたいな〜。今度、作り方教えてくれよ!」
「少し余ってるので、持って帰りますか?」
「ほんとか!頼むよ!」
かすみは、蓋の閉まる器にナポリタンを入れると村長に渡した。
「そろそろ迎えがくる頃だな。」
窓から見える門の前に馬車がきた。村長は「じゃあ、またな!」というと馬車に乗り込んだ。8人は馬車の姿が見えなくなるまで手を振った。
「これからどうする?」
実咲が聞くと、恵が答えた。
「それぞれ、探検と行きますか!
必要なものも調べたいし。
あっ!でも、1人だと危ないかもしれないから2人以上で行動すること。日が傾いたら食堂に集合ね。」
「「了解」」
そういうと、8人はそれぞれ、チームに分かれ、探索を始めた。
活動日誌4
日付 クッロブール.22(2月22日)
記録 牛原 実咲
ついに、本拠地となる家に到着しました。設備は最高で、広さもとてもあるようです!
これからが楽しみだな!
昨日は聖堂で加護を受けたので、メンバーの加護をここに記録しておきます。
天野 恵
豊穣の神→豊穣繁栄
???
牛原 実咲
知恵の神→様態把握
触れた生き物の健康状態を知ることができる。
丸山 ももか
天気の神→天候嗅覚
匂いで3日前までの天候がわかる。
田尻 綾乃
魔術の神→魔力増強
魔力増強。回復術効果増強。
花田 優衣
大地の神→祈祷変化
???
馬渡 菜月
水の神→水感知
水脈を感知できる。
小野 かすみ
豊穣の神→魅惑
???
大塚 紫穂
魔術の神→回路知見
???