作戦開始
船から降りたヴェルタニス達は数体の馬車を引き連れて道中を進む。
ヴェルタニスの眼前に広がるレオ大陸の大地は事前に聞いていたハーラル王国の支配等感じられない程のどかなものだった。
ヴェル「そういえば、こんなにも堂々とアルバスを目指してもいいんですか……?」
ソロ「それについては問題ない。アルバスの内部にに居るレジスタンスが協力してくれている。僕たちは商人として城内部に潜入する手はずが整っているハズだ」
それからしばらく、アルバス公国の正門が眼前にまで迫ると乗員たちにも表情にも緊張が走る。正門には二人の兵隊が武器を携えて警備しているようで、
始めにソロが兵士の元へ向かい何かを話している。しばらくすると兵隊が小さく頷き、大きな金属音を響かせながら正門を開く。
ヴェル「おぉ…(本当に通れた)」
正門が完全に開くとソロがヴェルタニス達に目を配らせる。
アトラス「行くぞ。気を引き締めろ」
アトラスからの呼びかけにヴェルタニス達は小さく頷く。
アルバス公国内部の様子は重税に苦しむ人々が目に付く限りに大勢要る……という訳ではなく、むしろ幸福で満ちた多くの人間たちで溢れていた。
ヴェル「聞いていた話しと随分様子が違うな」
アルス「いや、よく見るんだ」
そうヴェルタニスに耳打ちをしたアルスは家屋の間にある路地裏を指さす。
そこには上下ボロボロの衣服を着ており、頬はこけ、土とホコリにまみれた頭髪には羽虫がたかっている二人の小さな子供が立っていた。
ヴェル「…ッ!!」
アトラス「……おそらく、特定の人間にのみ贅沢な暮らしを提供し国民からの指示を集めると同時に裕福で幸せな国家という『ガワ』を装っているのだろう。一部の人々を犠牲にな」
そんな惨状を目の当たりにしたヴェルタニスは強く拳を握りしめ、アルバス公国の奪還を心に誓うのだった。
アルバス中央に座している大きな屋敷にまで着いたヴェルタニス達を迎えたのは青い髪に眼鏡をかけた若い給仕服を纏った女性だった。
彼女は会釈をした後小さく「お待ちしておりました」とだけ呟き、屋敷の中へとヴェルタニス達を屋敷の中へと招いた。
ソロ「彼女が今回の協力者だ。今回は協力いただきありがとうございます……危険もあったでしょうに」
「いえ、この国を支配している『ゲルマン』を撃破する為ならば、いつでも協力いたします」
ゲルマンー。
現在、アルバス公国を支配しているハーラル王国からの視角。一見、国を豊かにした国民からの指示を得ている人間……に見えるものの、
その実は一部の国民からの重税をその他の国民に明け渡すことで、指示を得ているだけのクズである。
ソロ「それじゃ、僕とミラはこのままゲルマンの元へ向かう」
ヴェル「俺、アトラス、アルスは屋敷内に居る『奴隷』たちの解放とレジスタンスたちとの合流だな」
ヴェルタニス達は協力者からの情報によって、屋敷の中に貧困層から国民を奴隷として収集して私利私欲の限りを尽くしていることを知っていた。
男は休みを与えずに労働力として、若い女はゲルマンの慰み者として。
アトラス「それじゃあ、作戦開始だな」
ヴェルタニス達は二手に分かれてそれぞれゲルマンの元、奴隷たちの元へと向かうのだった。
半年以上時間を空けての更新…
ちょっとした病気にかかってしまい、まったく書けておりませんでした。
もしこちらの小説を見ていただいている方がおりましたら、執筆を再開していきますので応援いただけますと嬉しいです