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震える帝都⑤

 三宅坂・桜田門の戦い。近代稀に見る激しい戦闘であり、保安隊に加え警官隊・陸軍憲兵隊・海軍陸戦隊が参加する大規模戦闘であった。


 陸軍憲兵隊や海軍陸戦隊は、自分たちが叛乱軍とは違うことを証明するために派遣された側面が大きい。


 海軍陸戦隊に至っては大発動艇をかき集めて、横須賀から戦場に近い芝浦ふ頭まで人員と装甲車をピストン輸送していた。


 さらに海軍省と軍令部は戦場の真隣であり、陸軍から海軍を保護するためにも陸戦隊を送らなければいけなかった。


 そんな具合で多様性の権化みたいな連合軍が編成されていたのだ。仮に彼らを政府軍と呼ぶことにする。


 桜田門は叛乱軍が追い出した警視庁や内務省の職員と、近隣の庁舎の職員が退避しつつあった。


 これは陸軍も無関係な大勢の人を、戦闘に巻き込みたく無い故の対応だった。


 避難が完了すると戦闘が開始された。


 建物の周りに作られた防御陣地からは機関銃で迎撃される。瓦礫に擬装した山砲からも砲撃され、政府軍は行手を阻まれた。


 防御陣地はともかく砲は厄介であり山砲と言えども着弾した場所は抉られ、反対側の通りどころか宮城まで砲撃がとどいた。


 砲撃や機関銃の射撃を掻い潜り防御陣地を潰し、山砲に肉薄し攻撃をして建物内へ突入していった。


 幸いだったのは山砲は桜田門側にしか無く、三宅坂には防御陣地しか無かったことである。


 しかし機関銃に守られた防御陣地の厄介さは、日露戦争・第一次世界大戦が証明している。


 砲が無くとも防御陣地の突破は困難であり、軽装備の憲兵隊は苦戦していた。


 軽機関銃と短機関銃を装備している陸戦隊はともかく、拳銃と歩兵銃や騎兵銃しか持たない憲兵隊の損傷率は大きかった。


 保安局に於いても防御陣地に対してはやはり自動小銃の効果が薄く、機関銃や歩兵砲を使って突破した。


 汎用機関銃であっても取り回しは軽機関銃に敵わず、軽機関銃に至っても自動小銃に同伴するには重かった。


 叛乱軍・政府軍双方に甚大な被害を出しながら戦闘は次の段階へ進む。


 相手が建物に立てこもってるせいで主戦場は必然的に室内になり、散弾銃や短機関銃などが大活躍した。


 自動小銃も活躍はしたが銃身をもっと短くする余地があると、戦闘後現場からの意見が提出された。


 それらを持たない者は騎兵銃や拳銃、軍刀などを使って攻撃に参加した。手榴弾も使われ庁舎内は大混戦になる。


 机などで作られたバリケードを突破するため手榴弾や爆薬が使われ、爆風で窓ガラスが割れていった。


 周囲の道路には瓦礫が散乱し、あちらこちらから火の手が上がる有り様である。


 砲撃や爆発で庁舎は破壊されていくが、関係ないと言わんばかりに戦闘は続いていく。


 近くにあった外務省や司法省の庁舎も政府軍が集結していた為か、戦闘に巻き込まれ砲撃を受けたりした。


 はっきり言えば泥沼の戦いであり守る側も必死である為、攻める側の数が多くとも苦戦を強いられる。


 だが名誉を守らんとする警官隊の猛攻により最初に警視庁と内務省が奪還された。


 そのかわり桜田門一帯は酷い状況になっており、警視庁などは崩壊寸前で廃墟同然だった。


 因みにこの戦いはその激しさと知名度により、後の世でいくつかのFPSゲームに登場する事になる。


 保安隊・警官隊・憲兵隊・陸戦隊が入り乱れ、多彩な武器を使える為プレイヤーには喜ばれるらしい。

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