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焦燥と恩寵

町はずれの浜辺ー。

小さな木製の剣を握ってヴェルタニスが構えている。

アトラスはその姿を見ると、挑発するように

人差し指を上に向けて小さく手招きをする。

ヴェル「ハァッ!」

力強く踏み込んだヴェルタニスはアトラスに向けて剣を振るう。

しかしその剣筋は彼女の身体どころか衣服に掠ることはない。

ヴェル(くそっ…やっぱり前のようには…)

頭、足元、胴体、一つ一つに狙いを定め攻撃を繰り出す剣、

それを余裕の表情で躱すアトラス。

浜辺の砂に足を取られて徐々に息を荒くするヴェルタニスに

アトラスはゆっくりと額に指を伸ばす。

アトラス「やっぱり前のようにはいかないなー」

バチン!と大きな音が鳴るとヴェルタニスの身体は大きく吹き飛ばされる。

アトラス「ああ!す、すまん!そんなに吹き飛ぶとは…」

ヴェル(今もしかしてデコピンされたのか?…頭痛ってぇ…)

額を手で押さえながらむくりと起き上がる彼の目には涙がたまっている。

ヴェル「ハァ…昔みたいに体が動かねぇ。また鍛えないと。」

自身の幼い体躯をまじまじと見つめ以前の自分との差を改めて感じていると

ケタケタと笑いながらアトラスが近づいてくる。

アトラス「ハハハッ!弱くなったな、勇者!

これでも私は以前ほどの力は無いんだぞ?」

ヴェル「ほ、本当かよ…(早いとこ前みたいな力を手に入れないと…)」

自身の非力を嘆くヴェルタニスの様子を見たアトラスはため息をついて言った。

アトラス「まあそう焦るなよ。武闘大会は五年に一度開催される。

最も近いもので三年後、お前が目指すべきなのは十三年後の大会だろう。」


武闘大会。モンストロ大陸内で五年に一度開催される催しで

人間を恨む者、自身の力を試したい者、様々な魔物が参加しており

武闘大会後、希望をすれば人間との戦いに参加することができる。


ヴェル「十三年後って、そんなに遅くて大丈夫なのか!!

それなら前みたいに何人かで船であっちに行けば…」

自分がモンストロ大陸に上陸した際に乗った船を思い出し

以前のようにハーラル王国の偵察に自分も同行すればいいのではないか、

とヴェルタニスは提案しようとする。

アトラス「いや、あれはそう何度も行けるものじゃない。そもそも少人数で

ハーラル付近まで近づくことも容易では無いし協力してもらえる人間との

連絡も頻繁にはできない…というか、その身体では成長に限界があるだろう?」

しかしアトラスは、現状その案はあまり現実的ではないことを説明する。

ヴェル「…」

アトラス「でも、強くなるための近道はある!」

そう言うとアトラスはヴェルタニスの手を引いてどこかへ走り出した。


城へ避難していた魔物たちはアダマスから大陸内が安全であることを

聞くとそれぞれの家に帰っていた。

その中に、浮かない顔をしている鬼人の少年がいた。

鬼人の少年「くっそ、俺も人間を見たかったのに…」

少年は島に上陸してきた人間に合いたかったと嘆いている様子だった。

アダマス「…」

その様子を近くの家屋の屋上から見ていたアダマスは片手で

頭を抱えため息をつくとその少年の元へと降り立った。

アダマス「ナキ!!」

ナキと呼ばれた鬼人の少年はアダマスの姿に気付くと驚愕した様子で

その場から逃げ出そうとするも、すぐに捕らえられてしまう。

ナキ「なにすんだよババア!!」

その一部始終を見ていた周りの魔物は五大災厄の筆頭である魔物に対し

ババアと罵るナキを見て不穏な空気となっていたが、

その後にアダマスの口から放たれた言葉に耳を疑った。

アダマス「母さんと呼べと言っているだろう!!!」


アトラスに手を引かれたヴェルタニスは殺された魔物を

埋葬した森の中へと連れてかれていた。

そこには船の中で出会った、肘から鳥のような羽を生やした女の魔物が居た。

アトラス「言ってなかったな、彼女の名前はメテラエル。五大災厄の一人だ。

お前は彼女から魔法、そして『恩寵(メモリア)』について学んでもらおう。」

やはりまだ体が本調子ではないので、ながくPCの前に座ることが出来ん…。


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