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ミノリアギルド

3日後、村長が再びやってきた。

ちょうど、朝食を終えたタイミングで、カランカランと、玄関のベルが鳴った。

恵と実咲がドアを開けるとガタイのいいおじさんが立っていた。


「おう!だいぶん慣れてきたみたいだな!」


「まぁ、それなりに!」


恵は答えると村長を家の中に通した。

村長が椅子に座ると、かすみがお茶を出し、全員席に座った。


「今日は、街への道案内がてら、ミノリアギルドに連れて行こうと思うんだが、時間はありそうか?」


「ミノリアギルドですか?」


「おう。主に、農業や漁業などの自然界から採取した資源を売って生活している奴らの為のギルドで、肥料や飼料など必要な資材を購入したり、農産物なんかを買い取ってもらったりもできるぞ。

ここで生活するなら、必要不可欠だ。まぁ、小さい村だから、そんなに活気があるわけじゃないが。」


「今日中にやらないといけない作業ある人?」


恵が聞くと、みんなは首を横に振った。


「村長さん、全員、行きます。」


8人は出かける準備をするために1度自室へ戻った。実咲と菜月は早めに外に出ると、村長に馬を馬車へ繋ぐ方法を教えてもらっていた。家の中から次々にメンバーが現れて、馬車の準備が終わる頃には、全員が揃った。

村長はふと家の裏にある畑の方を見た。


「雑草が無くなってる?!

もう仕事してたのか!?さすが使者様。

閑散期だし、てっきり、数日は休むかと思ってた。」


村長は「感心、感心」と頷いた。恵とももかは嬉しそうに目を合わせた。


「うん?あの柵の周りにある大量の草はなんだ?」


「ギシギシです。使い道がないので、明日あたり燃やす予定です。」


「うん?よく見りゃヨウテイコンじゃないか?」


村長は家の裏まで行くと、ギシギシを持ち上げた。


「やっぱりヨウテイコンだ。この根っこを刻んで乾燥させたら、ギルドで買い取ってもらえるぞ。」


「えっ?!ほんとに?」


「あぁ、薬になるんだ。」


「危うく捨てるところでした。ありがとうございます。」


恵はお礼をいうと、ももかと目を合わせた。


「私たちの努力は無駄ではなかったね。」


「うん!」


恵とももか嬉しそうに笑うと、馬車へと向かった。全員が馬車に乗り込むと、ミノリアギルドを目指して進み始めた。


行きは菜月が手綱を握っていた。少し不安そうにしていたが、村長が付いていた事もあり、すぐにコツを掴んだようだ。1時間ほど走ると無事に到着した。

村長は菜月にレンガ積みの建物の前に馬車を止めるよう指示した。8人は馬車を降りると、小さな歓声を上げた。建物の前には、花壇や鉢に色とりどりの花が咲いている。


「ここがミノリアギルドだ。」


村長はレンガ積みの建物の両開きの扉を開けた。建物の中は広々としている。待合室の椅子はたくさんあり、窓口も5つほど用意されていた。


「あ!村長さん!こんにちは!」


こちらに気づいた、橙色の髪を三つ編みにした女性が話しかけた。


「よぉ、マンダリーナ!元気にしてたか?」


「ええ!みんな元気よ!今日はどんなご用事?」


「今日は、例の使者様方を連れてきたぜ!」


8人は「こんにちは」と挨拶をした。


「まぁ!!あの噂の使者様ですね!

ミノリアギルドに来られるのをお待ちしてました。

私はこのギルドの長を務めております。マンダリーナと申します。」


マンダリーナは一礼すると続けた。


「こちらが農業用魔法道具購入・メンテナンス担当の弟のフレッサ。」


マンダリーナに紹介され、赤い髪の少年が一礼した。


「それからこちらが、妹の企画・広報担当のメロコトン」


ピンクの長髪のメロコトンはフレッサの隣に並ぶと一礼した。


「そして、こちらが双子の妹、事務・集荷購入担当サンディアと事務・資材販売担当のアロースです。」


秋の黄金の稲穂を思わせる明るい髪に緑のメッシュが入った綺麗な髪色を持ち、顔も瓜二つのサンディアとアロースがメロコトンに続いて、一礼した。8人はそれぞれ自己紹介をした。


「じゃあ、俺は少し他の用事を済ませてくるから、あとはマンダリーナ達に任せていいか?」


「ええ。ミノリアギルドのご説明もしたいし、大丈夫よ。」


マンダリーナがそう言うと、村長は、「じゃ!また後でな」と言い残してどこかへ行ってしまった。

8人はマンダリーナに会議室へ案内された。会議室はシンプルな壁に、長いテーブルが1つ、その周りに椅子が置いてあるだけの部屋だった。


「このミノリアギルドは、私たち兄弟5人だけでで運営しています。これから、人を増やす予定ですが、まだ機能していない部署もあります。ご不便をおかけするかもしませんが、よろしくお願いします。」


マンダリーナは頭を下げると8人に椅子に座るように促すと続けた。


「いいえ、私達こそ、よろしくお願い致します。」


恵がにっこり笑うと、マンダリーナも微笑んだ。


「おそらく皆様がよく利用されるのは、農作物などをギルドに売る事ができる集荷販売と、肥料や飼料などをギルドから購入する資材購入だと思います。

情報登録しておけば、ギルドがお休みの日以外はいつでもご利用できます。

本日、情報登録されていきますか?」


「はい。今日、登録していきます。」


恵はアイコンタクトで7人に確認すると答えた。


「こちらは、キクロスと呼ばれる、ミノリアギルドを利用するための魔法道具です。魔法道具や資材の購入、収穫物の出荷、それから、収穫祭などのイベントへの参加もこれ1つで出来ます。」


マンダリーナはそう言うと、持ってきた木製の輪っかを1人に1つ渡した。厚さ5mmほどの輪っかの内側には丸く加工された石が1つ埋め込まれていた。


「通常は、ギルドで納品を継続する事が可能か確かめる為に1年間のテストを受けてから、お渡ししているものです。

しかし、皆様は豊穣の神ミノール様をお救いするための使者様なので、特別にすぐにお渡ししております。また、使者様のキクロス内には、村長と司祭のキコルさんより事業開始資金が入金されております。」


マンダリーナは、そこまで言うと、ポケットからもう1つキクロスを取り出した。


「では、キクロスの使い方をご説明いたします。まずは、中の魔法結晶石に息を吹きかけて手首のあたりに着けてください。」


そう言うと、マンダリーナは、自分が持っているキクロスの魔法結晶石に息を吹きかけた。すると輪っかは2回りほど大きくなった。マンダリーナが大きくなったキクロスに手を通すと、手首のあたりで元の大きさに戻った。

キクロスをじーっと眺めている紫穂以外の7人は、同じようにして、キクロスを着けることができた。


「紫穂。着けないのか?」


綾乃にきかれて、紫穂はきょろきょろと見回した後、みんなと同じようにキクロスを着けた。


「外す時は、このように結晶石の後ろを2回指で叩くと外せます。」


マンダリーナは、紫穂がキクロスを付けたのを確認すると、今度は外し方を教えた。それを見て8人は、それぞれ試すと見事に成功した。


「では、情報登録を致しますね。ここからは、事務のサンディアとアロースが説明します。」


マンダリーナが会議室の扉を開けるとサンディアとアロースが入ってきた。


「「こんにちは!」」


2人は元気よく挨拶をした。サンディアの手には、小さな箱のようなものが握られていた。


「今から使者様の情報登録を行います。」


アロースが言うと、サンディアは手に持っていた箱のようなものをテーブルの上に置いた。


「この箱は、アルカといって、キクロスの使用者の購入履歴や出荷履歴などの情報を残すことができます。

まずは恵様、キクロスをこの箱の上にかざしてください。」


アロースに言われ、恵は立ち上がると、テーブルの上のアルカに、キクロスをかざした。

すると、アルカの上に、光の文字が浮かび上がった。


''使者 アマノメグミ''


「恵様の登録が済みました。では、次は実咲様どうぞ。」


アロースに呼ばれ続いて、実咲がキクロスをかざした。すると光の文字は、''使者 ウシハラミサキ''と浮かび上がった。

その後、全員が登録を済ませると、サンディアが話し始めた。


「ミノリアギルドでは、資材の購入や収穫物の出荷などで直接の金銭のやり取りはなく、このキクロスとアルカを使用します。

ですので、ミノリアギルドをご利用される際はキクロスをお忘れにならないようにお願い致します。

それから、使者様のキクロスでされる取引に関しては、個人ではなく、8人で共有登録されております。ここにいる皆様であればどなたでも、資材購入、出荷ができます。

また、紛失された際も悪用されたりするといけないので、すぐにお申し出ください。」


「あの、ミノリアギルド以外で買い物をしたい時は、金銭でのやり取りになる事があると思うんですが、その時はどうしたら良いですか。」


かすみが尋ねると今度は、アロースが答えた。


「はい。その場合は、ミノリアギルドの隣の建物に、キクロスの中の金銭をお渡しできる施設があります。」


「わかりました。ありがとうございます。」


「他にご質問等ありますでしょうか?」


「いいえ!今の所は大丈夫です。」


少しの間をおいて、恵が答えるとアロースが続けた。


「もし、わからない事がありましたら、いつでもお気軽にお声掛けください。」


双子はにっこりと笑うと、会議室を出て仕事に戻った。


「お待たせいたしました。本日から、いつでも、このミノリアギルドをご利用いただけます。今後のお取引、よろしくお願い致します。」


マンダリーナは一礼した。その後、8人は会議室を出ると待合室に戻ってきた。


「あっ!私ちょっと、ついでにこの間話し合った必要な資材の購入してくる。」


実咲はそう言うと、それぞれが必要なものを書いた紙を持って、資材販売と書かれた看板の窓口へと向かった。


「私も、出荷について聞いてくる。」


恵もそう言うと、集荷購入と書かれた看板の窓口へと向かった。


2人はそれぞれ向かった先で、いくつか尋ねると戻ってきた。


「村長さん用事終わったかな?」


優衣が言うと、後ろから声がした。


「あっ!使者様方〜!」


優しそうな呼び声に、8人は振り向いた。イベント窓口から、メロコトンが走ってきて、1枚の紙を渡した。


「こちらは、ミノリアギルドが開催しております年間イベント情報です。

特に、この秋の収穫祭は村を上げての大きなお祭りです!ぜひ!参加されてください。」


メロコトンはそれだけ言うと、窓口に戻って行った。


「無事に登録できたか?」


村長は入り口から入ってくると、8人と合流した。


「はい!バッチリです。」


恵が言うと8人はにっこりと笑って、腕につけたキクロスを見せた。


「おっ!バッチリだな。」


村長にっこりと笑った。

その後、少し、村を散策すると、帰りは実咲が馬車の手綱を握った。菜月に比べ少したどたどしいが、途中からコツを掴んだようで、なんとか家に帰る事ができた。


活動日誌6

日付 クッロブール.26(2月26日)

記録 馬渡菜月


今日は、村長さんにミノリアギルドへ連れて行ってもらいました。必要な資材などを購入できるほか、作物の出荷やお祭りの参加なんかもできるそうです。各部署についてまとめておきます。


農業用魔法道具購入・メンテナンス部

農業用の魔法道具の購入やメンテナンスについて、仲介や簡単なメンテナンスをしてくれる部署。担当はフレッサさん。



企画・広報部

村での祭りや生産物販売イベントの企画、街の方へダンオン村の特産品を広めるための活動をしている部署。担当はメロコトンさん。


集荷販売担当

生産物を出荷できる部署。ダーント国内に複数の流通経路を持っており、ほとんどのものは買い取ってくれる。担当はサンディアさん。


資材購入担当

必要な資材を仕入れて販売してくれる部署。畑作業や畜産、漁業などで必要な資材を購入できる。担当はアロースさん。

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