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もうすぐ春!

恵とももかは、朝食を済ませると倉庫にいた。昨日、馬車に積んで帰った資材は、ほんの一部であり、これから先の肥料や種の量を考えると、どう考えても、あの馬車には収まらなかった。

幸いにも、残りの資材は、ミノリアギルドの馬車が運んで来てくれるらしい。


「今日は、とりあえず、荷物運び終わってから、ジャガイモの植え付け準備をしようか。」


「了解!」


恵が言うと、ももかが返事をした。

石の塀の向こうから、馬車が現れた。中から人が1人降りてくると、恵は走ってかけ寄り、倉庫の方へ馬車を止めるように誘導した。


馬車の荷物を下ろしていると、もう一台、馬車が来た。その馬車に恵は駆け寄った。


「家畜の飼料を運んできました。」


「では、あちらの方にお願いします。」


恵は馬小屋にいた実咲と菜月を呼んだ。

実咲と菜月は、それぞれ、場所を指定しながら、荷物を下ろすと、馬車の荷台はあっという間に空っぽになった。


午前中は、結局、荷下ろしでいっぱいいっぱいだった。

お昼ご飯を食べ終わると、恵とももかは、じゃがいもの入っている麻袋を開けた。

倉庫の一日中、日の当たるところに種芋を並べていく。


「ジャガイモの仕入れ間に合わないかと思った。」


「間に合ってよかったね。」


「あっ!そうそう、これも一緒に。」


恵はそう言うと、紙袋から5個の粒揃いのじゃがいもを取り出すと、他のじゃがいもと少し間を空けて並べた。


「ニセジャガも増えると思う?」


「魔法で増やしたなら、魔法の木が生えて来たりして〜」


「そうなったら、面白いね。」


恵は予想外の答えに、少しわくわくした。

じゃがいもを並べる作業を終えると、今度は畑に出た。


先日から、除草作業を続け、およそ1haの土地に短く切られた枯れ草があった。

恵は倉庫から集草ロールベーラと名付けられた機械に乗って来た。名前が長いので、ロールチャンと呼んでいる。

機械前方には右側と左側に回転するフォークの爪のようなレーキがついており、後方には、集めた枯れ草をロール状にまとめる機械がついていた。


「ももか!触ったら怪我するよ!」


恵は、ロールチャンから慌てて降りた。

レーキの先を触ろうとした、ももかの手を繋ぐと優しく話しかけた。


「危ないから離れててね?」


ももかは回転式のレーキに触りたそうにしていたが、諦めて頷いた。


「少しの間、この作業をお願いしていいかな?」


恵は畑の横に積まれたギシギシの根っこを取り始めた。


「これが売れるらしいから、集めよう!」


「うん。」


ももかは黙々と作業を始めた。恵はロールチャンで、畑を斜めにくように走ると、運転席のハンドルに"1ha"と赤文字で表示された。恵はロールチャンから降りると、2回手を叩いた。


恵は走って、ももかのいるところまで戻ってくると、ロールチャンはひとりでに走り出した。

地面の草を二つの回転するレーキで一筋に集め、それを後ろの箱のようなところで丸めていく。しばらく集めると、ロールチャンが止まり、後ろの箱から、ロールケーキのように巻かれた、雑草のロールが現れた。


「「おぉ〜。」」


2人は大きなロールがロールチャンからゴロンと転がって出てくる圧巻の様子を、ギシギシの根を取りながら見ていた。

ギシギシの根を半分くらい程取り終えたところで、日が傾き始めた。ロールチャンはあと少しで作業を終えそうだ。

それからしばらくして、ロールチャンが作業を終える頃には、空はオレンジ色に染まっていた。


「恵!3日後雨が降るよ。」


ももかは突然、くんくんと空のにおいを嗅ぐとそう言った。


「了解!ももかの鼻は効くからね!」


恵はロールチャンを倉庫に戻すと、一輪車に積まれたギシギシの根を、ももかと家に持って帰えった。


「ただいま〜!」


「おかえり!」


扉をあけるとかすみが作る夕飯のいい匂いがした。


「ハンバーグだ!」


ももかは嬉しそうに叫んだ!


「正解!」


かすみがにっこりと笑った。

恵とももかは、バケツに入るだけのギシギシの根を入れると、食堂の空いているテーブルの上に広げた。


「それ何に使うの?」


かすみが次々に根っこを運んでくる2人の様子を見て尋ねた。


「乾燥させると、ギルドで買い取ってもらえるらしいから、売ろうと思って!」


「なるほど!」


2人は何度か往復して、やっと、一輪車すべてのギシギシの根を食堂へと運び終えた。 

恵が一輪車を戻してくると、ももかはいつもの席で寝ていた。


「今日は大変だったみたいね?」


テーブルに頭を預けて眠るももかを見て、かすみが言った。


「これからの方が大変かも!」


恵は答えると、2階に着替えを取りに行き、いつものように大浴場に向かった。

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