開戦!
モンストロ大陸ー。
大陸中心にある城内には多種多様な魔物が溢れている。
ヴェルタニスとアルスの二人は城内に設置された闘技場に向かっていた。
アルス「やっと始まったな!武闘大会!」
ヴェル「ああ…!ようやくだ!」
闘技場に足を運んだヴェルタニスは青く身軽な衣と
腰のあたりには一メートル程の太刀を挿している。
闘技場、客席ー。
闘技場には多くの客席が設置されていて
大勢の魔物が談笑している。
アトラス「さて、あいつらはどこまでやれるかな…?」
アトラスを含め、レオ大陸に渡航していた船員達は
客席内でヴェルタニス達の姿を待っていた。
「あれ…?メテラエルは来てないのか?」
「確かに…『弟子たちの晴れ舞台だ!』って
誰よりも楽しみにしてたのに…」
しかしその場にはヴェルタニスとナキに魔法や知識を
教授していたメテラエルの姿が無かった。
アトラス「ああ…あいつなら…」
そう言ったアトラスは客席の上部に設置されている
五つの椅子に目を向けた。
「…?」
するとそこにはメテラエルやアダマスを含めた
五大災厄達が席に座っていた。
メテラエル「…!!」
船員達の姿に気付いたメテラエルは満面の笑みを浮かべ
立ち上がると大きく手を振った。
アトラス「あいつ等は別の席での観戦だ。」
船員達は同じようにほほ笑むと手を振り返した。
するとその様子を見たアダマスが静かに立ち上がり
メテラエルとアトラス達を睨む。
アトラス「ぐっ…」
メテラエル「もぉ~…いいじゃないですか。
たまには浮かれちゃっても…」
睨まれて怯んだ様子のアトラスは隣にいた魔物の陰に身を隠す。
「…本当、アダマス様には弱いよな。」
身を隠し、チラチラと様子を伺うアトラスを見た
アダマスはため息をつくと声を上げた。
アダマス「…静粛に!!」
その言葉が闘技場内に響くと客席にいた魔物達は静まり返る。
アダマス「これより武闘大会を開始する!自分の力を確かめるために参加する者、
人間への復讐を誓った者、今この場でその力を示してみせろ!」
アダマスの参加者達への怒号ともとれるその叫び声は
闘技場だけでなく大陸中へと響き渡った。
その言葉を聞いた客席からは歓声が上がる。
するとアダマスの右隣に座っていた魔物が小さく呟いた。
「うん…うんうん…いいね!今回の参加者は粒ぞろいのようだ!
舞台の奥からひしひしと伝わってくる!」
アダマス「…戦力になりそうな者はいるか?デュラル。」
『五大災厄』デュラル。身の丈以上の大きさの太刀を携えた
モンストロ大陸最高戦力の一人で
武器や防具の生成を得意とする『ドワーフ』。
様々な武具を扱い敵をなぎ倒すその様子は鬼神と称される。
デュラル「うんうん!それに、あなたのお子さんも楽しみだな!」
アダマス「…そうだな。」
それからしばらくすると、会場の中心にガイアが姿を現した。
ガイア「それでは…そろそろ開戦したいと思います。
ルールは例年通り、参加者全員で会場内に入っていただき
残り八名になるまで争っていただきます。その時点で戦闘不能の方は退場
その後は残った八名による本戦という運びになります。」
ルールの説明を終えたガイアがその場から去ると、
大会の参加者達がぞろぞろと会場に姿を現す。
その中には『竜人』や『巨人』等様々な魔物が顔を見せている。
メテラエル「…あっ!」
ヴェルタニスの姿を見つけたメテラエルは残りの五大災厄に
気付かれないよう小さく手を振る。
ヴェル「…おっ!なんか久しぶりな気がするな…」
その姿に気付いたヴェルタニスは笑顔で手を振り返した。
そんな様子に気付くことは無くアダマスは立ち上がる
アダマス「準備はいいか…いくぞ、始め!!」
アダマスの声と共に武闘大会が開催された。