クッロブール.23
うっすらと空が明るくなった頃、菜月はスプリングに騎乗し、馬場を走っていた。空っぽになったスプリングの馬房を、実咲がピッチフォークや角スコップを使い掃除していた。
時折、隣のオータムが自分も外に出たそうに、馬房の中をぐるぐる回ったり、足をトントンと鳴らしたりしている。
「ごめんね。オーちゃん、私馬術部じゃないから、馬の乗り方知らないんだ。」
実咲は、馬房の掃除が終わるとオータムを撫でながら言った。
しばらくすると、菜月がスプリングを連れて戻って来た。馬小屋の前にある洗い場に、スプリングをつなぎブラシや水を使い洗い始めた。
「おかえり菜月!オーちゃんに、先にご飯あげたよ〜」
「了解!スプちゃんは部屋に戻したらご飯あげとく。オーちゃんは食べ終わったら、放牧場に連れて行ってくれる?」
「了解!」
実咲はオータムが食事を終え、落ち着いたのを確認すると、放牧場まで連れ行った。
オータムは待ってましたと嬉しそうに鼻を鳴らした。
オータムを放牧場に出すと、実咲はオータムの馬房掃除に向かった。しばらくして、スプリングも朝食を終え、放牧場にやってきた。
2頭の馬は仲良く楽しそうに走り始めた。
空には、しっかりと太陽が昇っている。
菜月と実咲は、朝ごはんを食べに家に戻った。
家の中では、恵とかすみが朝ごはんの準備の真っ最中だった。
「おお、おかえり!畜産チームは朝早いね!」
恵が実咲と菜月に言った。
「おはよう。でしょー!」
明るく返す実咲の横で、菜月が「うん…」と少し眠そうに答えた。
「私達、ちょっとシャワー行ってくるね!」
「はい、はーい!」
実咲と菜月は、部屋着を持って大浴場へと向かった。
その後、ももかと優衣が起きてきた。恵は2人を見て声をかけた。
「おはよう〜。」
「おはよう!昨日は眠れた?」
「うん。バッチリ!」
元気に返事をするももかに対し、優衣は、眠そうにあくびをしながら頷いた。
「あとは、綾乃と紫穂だけだね。」
「朝ごはんができたら、呼びに行くか。」
4人で朝ごはんを完成させると、恵が綾乃と紫穂を起こしに行った。
「綾乃ー!?」
恵は数回ノックすると、綾乃の部屋の中に入った。
「紫穂も一緒だったのね。
2人とも、朝ごはんできてるよ。起きて。」
「……。」
2人ともすやすやと寝息を立てている。
「おきて〜。」
恵は2人の体を揺すってみた。
「んー。おはよう。」
まだ目の開ききってない綾乃が起きたようだ。そのまま床に足をつけると、フラフラしながら起きてきた。
綾乃がベットから出ると、紫穂は目をゆっくりと開け起きてきた。
「もうご飯できてるから、支度できたら食堂に来てね!」
「はーい。」
綾乃が返事をすると、恵は食堂へ降りて行った。
シャワー組が食堂に来ると、程なくして綾乃と紫穂も降りて来た。
朝ごはんをみんなで並べると、恵の掛け声で、食べ始めた。
「あっそうだ。紫穂って加護の効果で魔法道具の仕組みとか、使い方がわかるんでしょ?」
恵が水を一口飲んだあと尋ねた。
「うん…」
「できれば午前中、倉庫の魔法道具の使い方を教えてほしいんだけど、大丈夫かな?」
「うん。大丈夫。」
紫穂はそういうと、目玉焼きとパンを交互に食べた。
朝ごはんを食べ終わると、みんなで片付けをした。その後、倉庫に集まり、紫穂が魔法道具の使い方を教えた。
それぞれ使えそうなものは、メモをした。ちなみに、ももかが昨日指を怪我した道具は、草刈機だったようだ。
「運搬車ないじゃーん。」
家に向かいながら、残念そうな声をあげる綾乃の横に恵が並んだ。
「でも、使えそうなのいっぱいあったね。時間が短縮できそうで助かる。」
「まぁね。」
8人は食堂に着くと、お昼ご飯を食べ、それぞれの作業に向った。
用語説明
馬場… 乗馬などを行うための土地
ピッチフォーク(フォーク)… 長い柄に細長い爪が4つついている農具。干草や牧草、農作物など柔らかいものを撹拌したり、運んだりすることに使う。
角スコップ(角スコ)… スコップ部分が四角い形状になっているスコップ。 主に、土や敷料など集めたり、すくうのに使う。




