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魔法研究

紫穂は地下の研究室にいた。3階の書物庫から本を持ってきては、ここでひたすら読んでいる。

もう、魔法機械の仕組みは理解できていた。本をパタンと閉じると、「ない…」と呟いた。


1階に上がると、もう、空が明るくなり始めていた。昨日の夜、寝る前にどうしても、調べたいことがあり、書物を読んでいたら、いつのまにか徹夜をしていたらしい。ふと、玄関の扉が空いているのに気づいた。隙間から、黒い動物が見える。


''クロマルだ…''


紫穂は、ジャンプしたクロマルを見事に後ろからキャッチした。玄関の扉を閉めて、実咲の部屋に、クロマルを戻すと「ここも…不用心…」とつぶやいて、しっかりと部屋のドアを閉めた。

朝ごはんがもうすぐだが、睡魔が強いので、結局、自室に戻って寝ることにした。


次に目が覚めると、日は高く登っていた。

どうやらお昼になったようだ。

1階に降りると、かすみがお昼ご飯の準備をしていた。


「紫穂。また、徹夜してたの?」


紫穂は無言で頷いた。


「朝ごはん分とってあるけど食べる?」


紫穂は少し考えた後、頷いた。

恵とももか、そして、実咲と菜月が帰ってきて、みんなでお昼ご飯を食べた。

紫穂は、朝ごはんとお昼ごはん2食分をしっかりと平らげた。


「その小さい体のどこに、食べ物が収まってるんだか…作り甲斐はあるけど。」


「…小さくない…。」


紫穂の食べっぷりを見て驚いているかすみに、紫穂は真剣に答えた。

食べた後の食器を、かすみと片づけると、紫穂はまた、3階の書物庫へ向かった。本を手に取り、研究室へ戻ると何やら定規を使い、紙に鉛筆で線を弾き始めた。


「できた!……」


紫穂は自分で書いた設計図を数枚持つと、1階に戻ってきた。


「かすみ。」


「何?」


かすみは、紫穂の小さな声を聞き取ると、キッチンから顔を出した。


「恵どこ?」


「今は、ももかと畑にいるよ。」


紫穂は、無言のまま研究室に戻った。

研究室に戻ると、大きく背伸びをした猫のチビが出迎えた。紫穂が、椅子に座るとチビは膝の上に乗った。紫穂はチビを撫でると、本を読み始めた。集中して読んでいると、研究室のドアが2回なった。


「紫穂?夕飯できたってよ〜」


綾乃の声がして、紫穂はいつのまにか、時間が経っていることに気づいた。膝の上のチビもいつのまにか、床にゴロンと転がっていた。

階段を上がって、食堂に向かうと、美味しそうな匂いがした。


テーブルの上には、ご飯とコーンスープ。それからハンバーグが並んでいた。どうやら、紫穂が最後に来たらしく、食堂にはみんなが揃っていた。

いつものように、恵の声で食事が始まった。

10分くらいすると、実咲がご飯をおかわりをしに行った。紫穂はご飯を食べ終わると、恵に話しかけた。


「恵。次、ギルドいつ行く?」


「うーん。まだ、決めてないかな。」


「整備庫欲しい。」


「あー。そういえば言ってたね。今度行った時に確認しないと。一緒に行く?」


「行く…」


紫穂は頷きながら言った。


「私も行きたーい!果樹、増やしときたいなと思って!」


紫穂の横に座っていた綾乃が言った。


「明日は、まだ、作業残ってるし、明後日とかはどうかな?」


「了解〜!」


綾乃が言うと、紫穂も頷いた。


「実咲か菜月、馬車を出して欲しいんだけど、大丈夫かな?」


「私、行きたい。」


「ではでは、菜月にお願いします。」


菜月が立候補すると、実咲はそれを譲った。


「よろしくね!菜月。」


菜月は恵を見ると頷いた。

みんなが、夕飯を食べ終わると、後片付けを綾乃と優衣がしていた。

紫穂が食べ終わった皿を持ってくると、皿を受け取った綾乃が話しかけた。


「紫穂ぉ〜!私、今日ぉ魔法使っちゃったぁ〜!」


「へー…」


紫穂はそれだけ言うと、その場を立ち去ろうとする。


「ちょ、ちょっと、待って。もう少し、興味持っても良くない?」


綾乃に引き止められて、紫穂は無言のまま、綾乃を見つめた。


「火の魔法使ったんだ。」


綾乃は再度ドヤ顔を決めた。


「……よかったね…」


紫穂はそれだけ言い残すと、食堂の自分の席に戻り、本を読み始めた。


「紫穂、反応薄くない?」


「いつも通りじゃない?」


綾乃は隣にいた優衣に言った。

食器を洗い終えると、綾乃は紫穂の隣に座った。


「紫穂ちゃ〜ん。」


紫穂は、綾乃を横目でチラッと見ると、本に視線を戻した。


「今日、魔法使えたよ~」


「うん…私も勉強した…」


紫穂は、本を机に置くと、右手の人差し指を立てた。人差し指の上がじわじわと光始め、小さな光の球体を作り出した。「わぁ、きれい」とももかも紫穂に注目した。


「なにそれ。すご!」


綾乃は驚いて紫穂の指先の光に釘付けである。


「これが…魔力…」


「……?ん?」


「魔力の素が、集まることで魔力になる。…って本にあった。」


紫穂はそう言うと、綾乃に''魔法基礎''と書かれた本を渡した。


「いつのまに!!先を越されてたのか!!しかも、ちゃんとコントロールしてやがる。」


「綾乃、マッチ箱ごと火付けてたからね〜」


優衣が空いた席に座ると言った。


「たぶん魔力がマッチの火をつけるエネルギーになっただけ…。」


「………?言ってることが、わかるようでわからん。教えてよ紫穂先生!」


「この世界の魔法は、直接、火になったり、水になったりしない…魔力が現象を起こすためのエネルギーとなっているだけ。」


「なるほど、で、どうやったら、それがコントロールできるんだ?」


「これを…こんな感じにする…」


紫穂は手を空中で動かすと、魔力の素を集める様子を表現した。


「なるほど、わからん。」


紫穂は体でわかっていることを教える事の難しさを痛感した。綾乃はなんとしてでも、魔法を使いたそうにしているが、今日は、とりあえず、諦めることにした。


「また、今度…」


綾乃と紫穂のやり取りを聞いていた恵が食後の紅茶をひと口飲むと、話に入った。


「そういえば、キケルさんも同じようなこと言ってたよね?魔力はエネルギーのようなものだって。」


紫穂は頷いた。


「でも…魔力の素の発生原理までは、解明されてない…たぶん…」


「へぇー。ここまで、魔法の道具が発達してたら、調べられてそうだけどね。」


「うん…」


紫穂は、少し残念そうに言った。


「何か闇を感じますな、紫穂先生!」


綾乃がクククッと笑いながら言うと、紫穂は持っていた魔法基礎の本を綾乃に渡した。


「綾乃…今度、魔法教える…これ読んでおいて…」


「はーい!」


綾乃は、紫穂から本を受け取ると、少し開いてみた。小さな字がびっしりと書いてあるのを見て、「時間ある時に読んどく」と言って、2階に上がって行った。


「さて、明日も早いし、そろそろ私寝るね〜」


実咲が言うと、みんなはそれぞれ、お風呂に入ったり、就寝の準備をした。


活動日誌7

日付 クッロブール.27(2月27日)

記録 花田 優衣


今日は、昨日購入した資材が届きました。馬車数台分あったようです。その後は各々チームに分かれて、作業をしました。


◯野菜チーム

・資材荷下ろし

・ヨウテイコン(ギシギシの根)収穫、出荷準備

・野草の収草・梱包


◯果樹・花チーム

・柑橘の木剪定・施肥


◯畜産チーム

・荷下ろし

・馬の給餌・管理

・クロマルの去勢


◯開発チーム

・運搬車の設計

・食品加工研究

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