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第二話 転生

「あ、う」


目覚めたら、知らない人が私の視界に入っていた。

少し怖くなって、急いで逃げようとしたが、金縛りにあっているのか、それともなにかで縛られているのか、私は動くことが出来なかった。


私の視界には、5人の人がいた。3人は女性で、残りの二人は男性。


(はやく逃げなくちゃ!)


必死にもがいてみるが、私は足を動かすことが出来なかった。

しまいには、男性に私は持ち上げられてしまった。


(え、もしかして高いところから落として殺すの? ていうか、私高所恐怖症なんだけど)


恐怖が私の心を支配して、もう我慢が出来なくなったので私は思いっきり泣き叫んだ。

すると男性は私を、抱いて揺らした。


(やばいって。私本当に殺されちゃうんじゃない?)


私は、泣き続けた。抵抗できないところが、また怖い。


すると、泣き止まない私を男性は少女に渡した。

その少女に私は優しく抱かれた。


(お姉ちゃんの匂いがする・・・・)


お姉ちゃんの匂いがして私は安心して泣き止んだ。


私の近くにいる人たちがなにか話しているが、私はその内容を知ることは無かった。


「あ、あう」


それにしてもなぜ動けないのだろうか。

さっき人に抱き上げられたからなにかで縛られているのでは無いことはわかったが。

金縛りか? いや、しかし手を動かすことはできるため、金縛りでは無いだろう。

・・・・ではなぜか?


そういえば、私まともな会話が出来てない。

あ、とか、う、とかそんなようなことしか話せていない。


謎だらけだ。



それから、12ヶ月の月日がたった。

目が覚めたとき私の視界に入っていた人たちは、両親と私の兄と姉、そしてメイドさん、らしい。

別に私を殺そうとしていたわけでは無いらしいので安心した。

私は赤ちゃんの姿だったので、死んで転生でもしたのだろう。


私の家は結構裕福でメイド服を着た人がたくさん居た。


母親は王様の側近で、父親はその王様の護衛らしい。

すごい家庭に生まれてしまったと思う。


壁によりかかりながら、ペタペタと廊下を歩きお姉ちゃんの部屋へ向かう。

がんばって歩いてはいるのだが、家が大きく、廊下も長いのでお姉ちゃんの部屋に着くのは時間がかかってしまう。


そこで、私は天才的な移動方法を思いついてしまった。


とりあえず、ペタンと床に座る。


(メイドさん早く来てくれ!)


こういうときに限って、誰も来ない。


やっと通りかかったメイドさんに近寄って私は覚えた言葉を使って、お願いする。


「メイドしゃん、私、お姉さま、行きたい!」


一瞬メイドさんは頭の上にはてなマークを浮かべていたが、すぐに意味を理解してくれて私を抱っこしてくれた。


(作戦成功!)


すれ違うメイドさんからは可愛いだの、癒やしだの言われた。

優しいメイドさんばかりだなあ、なんて思ってニコッと笑ったら、メイドさんはきゃーきゃー言っていた。

もしかして、私のファンだったりする?


「カナお嬢様、着きましたよ。」


私はメイドさんによって地に降りた。


「ありがとう!」


と感謝の気持ちを込めて、ニコッと笑ったら、メイドさんも嬉しそうな顔をして仕事に戻っていった。


コンコンコンと扉を叩いて、カナですと言うと、中からどうぞ、という声が聞こえた。

扉を開けて、部屋に入ると中にはお姉さまと、

お兄様が居た。


いや、お兄様が嫌いなわけでは無いけど、でもやっぱり前世から一緒にいたお姉さまのほうが好きだな、なんて思いながらお姉さまに抱きつきに行く。


なんで、私はお姉さまが前世のお姉ちゃんの転生した姿と思っているのかと思っているか。

それには2つほど理由がある。


1つ目は、お姉さまの料理が上手で味付けの仕方が似ている。

前世で毎日私にご飯を作ってくれていたため、もう身体に料理のコツが染み付いているのだろう。そして、お姉さまが作った料理の味は、お姉ちゃんが作っていたご飯の味と同じと言っても過言ではないほど似ていた。


2つ目は、性格、言動が似ている。

優しく、色んな人とすぐに仲良くなってしまうところがお姉ちゃんと同じだった。

あと、嘘をつくとき左足を少し曲げたり、考え事をしているとき髪の毛をクルクル回したりする癖が全く同じだった。


だから、私はお姉さまは私のお姉ちゃんが転生した姿だと思っている。

まあ、お姉さまは前世の記憶はないらしいみたいだが。

と、言うようなことを考えていたらお兄様がなにか呟いていた。


「いっつもカナはリオにベッタリなんだから。なんでそんなに懐かれているのー。俺もかまってほしいー」


お姉さまは、ニコッと笑って


「なんでだろうねー」


と言っていた。


お兄様よ、私がお姉さまに懐く理由はこれなんだ。

可愛すぎて癒される笑顔。

誰もがこの笑顔の虜になるであろう。


「お姉さま、お外、遊ぶ!」


「お外で遊びたいの? じゃあ、一緒に遊ぼうか」


「俺も混ぜてくれー」


私達の館の廊下には笑い声が響いた。

そして、家族の温かさを改めて感じた。

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