第四話 剣術と魔法
三歳になった。
私は剣術や魔法を習い始めた。
ちなみにお姉さまやお兄様も三歳頃から始めたらしい。
ちなみに私が異世界に転生したと知ったのは、お姉さまやお兄様が魔法を使っているのをみたとき(二歳半ぐらい)だ。
剣術では木刀を使って練習させられていたが、今日から剣を使うらしい。
「これ持ってみな」
そう師匠に言われ私は剣を持ってみる。しかし、重すぎて持ち上げるどころか、動かすことさえ出来なかった。
(師匠の力はどうなっているんだ・・・・?)
「ふむ、これが持てないのであれば、そなたにはナイフのほうがあっているかもしれんな」
(・・・・ナイフを使うってことは、もしかして素振りとか今までやってきた事全部無駄になる?)
「しかし、そなたの成長ぶりには驚いた。一年も経たないうちに、武器を握れるようになったのはそなたが初めてだ」
「そうなんですかー」
「ああ。ちなみに君の姉は四年、兄は2年かかっておるぞ」
へえーと思いながら、持たされたナイフを見つめる。
フォームを覚えるのが大事とかなんとか言っていたが本当に一年しかやらなくて大丈夫だったのだろうか。
まあ師匠が言うなら大丈夫であろう。
「早速、森に入って実践してみようか」
「はい、ししょー」
「思ったより強い敵は居ませんねー。ししょー」
「そなたが強すぎるだけだと思うのだが。この辺にいる敵は結構強いのだぞ」
と言いつつ師匠も長い髪をなびかせながら、敵をバッサバッサ切り倒していく。
・・・・こんな口調だけど、師匠は若い女性なんだよ。
「次は魔法の練習じゃ」
しかも、魔法も教えられるという武術の道を極めてきた人。
普通にカッコいい。
「炎の魔法を使おうか」
といって師匠はお手本を見せてくれた。
軽く山一つ分の木を焼き払っていたが・・・・?
(・・・・このままでは自然がなくなってしまう)
なんて思いつつ私は、山三つ分の木を焼き払った。
山四つ分の木がなくなった焼けたあとの森を私達は見つめていた。
「一年でここまでこれるとか、才能以外のどんな言葉で表せばいいのか・・・・。」
「ししょーも充分すごいですよ。」
「ししょー、お腹すきました」
空が赤くなってきた頃私は、ししょーに言った。
「そろそろ、帰る? それとも・・・・」
「今日は此処で食べましょう! ししょー!」
「大丈夫? お嬢様が外でご飯食べても・・・・」
「私がなんとかするからだいじょーぶだよ!」
なかなかししょーはうなずいてくれなかったので、私は無理やりうなずかせた。
「ししょー、料理できる?」
「できなくはないが」
ということで、ご飯を作るのは師匠におまかせしよう!
私は 物凄く 料理が出来ないのでね。
「私、材料探してくるね!」
といって、焼き払った森とは別の森に材料を探しに行った。
「あんな3歳児そうそう居ない・・・・」
森に駆け込んでいく私の姿を見て師匠は呟いた。
鼻歌を歌いながら森の中をスキップしながら進む。
(今日は師匠にも褒められたし、いいことたくさんあったなー!)
気分は最高で、今なら前世のテレビで流れていた変なダンスを踊ってもいいくらいだった。
変なダンスを踊っていると、ぐうと私のお腹の音がなった。
(早く材料探さないと・・・・!)
そして私は、材料を探しに走っていった。
材料を手では抱えきれないほど持って帰る途中だった。
森で怪我をした経験が無かった私は、完全に油断をしていた。
背後から近づいてくるものに私は気が付かなかった。
バリっと服の破れる音がして、私は背中から血を流していた。
集めていた材料はあたりに落ちる。
恐る恐る後ろを振り向くと、そこには魔物がいた。
昼間私が普通に倒していたような魔物。
でも、少し油断しただけで、背後を取られただけで、こんなにも劣勢になってしまう。
パニック状態に陥った私は、攻撃を仕返すことを忘れていた。
鋭い爪を持った手が私に向かって、振り下ろされた。
(いやだ! 誰か助けて!)
ギュッと目を瞑っていたが、ドサッと崩れ落ちる音が聞こえた。
恐る恐る目を開けると、そこには・・・・・
お兄様が居た。
「お兄様なぜここに!」
すると、ため息をついてこういった。
「帰ってくるのが遅いからだよ」
「・・・・ごめんなさい」
私はお兄様に抱きついて泣いた。
そんな二人を満月の光は優しく照らした。
「カナ! 大丈夫かの?」
お兄様が私をおぶって師匠の居る場所まで連れてってくれた。
師匠は私の背中の傷を魔法で回復して、私達は家に帰った。
「ししょー、無茶言ってごめんなさい。皆にも心配かけてごめんなさい」
皆、私のことを心配してくれた。
優しい心を持った家族に生まれることが出来て幸せだよ、ほんとに。