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ギシギシ、もぐもぐ

紫穂は倉庫の説明会が終わると3階の本を研究室に持ち運び、それを読み始めた。

倉庫には耕耘機や草刈機はあったが、運搬車は無かった。


かすみは昼から、食器の片付けを終わらせ、キッチンの掃除をした。その後、冷蔵庫にある野菜をいくつか保存食用に加工していると、カランカランと大きな玄関のベルが鳴った。


ドアを開けると、草をたくさん積んだ一輪車と、恵とももかがいた。


「なにこれ?」


「「ギシギシ」」


2人は今夜のおかずにしよう。とキラキラした目でかすみを見つめた。


「まだ、畑にいっぱいあるよ」


ももかはかすみを見つめたまま、にこっと笑った。かすみは頭を抱えている。


「たくさんの食糧調達してきてくれたところ悪いんだけど…

ギシギシは食べれるけど、そんなには美味しくないかも。でも、好きな人は好きよ。」


2人のキラキラした目は少し曇り始めた。


「それにシュウ酸が含まれてるから大量に食べるのはできないかな…あと食べられるのは新芽くらい。」


そう言うと、かすみはギシギシの葉の中心にくるっと小さく巻かれた葉っぱを摘み取った。


「これが新芽。」


その新芽の小ささに、2人の目は絶望に黒く染まった。


「えぇ…それだけ……ほぼゴミじゃん。」


「でも、せっかくだから摘み取ろうか。」


「………おー。」


野菜チームの2人は明らかにやる気を無くしていた。


「新芽摘み取ったら、全部燃やして、草木灰にしてやる。」


「さすが恵、抜け目ないね。」


かすみは絶望の2人を慰めるように、あははと笑いながら言った。

3人は、畑まで来ると、新芽を摘み取り始めた。ボウル1杯分摘み取ると収穫をやめた。


「これくらいあれば、十分だから帰ろっか。」


かすみがそう言うと、2人は一輪車の上にギシギシを山積みにして、この後特に出来ることも無いので、帰り支度をした。

帰ると、かすみは着替えて調理を始めた。2人はお風呂に入り着替えると、椅子に座った。

キッチンではぐつぐつと鍋でお湯が沸いている音がする。しばらく経つとかすみが近づいてくる足音がした。


「ほれぇー!」


かすみは、2人の前に、小皿に一口サイズに盛られたギシギシの味噌和えを置いた。2人はまだ絶望の眼差しだ。やる気なく箸を持つと一口で、味噌和えを食べた。


「えっ!美味しいじゃん。」


「お口にあったみたいで良かった。」


かすみは恵ににっこりと微笑んだ。


「さすが、かすみ!」


「おかわりある?」


いつのまにか、皿を空っぽにしたももかが、かすみに尋ねた。


「あるけど食べ過ぎ注意!一応しっかり茹でてるけど、シュウ酸がゼロになったわけじゃないから、残りは夕飯でね。」


「しゅうさん…?」


ももかは目を点にして、首を傾げた。

絶望の瞳は、キラキラとした希望の瞳を取り戻していた。

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