第五話 危険
私は現在4歳である。
わかったことをはっきり言わせてもらおう。
お姉さまは命を狙われている。
理由は単純明快。
一ヶ月前、お姉さまと出かけたときのことだった。
「お姉さま、はやくはやく!」
その日は曇っていて、雨が今にも降り出しそうな天気だった。
「待ってよー。カナー」
二人でお出かけをすることをお父様から許可していただいているので、今日は久しぶりに二人でお出かけした。
そう、それは街に行く途中のことだった。
物凄く強い風が吹いてきた。
雨が降る前だからだろうか、なんて考えていた。
しかし、その風はだんだんと強くなっていった。
あと、もう一つ。風の吹き方がおかしかった。
私達の周りで特に強く吹き、しまいには私達の周りのみで吹き始めた。
そして私達の身体は宙に浮いた。
お姉さまのスカートは思いっきりめくれていた。
・・・・私は何も見ていない。うん。
「っカナ! どうしようー! 」
お姉さまはそういったが、私は何も答えることが出来なかった。
(こっちは高所恐怖症なんだよお!)
「カナー」
涙目になっているお姉さまが見えたが、そのことを処理する余裕が私には無かった。
(やばいやばい! ムリムリムリ!)
まともな解決策が出てこなく、私は余計にパニックになった。
軽く放心状態になっている私の視界の片隅に笑ってこっちを見ている男がいた。
私は、本能的に魔法を使い、私達二人は助かることができた。
・・・・そして今日私達は、買い物に行っている。
買い物に行くメイドさんたちに頼んで、お姉さまは私と買い物に行こうと言い出した。
もしかして、一ヶ月前のことを忘れたのか?
「一緒に行こうよー」
「絶対、嫌」
「えーどうしてー!」
なんていう会話を何度かしていた。
何回目かはわからないが、言うだけでは頷いてくれないのがわかったお姉さまは、私の弱点をついてきた。
「ねえ。お願い・・・・」
上目遣いで・・・・ね。
「わ・・・・かりました」
どうせ諦めてくれないので、私は承諾した。
なんていうのは嘘で、ホントはお姉さまが可愛かったから承諾した。
「また危険な目にあったらどーするんですか」
「カナがなんとかしてくれるでしょ?」
他人任せですか。可愛いですね。
そんな話をしながら、道を歩いていた。
「お嬢様!」
あるメイドさんが私達を呼んだ。
何事かと思い後ろを振り向くと
私達に向かってくるたくさんのクナイが
見え・・・・た。