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耕す!

恵とももかは今日もギシギシの根を取っていた。根はだいぶ乾燥し、葉はしなしなになっている。


「今日は、これ干して、耕運しようか。」


「はーい!」


2人の華麗な手捌きで、ギシギシはどんどん根だけになっていく。


「おーい!雑草ロールもらいにきたよ〜!」


実咲の声がして、恵達は振り向くと、紫穂と実咲の姿があった。

昨日、集めた雑草ロールを貰いに来たようだ。2人は、それぞれ、タイヤのついた、四角い大きめの箱を2ずつ引いて持ってきていた。


「回収。よろしく〜!」


恵は手を振って、そう答えると、実咲と紫穂も手を振りかえした。

紫穂は、黒い金属のようなもので作られた手袋を両手にはめた。すると、後ろにあった、四角い箱は形を変えながら浮き、紫穂の横に左右1つずつ並ぶと、巨大な手のような形になっていた。同じように実咲も手袋をはめ、機械を起動させた。

2人が、自分の指を動かすと、巨大な機械の手も同じように動いている。

ももかは目を輝かせて、その様子を観察していた。


紫穂は、乾草ロールの近くに来ると、巨大な機械の手で、乾草ロールを片手で掴んだ。そして、もう1つ乾草ロールを掴むと、飼料倉庫の方を向いて歩き出した。


「紫穂〜、うまく掴めない…」


実咲は、乾草ロールと巨大な手の距離感をいまいち掴めていないようだ。

乾草ロールより少し遠い位置で、巨大な手が握ったり開いたりを繰り返している。

紫穂は、両手に掴んだ乾草ロールをゆっくりとその場の地面に置き、手袋を外した。

手袋を外すと、巨大な手は元の四角い箱のような形に戻った。


「1歩前に出て。」


紫穂は、実咲に駆け寄った。

実咲は紫穂の言う通り、1歩前に出た。


「右腕を前に出して。」


実咲は右腕を出す。すると、巨大な手も少し前方へと移動し、乾草ロールに近づいた。


「掴んで。」


実咲は言われた通り、手を握ると、巨大な手は乾草ロールを掴んでいた。


「掴めた!!!」


実咲は満面の笑みで、紫穂を見つめると、紫穂は「グッジョブ。」と親指を立てた。

2人は、巨大な機械で2個ずつ乾草ロールを持つと、飼料倉庫の方へと向かって行った。

ももかはその様子をずっと見つめていた。

恵は、ももかが怪我しないように見ておかなくてはと、そわそわしている。


しばらくすると、紫穂と実咲が、巨大な手を連れて、戻ってきた。

ももかは、走って紫穂に駆け寄った。恵も、ももかの後を追うように走った。


「握手したいな〜」


「わかった。そこで、止まってて。」


紫穂がそう言うと、ももかは「うん!」と頷いた。

紫穂は、ゆっくりと、巨大な手をももかに近づけた。ももかは巨大な手の小指を掴むと、握手した。


「こら、ももか、2人の邪魔しないの。」


「えへへへ。大きな手と、握手できたよ〜。」


ももかは恵に嬉しそうに笑うと、恵はふぅと小さくため息をついた。


「紫穂、ありがとうね。」


紫穂は「うん。」と頷くと、作業に戻った。


「ももか、私達も作業にも戻ろうか。」


「はーい!」


ももかと恵は、元の場所に戻るも黙々と作業を進めた。

お昼になると、最後の乾草ロールを2個、実咲が大きな手で掴んでいた。初めは、空気を何度も掴んでいが、今はちゃんと狙った乾草ロールを掴めるようになっていた。


恵とももかは、ギシギシの根を全て外し終わると、乾燥させるために、倉庫で並べていた。全て並べ終わると、ちょうど、遠くの方で微かにお昼の鐘の音が聞こえた。


2人は、お昼を食べ終わると、乾草ロールが無くなった畑に来ていた。


「今日は、ここに堆肥を撒いて、耕運します!」


「はい!」


恵の言葉にももかは敬礼した。


「恵先生!」


「なんだね。ももかくん。」


「堆肥はどこにあるのでしょうか?」


「堆肥は、ギルドに頼んで、調達してるから今日届く予定なのだよ。ももかくん!」


「わかりました!」


「……恵先生!」


「なんだね?ももかくん!」


「堆肥はいつくるんでしょうか?」


「今日の午後の予定だよ。ももかくん。」


「わかりました!…恵先生!」


「なんだね?ももかくん!!」


「まだ、来てないってことは、私たちは今、ヒマって事でしょうか?」


「そうだよ!ももかくん。ゆっくりと休憩しながら待とうじゃないか。」


「わかりました!」


2人は、しばしおふざけを楽しみながら、休憩していると、2頭の農耕馬が、荷台を引いて現れた。荷台には山盛りの堆肥が積まれている。


「こんにちは、私はヴォーテスと申します。ミノリアギルドの依頼を受けて、牛糞堆肥をお持ちしました!」


荷馬車から降りてきた青年はさわやかに挨拶した。


「ありがとうございます。」


「畑に撒きながら、降ろすとのことでしたが…。」


ヴォーテスは、女の子だけど大丈夫かなと心配そうな表情である。


「心配しなくても、2人でやるので大丈夫です。」


「…わかりました。耕運もされるのですか?」 


「はい。」


ヴォーテスは、恵が倉庫から持ってきていた耕耘機を見て尋ねた。耕耘機は、中心に黒い球体がついており、その両側には、くの字に曲った爪をいくつも付けた、ローラーが2つずつついていた。


「では、農耕馬の生体登録しておきますね。」


「生体登録ですか?」


「はい。これをしておくと、荷馬車の後ろから耕耘機がついてきてくれます。」


「へー!そんなのがあるんだ!」


2人が驚いていると、ヴォーテスは小さい袋から、馬の毛を取り出した。


「こうやって、ブラッシングした時の毛を取っておいて」


ヴォーテスはそう言いながら、耕耘機の丸いところに、2、3本の毛をかざした。耕耘機は

その毛を吸い込むと、"生体解析完了"と表示された。


「こうすると、この毛の持ち主の馬を登録できます。」


「へぇー!勉強になりました!ありがとうございます。」


「結構、細かめに、耕して大丈夫ですか?」


「はい。じゃがいも植えるので細かめで、大丈夫です。」


「ては、前のローラーを中、後ろのローラーを細に設定しておきますね。…これでよし!」


ヴォーテスは、そう言うと、耕耘機を操作して、設定を変えた。恵とももかは角スコを持ち、すでに荷台にスタンバイしている。


ヴォーテスは、荷馬車で畑の真ん中に来ると、ついてきた耕耘機に手をかざし、拳を作った。耕耘機は起動すると、ゆっくりと歩かせている馬の後ろを、土を耕しながらついてきた。

恵とももかは角スコップで、荷台と耕運機の間に堆肥を落としていく。

時折、休憩を挟みながら2時間ほどで、作業が完了した。


「耕耘機の使い方まで教えてくださって、ありがとうございました!」


恵とももかはお礼を言って頭を下げた。


「いえいえ、このくらい当然です。それにしても、驚きました。女性なのに、率先して肉体労働するなんて…感心しました。」


「えへへ。」


ヴォーテスの言葉に2人は照れくさそうに笑った。


「では、また何か機会があればよろしくお願いします。」


ヴォーテスは、そう言うと2頭の農耕馬と共に帰って言った。


「予想より早く終わったね〜!」


ももかは嬉しそうである。


「うん。今日の作業は、夕方にギシギシの根を袋に回収しておわりかな〜!それまで休憩!」


「やった〜!」


2人はとりあえず、家に帰って、お風呂を済ませると、お昼寝をする事にした。

夕方、日が山に近づいた頃、麻袋2つにギシギシの根を全て詰めると、明日、ギルドへ出荷するための準備が完了した。


2人は両手でハイタッチすると、夕食を食べるために、再び家へと帰った。

活動日誌8

日付 クッロブール.28(2月28日)

記録 丸山 ももか


今日は晴れていて、お昼はいつもより、少し暖かかったです。みんな春に向けて、準備を進めています。


◯野菜チーム

・ギシギシの根の出荷準備

・畑の堆肥散布、耕耘


◯果樹チーム

・ハウス組立


◯畜産チーム

・馬の給餌、管理

・乾草ロールの回収


◯開発チーム

・乾草ロールの回収手伝い、機械使用説明。

・必要部材のリスト作成。

・食品加工研究

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