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いつかの光景

 暗闇の中で一歩、また一歩と歩みを進める。

ヴェル(ここはどこだ?声を出すこともできない。俺はさっきまでアキの姿を……)

 自分はどこにいるのか、そんなことも分からないまま謎の空間を進むヴェルタニスは次第に肌を撫でる風を感じとる。

暖かな風は次第に向かい風からゆっくりとヴェルタニスの身体を押し流すような追い風へと変わり、何かに導いているようにも感じ取れる。

ヴェル(なんだ、あれ)

だんだんと暗闇が空けはじめ、視界に映った光景にヴェルタニスは目を大きく開く。

それはどこかの国の玉座のような場所だった。煌びやかに装飾された内装、見るからに高価なカーペット、辺りを見渡すもまったく見覚えのない光景に困惑していると、玉座の奥から二人の人間が歩いてくる。

「国王。"奴"はこれまでとは比べ物にならない程の力を……!」

「分かっている。こちらも勢力を整えなければ」

 二人はヴェルタニスの姿に気付いていない様子で話しを続ける。

「まったく……こんなことならば早々に奴の首をはねるべきでした」

「過ぎたことを言っても仕方が無い。全兵士、魔導士に伝えるのだ。奴を、"ノケモノ"となったあの男を撃退するのだ」

 国王と呼ばれる男が発する言葉には一つ一つから力強さを感じ、もう一人の人間は心の底からその男を尊敬しているのだと感じとれる。

二人の人間が玉座の間から出ると、再びヴェルタニスの視界は暗闇に包まれていくのだった。


ヴェル「ん…んーん?」

 次の瞬間、瞼の奥から発せられているまばゆい光を感じ取り、ヴェルタニスは目を開く。

最初に視界に入ったにはどこかの部屋の天井で、ヴェルタニスはこれまで見た光景は夢だったと気付く。 

ヴェル「夢……?」

ミラ「お?起きたね、おはよう」

 次にヴェルタニスの視界に入ったのは自身を見下ろすミラの顔だった。その瞬間、ヴェルタニスはゲルマンを倒す為にアルバス公国に侵入したことを思いだし自分の身体を起こそうとするも、体中に走る激痛に悶えてしまう。

ヴェル「い゛い゛っ゛て゛ぇ゛……!!」

 その声に気付いたのか焦った様子で部屋の入り口にかけてきたのは、ヴェルタニス達を迎えた給仕服の女性だった。

女性は口を抑え、目に涙を浮かべると大きな声を発し、急ぎアトラスの名前を呼びながらどこかへ駆けていった。

 それからしばらくすると、アトラス、アルスがどこからか現れ、ぞろぞろとヴェルタニスが居る部屋へと集まった。

アトラス「よ、まずはお前が寝ている間の事を話そうか」


ヴェル「3日間!?」

アトラス「そう。私たちがアルバスを奪還した後、お前は今日までの3日間気を失ったままだった」

 アキの姿をした魔導士との戦闘後、自身が長い時間眠りについていたことに驚愕するとともに無事に作戦が成功していたことにホッと胸を撫でおろす。

アルス「でも、こちらにとって良い事だらけって訳でもない」

ミラ「ああ、私たち以外のマーシャル、シルビア王国の部隊はほぼ壊滅……奪還作戦は失敗した」


マーシャル王国、奪還部隊ー

 武闘大会にてアルスと戦闘をしたパールや五大災厄であるデュラルを含めた複数人の部隊。

王国潜入直後、白い装束を纏った人間が扱った謎の魔法によってデュラルは大陸から遠く離れた小さな大地に転送される。

デュラルは転送先にいた刺客を殲滅させた後急ぎマーシャル王国に戻るも、彼らに協力をしたレジスタンスの人間もろとも部隊は壊滅。

城下町の広場にて部隊の面々がさらし首となっていることを確認した。


シルビア王国、奪還部隊ー

 ナキ、リエル、そしてもう一人の五大災厄を含めた複数人の部隊。

マーシャル王国の部隊同様、潜入直後に待ち伏せされたように強襲を受ける。デュラル同様謎の魔法を受けた五大災厄の一人はどこかの大地に転送される。

転送先にいた刺客は明らかに人間では無く、魔物をさらに異形にしたような謎の生物が待ち構えていた。

リエル、ナキの二人は間一髪で王国から脱出し、現在はモンストロ大陸で心身を癒している。


アルス「ッ…!」

 武闘大会にて戦火を交え、一種の友情が芽生えていたパールの訃報にアルスは唇を噛み小さく震えている。

ミラ「こちらの部隊に例の白装束が居ないのは謎だが…この報告を見るにこちらの情報が洩れているのは確実。これでは奪還失敗の際に用意していたサブの作戦も意味をなさないだろう」

アトラス「アルバスの奪還後、ハーラルの奴らに動きがない事も不気味だ……やはり一度モンストロに帰るべきか」

 そんな話しをしていると、どこかから現れたソロが声をかける。

ソロ「モンストロへの帰還は僕も賛成だ。アルバスの付近には防衛の設備を設置、そしてモンストロから数百人の魔物を配備……ハーラルも領土に進攻を受けたという事実がある以上、こちらに多くの戦力をつぎ込むことはないだろう」

ミラ「それならしばらくはこの国については安心できそう……」

 すると次の瞬間、部屋の外から更に外側、屋敷の外から複数人の声が聞こえてくる。その中には小さな子供の声も聞こえてくるようで、アトラスが何かがあったのかと部屋の外を除こうとしたその瞬間だった。

「あ、あの!すみません……ヴェルタニスさん!」

ヴェル「……?」

 給仕服の女性がなにやら急いだ様子で部屋の前に現れた。

お久しぶりです。

まだ体調の方が優れず更新までに時間が空いてしまいました…

ありがたいことにちょくちょくPVの方もありまして、見てくださっている方が居てくれるのがありがたい限りでございます。

毎日投稿とはいかないかもしれませんが、今後も更新を続けてまいりますので拝見いただけますと幸いです…!

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