第九話 無礼なのかもしれないけど、許せないんです。
「王、それは本気で言っているのですか」
流石に安易な考えでお姉さまを渡すわけにはいかないのだ。
「失礼ですよ」
お母様にそんなことを言われた。
しかし、やっぱり何も知らない人にお姉さまを渡すわけにはいかない。
お姉さまを守るために。
「あぁ、本気だぞ。そもそも君には関係のないことじゃろう。あの美人な方は、世界を探してもなかなかいないであろう。」
「それが、理由なんですか・・・・」
「あぁ、それが理由じゃ」
私は少し怒っていた。
美人、綺麗、可愛い。そんな言葉だけでお姉さまと結婚しようなんて話を持ちかけてきた意味がわからない。
ますます、その話を破棄してもらわないといけなくなってきた。
「ふざけないでください。美人とか、それだけの言葉で結婚させるなんておかしいです。
王とか権力でねじ伏せようとしているようですが、許しません」
「カナ! やめなさい!」
お母さまの手のひらが飛んできた。
避けることも出来たが、私は避けなかった。
確かに少し口が過ぎてしまった。
「王、ご無礼申し訳ありません」
「今後は気をつけるように」
「御意」
私は不満を持ちながら渋々謝った。
「お姉さまは良いのですか」
「王の頼みです。私達がどうこうできる話ではないのですよ」
「そうですか」
私とお姉さまは王宮をあとにしようとした。
しかし、私は王に仕えている方に呼び止められた。
「カナ様、王がお呼びです」
あー、終わった。
なんて思いながら、指定されたとこまで歩く。
会う場所が図書館だなんて誰も思わないけどね。
「カナだったか、いらっしゃい」
「お待たせいたしました、用件とは?」
「よく来てくれた、用件は・・・・」
ここに来たときから妙な視線を感じていた。
私は服の下に隠して居た折りたたみ傘を取り出し、切りかかってきた相手に対抗する。
王が話している途中だったが、自分の身を守るためだ。許してくれるだろう。
「よく今の攻撃が分かったなぁ」
王が感心した声を出す。
「鍛えていますので」
私は背中を向けて答えた。敵は一人なので問題なく倒せるであろう。
一応、強化レベルⅢの魔法を傘に付与しておく。
私が振った傘は相手のみぞおちにあたり、無事戦闘不能になった。
「カナ、その戦闘力を活用できる場所を教えてあげよう。戦闘団に入らないか?」