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話せばわかるとはよく言う

 陸軍が満州事変を起こした責任をとって、第二次若槻内閣は総辞職した。


 西園寺公望の推挙により犬養毅に大命が降り、犬養内閣が発足し政友会が与党になった。


 しかし問題は山積みであり、首相就任初っ端から上海事変が起きるなど散々であった。


 さらに犬養毅は中華民国や満州国との国交を正常化しようとしたが、内閣書記官長の森恪によって妨害され握り潰された。


 ここで満州国の事を認めてしまうと、満州に於ける英仏の権益を認めた事になってしまうからである。


 犬養内閣は軍事や外交では失敗していたが、大蔵大臣に高橋是清を当て経済を復興させていた。


 金輸出を再禁止し財政出動によりデフレから脱出した。


 さて血盟団事件で標的になった犬養毅であるが、暗殺が実行されることはなかった。


 だが血盟団から離れて独自路線に行った海軍と大川周明は、行動を起こそうとしていた。


 陸戦隊を抑制するため保安隊を同行させた事やロンドン海軍軍縮条約締結、昭和恐慌による大不況などの積み重なった政府に対する不満が爆発したのだった。


 1932年5月15日事件は起こった。


 同時多発的に東京の各所で襲撃が行われた。


 まず首相官邸・内大臣官邸・立憲政友会本部が襲われた。


 海軍の将校らが拳銃を持って押し入ろうとした。


 それらの場所は保安局警備部によって守られていた為、海軍将校らと撃ち合いになった。


 向こうは拳銃のみだったのに対して警備部は短機関銃やライフルを装備しており、結果は火を見るより明らかであった。


 警視庁も襲撃され建物内で撃ち合いになった。


 警察側は最初回転式拳銃で応戦したが、向こうは自動拳銃であり不利になった。


 撃ち合いにより犠牲者が出ると途中で、警察側がライフルや散弾銃を持ち出して勝った。


 三菱銀行や日本銀行が襲撃され手榴弾が投げ込まれ、銀行員や利用客に犠牲者が出た。


 その他に別働隊の農民決死隊により変電所が爆破され、東京市一帯が停電に陥った。


 結局のところ保安局が直ぐに出動し、東京市内に展開した為クーデターは失敗した。


 暗殺にも失敗し警察と民間人に被害を出しただけに終わった。


 事件に参加したり関わった者は逮捕され、死刑か無期懲役が科せられた。


 海軍の将校らに減刑の嘆願が寄せられたが、市民に死傷者を出した事もあり予定通りに刑が執行された。


 犬養毅は無事だったが桜田門事件や血盟団事件が重なり、海軍が暴発し抑えきれなかったことで辞表を出し総辞職した。


 この様な陸軍も海軍も何もかもが混乱している日本を安定させるための内閣が組閣される。


 通常なら政友会の鈴木喜三郎に大命が降るはずだが、政治体制を立て直すためには挙国一致内閣が望まれた。


 その結果斉藤実が総理大臣となり、斎藤内閣が組閣された。


 しかしこの内閣も数年と持たず、短命に終わることになる。

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