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テロは手段と目的が入れ替わる事がある

 治安維持法が制定されたのは良いが、保安局は社会主義者の摘発に積極的では無かった。


 どちらかと言うと内務省や警察の方が必死に摘発をしていた。


 警察法が制定されると次には、公共の安全を守るためとして公安法を制定した。


 公安法の施行により、政治結社などは解散させられ、大学への一斉摘発などが行われた。


 しかし社会主義者は今までほったらかしにしていたので、数多く潜伏し機会を窺っていた。


 そして1927年11月3日、事件は起こった。


 その日は初の明治節であった。


 昼頃、銀座で具合が悪くなる人が続出し、倒れる人まで出てきた。


 直ぐに警察が駆けつけるものの、到着した警官隊も具合が悪くなり倒れた。


 民間人が多く倒れ、警察も行動不能という状態になり、保安局に出動要請が来た。


 パトロールしていた保安部の機動部隊が現場に到着するが、救助者が多すぎて手が出せず様子を本部に伝えた。


 そこで保安局はありったけのトラックを用意して、保安隊の宿舎に保管されていた布団を荷台に敷いて即席の救急車を作った。


 トラックには保安隊の衛生班が乗り込み、病院に着くまでの簡易的な措置を行った。


 救助者を病院に運び込むものの、人数が多すぎて東京周辺の医療はパンクしてしまった。


 最終的に日比谷公園や代々木練兵場などに夜戦病院が設置され、そこに残りは運び込まれた。


 そして動員された軍医により塩素ガスによる被害ということが判明する。


 現場からは塩素ガスの発生装置が発見された。


 しかし、何故保安局の職員は無事だったのだろう。


 理由は以下の通りである。


 その場に居た一般人と直ぐに駆けつけた警官たちは、塩素ガスを吸ってしまい倒れてしまった。


 保安局はそれから少し遅れてやってきたので塩素ガスが風で拡散し、吸わずに済んだのだった。


 保安局の情報部は直ぐに犯人とされる人物と、所属する団体を特定した。


 犯人は社会主義者の大学生と社会主義革命家グループだった。


 保安局の特務部と司法省の捜査執行部が敵の拠点に突入して、一斉検挙を行うことになった。


 突入と一斉検挙は成功したが、拠点から大変なものが見つかった。


 それはマスタードガスである。


 塩素ガスなど比にならない毒性を持った毒ガスである。


 日本初の地下鉄が開業するのに合わせて、駅に撒こうとしていたのが発覚した。


 地下鉄の駅は密閉空間であり逃げ場も無く、計画的に甚大な被害を出すため決められたようであった。


 まさかマスタードガスが生成されていると思っていなかった保安局は、直ぐに周辺地域を隔離した。


 他にもある物が見つかった。


 ウランである。


 どうやら岡山県の山奥で発見されたようで、放射線の毒性を使って何かをしようとしていたらしい。


 要人の近くに設置して暗殺することや、粉末にして散布して毒ガスの代わりに使うことを考えていたようだった。


 他にも赤痢菌やペスト菌を培養させたものが見つかったりして大騒ぎになった。


 これを受けて保安隊は細菌やガスなどに対処する部隊、特殊防護隊を設立した。


 また松代大学では細菌やガス、放射性物質の研究が開始された。


 千野財閥ではガスマスクや防護服などの生産も始まり、保安隊に供給されるようになった。


 この出来事により1928年2月3日、内務省は全国に特別高等警察を設置。


 公安法により一斉検挙を開始し、社会主義者・共産主義者などを徹底的に潰した。

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