表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

17/58

覚悟と同盟

アダマスは魔導士の遺体に手をかざすと何かを呟く。

するとその身体は灰となって崩れ去っていった。

アダマス「町の景観を汚してしまってすまない、私はこのまま侵入してきた

人間の殲滅を再開する。戦うことができない者は出来るだけ早く城内に避難しろ。」

街に居る魔物達にそう告げ、その場から去った彼女の姿を見た

ヴェルタニスは息を引き取った魔物が元いた場所へと歩く。

ヴェル「埋葬してあげよう。」

アトラス「ああ」

街に居た魔物達もそれに続いてはずれにある森へ歩く。

ヴェル「あの魔物…すごい力を持っていたけど、何者なんだ?」

アトラス「…彼女も元々は人間と共に歩んでいくことを望む魔物の一人だった。

でも二十年前に伴侶であった魔物を人間に殺されて以降『五大災厄』の

筆頭として人間と争っている。」

森に建てられた墓に霧となった魔物の衣服を埋めると

その場にいた全員で手を合わせた。

ヴェル「やっぱり、俺はここにいるべきじゃないんじゃ…」

人間を恨む強大な魔物の姿を目にしたヴェルタニスは

この大陸に自分はいるべきではないと考える。

しかし街の魔物たちは人間である彼にも優しく寄り添うのだった。

種族間の事柄など関係なく関わる彼らの姿にヴェルタニスは決心する。

ヴェル「なあ…アトラス。」

声を聞いたアトラスは彼の顔を見てニヤリと笑った。

ヴェル「今ハーラルとこの大陸で何が起きているのかを教えてくれ…!

俺は前のように戦えるようになりたい。そのために力を貸せ!」

アトラス「ああ、勿論そのつもりだ、お前には魔王になってもらうつもりだしな!」

そう言ったアトラスはヴェルタニスは武闘大会について書かれた紙を取り出す。

アトラス「この大会で力を示せば人間との戦いに参加することが出来る!

そうすればお前の目標に自ずと近づけるハズだ!お前が力をつけて魔物を先導する魔王となれば

お前を大陸に招いた私はその力と先見の明を認められ、

私を戦線から追放した魔物どもにでかい顔することが出来る!」

キラキラとした表情で笑いながら話す彼女の姿にヴェルタニスは呆気に取られていた。

ヴェル(え…こいつの目的ってそれだけ?)

アトラス「ただ勿論、私もかつての力を取り戻し、いずれは戦線に戻るつもりだ!

同族からノケモノとなった私、国に裏切られノケモノとなったお前の同盟関係という訳だ!」

仲間たちにでかい顔をしたいという想いの他浅い理由で自分を大陸に招き入れた

彼女の姿を見たヴェルタニスはため息をつくと小さく微笑んだ

ヴェル「まあ結果オーライ…なのか?とりあえず、改めてよろしくな!」


アダマス(もう港には船がない…仲間を置いて逃げたのか…?)

大陸の港に足を運んだアダマスの足元には大勢の兵士の死体が転がっている。

するとその場に日傘を差した執事服の魔物が現れる。

「皆の避難を終了いたしました。残りの人間に関しては五大災厄の皆様が相手をしております。」

アダマス「ガイアか…『あいつ』はどうしている?」

ガイアと呼ばれたその魔物はアダマスに従えている様子だった。

ガイア「はい、皆と同様に城内におります。ご本人はお気に召していないようですが…」

アダマス「そうか、ならいい。」

二人はとある人物について話すと城に向かい移動を始める。


モンストロ大陸中央の城ー。

城内ではアダマスの他に強大なオーラを放っている四体の魔物が

大陸に侵入してきた冒険者と魔導士の死体を運んできていた。

アダマス「これで侵入してきた人間はすべてか?」

ガイア「そのようです。五大災厄の皆さん、ありがとうございました。」

魔物達の中心には体中から血を流し、

身動きが取れない状態の兵士の姿があった。

「くっそあの女ァ!俺たちのこと置いて逃げやがった!」

ガイア「…女?それはあなた方の仲間…ということですか?」

兵士は城内の床にうずくまりながら叫んでいる。

「なにが『六将』だ!俺たちはあいつらに雇われてきただけだ!」


六将。ハーラル王国の中に存在する冒険者や魔導士の中でも特に実力の高い六人。

一騎当千の騎士や、あらゆる魔法に通ずる魔導士など、それぞれがたった一人で

一国の軍隊と同等の力を有していると言われている。


アダマス(六将…なぜそれほどの者が自らこの大陸に…)

アダマスはその名前について少し考えると、城を後にする。

ガイア「…?どちらに?」

アダマス「いや、ハーラルについてもう少し詳細に調べるだけだ。

『あいつ』にもまたお灸を据えておかないとな。」

城の中からは兵士の断末魔が響き渡っていた。


モンストロ大陸近辺の海ー。

兵士や冒険者たちを率いていた黒髪の女が船の中で本を読んでいる。

??「大陸の調査はこれで十分…後は結果を報告するだけですね♪」

優雅なその姿に船を操縦している船員は見とれていた。

しかしその船員は大陸にいる魔導士や冒険者たちを置いて

船を出してしまったことを後ろめたく感じていたのか、女に疑問を投げかける。

「…でもよかったんですか?彼らを島に置き去りにしてしまって…」

女は本を閉じると変わらず美麗な笑顔で答えた。

??「いいんですよ…戦うことは彼らが望んだことです。

もし死んでしまっていたとしても国のためと考えれば本望でしょう?」

声色を変えずにそう言う女の瞳は吸い込まれてしまいそうなほどに

美しく、目を逸らしたくなるほどの闇を感じさせる。

??「それに、島で感じたあの魔素…確かにあれは…」

その女は現在大帝国とまで呼ばれるほどに成長したハーラル王国の

最高戦力『六将』の一人、かつて勇者とともに魔王を討伐したと言われている。

その名前をバーバラ。最高峰の魔法を扱い、大賢者と称されるほどの魔導士である。

バーバラ「まさかハルさんが、『転生』されていたとは!

国王様への土産話が増えてしまいますねぇ…!!」

ここ三日間コロナワクチンの影響で執筆できませんでした…。

よっし今日から書くぞー!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ