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レッツ⭐︎ショッピング!

翌日、菜月の走らせる馬車で、恵、紫穂、綾乃はミノリアギルドに来ていた。


「あの、資材購入についてお尋ねしたいんですが。」


「こんには。わぁ!使者様ですね!」


恵が話しかけると、アロースが目をキラキラさせた。


「え?!使者様きたの?」


隣にいたサンディアも、目をキラキラさせて、やってきた。


「本当だ〜!使者様だぁ!

アロース!そういえば、お姉ちゃんが使者様がきたら、呼んでてって言ってたじゃん。」


「あー!そういえば!お姉ちゃん呼んでくる。」


しばらくすると、アロースに連れられて、マンダリーナが出てきた。


「お忙しいのに、お引き留めしてしまって、ごめんなさいね。」


「いいえ。何かあったんですか?」


「それが…。

ここでは、なんですから、会議室の方にどうぞ。」


4人は、会議室に通されると、椅子に座った。


「実は、ダーント国の国王が、使者様方に一目会いたいと申されているようで、村長に連絡があったのです。

私も、詳細は知りませんが、会ったらこの事を、早急に伝えるようにと村長に言われていました。

もし、お時間が許されるなら、このままトラッド村長をこちらにお呼びしようと思うのですが…」


「はい!今日は時間があるので、大丈夫です!」


「ごめんなさいね。すぐに、お呼びしてきます。」


マンダリーナはそう言うと、会議室を出た。


「お茶をお持ちしました〜」


マンダリーナが出てすぐに、アロースが、お盆にお茶を乗せて現れた。

4人の前に、お茶を置くと外に出た。

扉の外からは、羨ましがるサンディアの声が聞こえた。


「アロースだけ、ずるい〜。次、私が持っていくから。」


「へっへっへ〜。いいだろ〜。

でも、サンディアが行く前に、お姉ちゃんと村長さんが来ちゃうかもね〜。」


それから、サンディアを煽るアロースの声も聞こえた。程なくして、サンディアが、ポットとクッキーをお盆に乗せて持ってきた。


「おかわりと、クッキーをお持ちしました。」


「ありがとうございます。」


綾乃はニコニコしながら答えた。4人が扉の外の会話を聞いて、慌てて飲み干した空のカップに、サンディアは紅茶を注いでいく。


「サンディアちゃんとアロースちゃんは何歳?」


綾乃が、サンディアに話しかけた。


「えっ?!……えっと…13歳です。」


「「13歳?!」」


サンディアが少し恥ずかしそうに答えると、綾乃と恵は驚いたように言った。


「この国の成人って何歳かな?」


今度は恵が優しく聞いた。


「えっと、16歳です。」


「ん?この国は子供でも働いていいの?」


今度は綾乃が尋ねた。


「はい!基本的には、10歳からは働きに出ることができます。あっ、でも、農家の子はそれより小さい時から家のお手伝いをすることも多いですし、反対に貴族の子は18歳まで学校に行っていたりします。」


「そっか、サンディアちゃんもアロースちゃんも偉いね!」


サンディアは「ふふふ。」と嬉しそうに笑うと「失礼します。」と言って、会議室から出て行った。外では、アロースが待っていたようだ。


「わ、た、し、使者様と話しちゃった〜!

し、か、も、

褒められましたぁ〜!」


外でアロースを盛大に煽り返す、サンディアの自慢話と拍手の音が聞こえた。


"あれ?2人共誉めたんだけどな…"


綾乃が心の中でそう思っていると、悔しがるアロースの声が聞こえてきた。


「ぐぬぬ。サンディアだけずるい!じゃあ、次は私の番!!」


その声を聞いて、4人はまた、紅茶を飲み干した。さすがに、お腹は水分で満たされて、食べ物ですら受け付けないくらいだ。


「おかわりを、お持ちしました。」


アロースは、会議室に入って一礼した。

4人が必死に飲み干したカップに、今度はレモンティーを注いでいく。


「アロースちゃん!」


「はい!」


綾乃がレモンティーを注ぐアロースに話しかけると、アロースが元気よく返事をした。


「アロースちゃんのお姉さんとお兄さんはいくつ?」


「えっと、マンダリーナお姉ちゃんが25歳でフレッサお兄ちゃんが22歳、メロコトンおね姉ちゃんが18歳です。」


「そうなんだ。兄弟で仲良くお仕事できていいね。」


「えへへ。でも、忙しいとたまにケンカしてます。」


「そっかそっか、アロースちゃん達も大変だね〜!」


そう言うと、綾乃は「よしよし」と言いながら、アロースの頭を撫でた。アロースは嬉しそうに「えへへ。」と笑っている。

''それ以上はやめろ、また、おかわりが来るぞ!''と菜月は、綾乃に向かって首を振っていたが、綾乃はそれに気づくことはなかった。

案の定、アロースが出ていくと、また、いつもの会話が始まった。


「な、ん、と!あの!あの!あの!

使者様方に、頭、撫で撫でしていただきました〜!ふぅ〜。」


アロースは拍手をしながら、サンディアに近づいて行くと、顔を近づけた。


「あれぇ〜、サンディアちゃんは撫で撫でしてもらえたのかなぁ〜?」


「むーーーーー!アロースだけずるい!!!次は、私が行くからね!!!」


4人の想像通り、アロースはサンディアを煽り返している。そして、どんどん煽る時のウザさが増していく。


''もう、注ぐほど紅茶飲めないよ。''


煽りのプロに4人がそう思っていると、マンダリーナの声がした。


「2人共、ご苦労様。」


「あっ!お姉ちゃんと村長さん!」


「「こんにちは!」」


残念ながら、サンディアに次は、なかったようだ。綾乃達は心の中で、安心しつつも帰りにまた話しかけようと思った。村長は入ってくると挨拶をした。


「よぉ!悪いな。」


「いえ、むしろナイスタイミングです。」


恵が言うと、村長は不思議そうに首を傾げた。


「いえ、気にしないでください。」


「お、おう。実は、使者様方8人に国王陛下から招集令が出ていてな…。」


「えっ!?国王陛下からですか?」


恵は驚いたように言うと、村長は頷いた。


「しかも、できるだけ早くと書いてあるんだが…」


「数人なら、明日にでも出せますが、8人全員ですよね…」


「おう。」


「実は、春も近いので、少しやることが多いんです。3日程待ってからでも、大丈夫ですか?」


「………。おう。かまわん。

もともとは、梅雨の時期か夏頃に挨拶に行く予定で、女王陛下に連絡して、合意を得ていたんだ。

向こう側の突然の申し出だ。少しは配慮してくれるだろう。」


「わかりました!では、3日後のブールクッロの2日に出発できるように、準備しておきます。」


「本当に悪いな。国王、女王陛下には、俺から報告しておく。馬車も用意しておこうと思うが…」


村長は菜月の方を見た。


「スプリングとオータムも連れていきたいです。」


「そうか!なら、こちらは馬車と馬を2頭用意しておこう。距離がそれなりにあるから、4頭立ての方が良いだろう。」


「ありがとうございます。」


恵が一礼すると他の3人も頭を下げた。


「王室は使者様に対しては無関心な事が多かったんで、油断していた。

マンダリーナも、協力してくれて助かった、礼を言う。」


「いいえ、私は、たいしたことしてないわ。」


マンダリーナ優しく微笑んだ。

会議室を出ると、4人は本来の目的に戻った。

アロースが座っている資材購入の窓口に再び足を運んだ。


「アロースちゃん。資材購入をしたい物があるんだけど、今、大丈夫かな?」


「はい。どうぞ。」


綾乃が話しかけると、アロースは目を輝かせている。


「みかんの苗木と、レモンの苗木って、どんなのがある?」


「えっと、少々お待ちください。」


「みかんの木は、温州みかん、紀州みかん、夏みかん、八朔みかん、いよかんがあります。


レモンの木も取扱いがあります。」


アロースは、冊子を持ってくると、それを見せながら、あやのに説明した。冊子には、レストランのメニューのように、名前と価格だけが記されていた。


「ん?これで全部?」


「はい。」


「じゃあ、レモンの木を10本とみかんの木は各1本ずつとかでも注文できる?」


「はい。苗木の購入は、合計で10本以上であれば、ご注文可能です。」


「よし、じゃあ、よろしく〜」


「かしこまりました。」


「では、綾乃様のキクロスを、アルカにかざしてください。」


「はーい!」


アロースに言われて、綾乃は腕につけたキクロスをかざした。アルカから、1枚の紙が出てきた。


「これで、お取引が完了しました。」


「苗木は本日お持ち帰りになりますか?」


「うん。できれば。」


「では、馬車に後ほどお積みしますね。」


「はーい!ありがとう。」


綾乃は用事を終わらせると、紫穂のと菜月がまっている椅子に座った。

恵は麻袋を2つ抱えて、サンディアのいる集荷販売の窓口にいた。


「ヨウテイコンの買取ですね。10kg分で、2万5千モウです。」


「やった〜!買取お願いします。」


「では、キクロスをアルカにかざしてください。」


恵は言われた通りに、腕のキクロスをアルカにかざした。


アルカからは、明細書が出てきた。


「ありがとうございました。」


恵は、3人がいる所へ戻ると、紫穂に尋ねた。


「整備庫の話聞けた?」


紫穂は、首を横に振った。


「とりあえず、サンディアちゃんに話を聞いてくる。」


「私も行く。」


紫穂は恵の後をつけて行った。


「サンディアちゃん!」


「はい!」


「ごめんね。整備庫を建てたいと思ってるんだけど、どこに行ったらいいかな?」


「そうですね…。こちらに座って、少々お待ちください。」


恵と紫穂は低めのカウンターに座るよう言われた。後ろから、綾乃が話しかけた。


「今日買った苗木、菜月と馬車に乗せてくる。」


「了解〜!いてら〜」


恵と紫穂が手を振ると、綾乃は手を振って外へと出た。

しばらくすると、マンダリーナがカウンターに現れた。


「お待たせしました!整備庫を建てたいとお聞きしました。」


「はい。」


「具体的にはどのような…」


「運搬車作る。あと、農業機械の整備する。」


「ですと…整備庫だけでもかなりの予算が必要になります。

ざっくり、このくらいでしょうか。」


マンダリーナは計算機を操作して、恵と紫穂に見せた。''4,500,000Mo''と表示された画面を見て、2人は顔を蒼くした。


「紫穂、一旦、諦めない?」


紫穂は首を縦に激しく振った。

それを見て、恵はマンダリーナに申し訳なさそうに言った。


「今回は、諦めます。」


「はい。また、機会があれば、いつでもお申し付けください!」


マンダリーナは、優しく微笑むと、2人を見送った。

恵と紫穂が、馬車の近くに来ると、綾乃と菜月がちょうど、苗木を積み終えていた。綾乃は2人が来るのを見つけると声をかけた。


「どうだった?」


「綾乃。運搬車、諦めて。」


紫穂は、顔を青白くしたまま、綾乃を見て言った。


「え〜!ダメっ!諦めない。」


「じゃあ、450万モウ…」


「えっ!?いや、無理、無理、無理、無理。そんなにするのかよ。」


紫穂はこくんと頷いた。


「しかたない。こうなったら奥の手だ。菜月、毎朝、馬車出して〜。」


「うぉ〜!スプちゃん今日もかわいいね〜!お留守番できて、えらい!えらいぞ〜!オータムもえらいね〜!」


「聞いてねぇ…」


菜月を虚しく見つめる綾乃を見て、クスッと笑うと、恵は馬車に乗り込んだ。


「さて、帰ろっか。」


全員が乗ると、菜月は馬車を動かした。

日差しは暖かいものの、頬に当たる風はまだ冷たく、上着が手放せなかった。

活動日誌9

日付 クッロブール.29(2月29日)

記録 田尻 綾乃


今日はミノリアギルドに朝から4人で行きました。村長から国王陛下から召集令が出ていることを知りました。3日後にまたクスへ向かう予定です。


◯野菜チーム

・圃場(畑)整備

・ヨウテイコン出荷


◯果樹チーム

・花の播種準備

・果樹苗木購入


◯畜産チーム

・馬の給餌、管理

・馬車準備、送迎。


◯開発チーム

・食品加工研究

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