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邂逅

彼女の口から聞きなれない言葉が出てくる。

ヴェル「メモ…リア?それに五大災厄って」


五大災厄。魔王アトラス・ドラコーンが勇者ハル達に敗れた後

魔物たちの実質的なトップに君臨する五体の魔物で

その強大な力を目の当たりにした人間たちが畏怖の念を込めて

そう呼び始めたのだという。


メテラエル「そう、でも勿論人間と仲良くしたいってのは本当よ?

悪い人間との戦いには参加しているけれど、

私たちの目標はまた友好的な関係を紡ぐことだから。」

アトラスと二人で肩を並べた彼女の話に

ヴェルタニスは頭が追いつかない様子だった。

ヴェル「えっと、つまりどういうこと…?」

状況を飲み込めずにヴェルタニスが混乱しているのを

気にもせず二人は続ける。

アトラス「お前は身体的にはまだ未熟だ。それを今から伸ばすのは

現実的じゃないだろう…そこで彼女だ!」

なぜか自慢げにメテラエルを立てるアトラスに

申し訳なさそうに彼女は言った。

メテラエル「えっと、アトラス様から頼みであなたに

魔法について教えていくわね?」

話の流れについていけないヴェルタニスに

メテラエルは優しく声をかけた。

ヴェル「そ、そうだ!俺、魔法なんて使えないんですけど…」

メテラエル「ああ、そのあたりについても一から教えていくわ。

それからあなたの事情については知っているから、

敬語は止めてもらって問題ないわよ。」

そう言うとどこからか取り出した黒いコートと眼鏡を

着ると、魔法について話し始める。

メテラエル「それじゃ先生が教えていくわ!」

ヴェル(それ教員服の代わりなんだ…)


城付近の街の中、周りの目もはばからず

ナキとアダマスの二人は大声で言い合っている。

ナキ「うるせぇババア!俺は前みたいに人間に会いたいんだよ!」

アダマス「それは認めないと何度も言っている!」

人間を恨み敵対するアダマスと人間との交流を目的とするナキは

これがお約束のやり取りといった様子でいがみ合う。

周りの魔物はアダマスの息子というナキの姿を心配そうに見ている。

ガイア「…えっと、アダマス様。ここで言い合っていると

皆さんの目もありますので…」

その様子を見かねたのかガイアが二人の元に降り立ち

仲裁しようとする。

アダマス「ああ!?…あ、すまないガイア」

周りの目に気付いたアダマスは思わず小さくなってしまう。

その一瞬の隙をついたナキはその場から姿を消してしまう。

アダマス「ッ!いつのまに…」

ガイア「…アダマス様。ナキ様には以前のように…」

ナキの様子に手を焼いているアダマスを見て、

ガイアは何かを言おうとするも、その内容を察したアダマスに止められる。

アダマス「それはできない…『彼』は人間に殺されたんだ。

あいつには同じような想いをしてほしくはない。」


街から走り出したナキははずれの森の中に駆け込んでいた。

ナキ「まったく…ここまでくればさすがに…」

すると森の中から誰かが話している声が聞こえてきた。

木の陰から声のする方をゆっくりと覗く。

ナキ「…?」

そこには一人の魔物と、その魔物から何かを

教授させられている様子の小さな人影があった。

ナキ(あれって…メテラエルさんと、誰だ…?)

メテラエル「そもそも魔法というのは私たち魔物にとっては

かなりポピュラーな能力なんです。この世界の生物の体内には

魔素が常に循環され続けています。」

メテラエルが話し終わると小さな人影が手を上げ声を出す。

ヴェル「はい先生!でも俺たち人間の中では魔法を

使えるのはほんの少数です!これはどういうことでしょう!」

メテラエル「それはですね…」

二人の会話に聞き耳を立てていたナキは人間という

単語を聞いて驚愕する。

ナキ(!!…人間って…)

「おい、お前何してる。」

すると背後から誰かの声が聞こえ、思わずナキは大声を上げる

ナキ「ギャアア!!!」

ヴェル「…!」

思わず木の陰から身を出してしまう。

そして背後の声の正体はアトラスだった。

アトラス「お前…ナキか!」

ヴェル「…誰?」

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