世界一周ってロマンあるけど実際にはやりたくないよね
ドイツでの交渉が終わって帰れると思ったら大間違いだ!
ということで「戦車が欲しい」と言い出した修大朗のせいで、フランス行きとイギリス行きが決定してしまった一行。
早速修大朗は列車に乗り込みフランスに向かった。
もちろんアポイントはドイツからフランスに行くまでの間に取るという、行き当たりばったり具合。
修大朗はフランス陸軍省へ躊躇いも無く突撃し、ルノーFT戦車を輸入したいと言った。
普通ならば、本当に普通ならば売ってくれる筈は無いのであるが、買えちゃったのである。
というのもフランス陸軍にとってルノーFT戦車は旧式品であり、新しい戦車に更新しようと思っていたのだった。
そこにやって来たのはルノーFTを買いたいという日本人。フランス陸軍は割高で押しつけてやろうと思案した。
すると修大朗は値段交渉もすることなく、そのままの値段で数十両購入したのだった。
フランス陸軍は勘違いしていたようだが別に金はあるし、割高とはいえ過去に日本陸軍が買った時よりも安かったのである。
そのまま修大朗は手続きするための人を残して船に乗りイギリスへ。
しかしイギリス人はフランス人以上に欲深かった。
イギリスはフランスにある大使館から、修大朗がフランスからルノーFTを購入したという情報を得ていた。
さらにはイギリスではマークⅣ戦車を購入するつもりだという情報も入ってきた。
実はイギリス陸軍でもマークⅣ戦車は旧式化していて新型の戦車に更新するところだった。そこでイギリスは新品同然の値段で売りつけることにした。
しかし修大朗も馬鹿ではない、高すぎると流石に気づいた。そこでイギリスにポンポン砲のライセンスと装甲車も買うから安くしてと持ちかける。
イギリス人も現金なものである。在庫一括処分とでもかと全て売ってくれた。(少し割高ではあるが)
これにて一件落着とはいかないのが千野修大朗である。
修大朗が観光がてらロンドンを歩いていると一人の日本人と出会った。
「あなたは何故イギリスに来られたのですか?」
「銃の買い付けみたいなもので。」
「銃ですか。確かにイギリスの猟銃は一流ですからな。しかし最近はめっきりと聞きますがね。」
「それはどういうことでしょうか?」
「散弾銃に関してはアメリカが今一番らしいですよ。なんでも先の大戦でアメリカ製の物が大活躍したとか。」
まあこの後の展開はわかるだろう。
ホテルでやっと一息ついた職員たちの元へ修大朗は突撃し言い放った。
「諸君、アメリカに行くぞ!」
翌日には例によって手続きのための職員を残して大西洋を横断する船に乗り込んだ。
ちなみに彼らが乗ったのは、かのタイタニックの姉妹船のオリンピックだったらしい。




