始まりの虹
「何で××は、左右の目の色違うの?」
「俺達と同じ年なのに、××はずっと見た目変わらないな」
「気味悪い」
長い事この島に住んでいるが、気付けばボクは孤独だった。
「何で××は、左右の目の色違うの?」
「俺達と同じ年なのに、××はずっと見た目変わらないな」
「気味悪い」
長い事この島に住んでいるが、気付けばボクは孤独だった。
「また気味悪いって言われちゃった」
「そっか~」
「皆と同じ様に成長出来るならしたいんだけどね」
オッドアイであるボクは12歳で初潮を迎えた時から容姿に変化がない。
オッドアイの人間全てがそうであるのか、ボクだけなのかは解らない。
同じ年に生まれた皆が「オトナ」の姿になる中で、
ボクだけが刻の狭間に取り残されている様だった。
「ま~、気を取り直してさっ。今日は何して遊ぶ?」
「そうだな。『引っ掛かり』を拾いに行こうか」
さっきから話しかけてきているのはクマのぬいぐるみの「クマ」。
ぬいぐるみが話すなんて不思議だって?
そんなこと言ったら、島が浮いたり、ボクの存在も不思議さ。
『引っ掛かり』とは島から落ちずに残った要らないモノで、ボク達はそう呼んでいる。
クマも『引っ掛かり』だった。
島の下層で枝に引っ掛かっているのを見付けて拾った。
似た者どうしで、孤独だったボクに最近できた唯一の友達だ。
「オイラみたいな『引っ掛かり』は少ないと思うよっ」
「うん。でも何か有る予感がするんだ。付き合せてごめんね」
「あっいや。別に構わないよ。それにほらっ旅の入口も出てる」
「虹だ」
「消える前に渡らないとっ。急ごう」
「あ、ちょっと待った」
ボクは立ち止まって周囲を見渡した。
――――この世界は、皆の目にどう映っているのか――――
ボクは1枚、虹の写真を撮った。